サンドイッチ
次の日。
師匠に用意して貰った服を着て出発する。個人的には全身黒でも構わなかったが、
「君は忍者にでもなるつもりか・・・?」
と言われ、結局インナーは灰色に、コートはベージュ色のを貰った。
陽光の当たる道を選んで森を抜けていく。
途中で出会った魔物は師匠が狩ってくれた。頼もしい。
森を抜けたところで昼食だ。
師匠はサンドイッチを虚空から出して渡してくれる。
「師匠に料理なんてできる訳ないと思ってました。」
「失礼だな。まあ出来ないけども。」
開き直った師匠は言葉を続ける。
「家の家系の女は代々料理が壊滅的に出来ない。幼稚園児の泥団子すらろくに作れないレベルだ。」
それは人として大丈夫なのだろうか。
「おい今失礼な事考えなかったか?」
「考えてませんよ。それで?」
続きを促すと話が続く。
「特に姉の料理は酷かった。料理の練習したからと皿に暗黒物質をのせ、天真爛漫な表情で皿を押して来る。」
うん、それは何というか・・・ご愁傷様。
そういえば幼馴染に居たな、一人。
家庭科の炊飯器で米炊く時暗黒物質作ったやつ。まあ夢咲だが。あいつの料理の腕前はもはや錬金術のレベルに達していた。
「・・・ぃ。・・・ぉぃ。おい。お弟子君?」
「ごめんなさい、ぼーっとしてました。何ですか?」
「おかわり要るか?」
「お願いします。」
2つ目を受け取って聞く。
「そんなに料理が出来ないならこれはどうやって作ってるんですか?」
1つ目の最後の一口を飲み込んだ師匠が口を開いた。
「宴という属性の使用者が作った、精神を注ぐだけで食べ物飲み物が出せる、饗宴グッズというやつを使ってるんだ。」
「それは誰でも使えるんですか?」
「やってみるか?」
師匠が手提げのバスケットを渡してきた。
「精神をちょっとだけ注いでごらん?」
やってみた。バスケットの重みが増した。
「初めてにしては素質あるね、君。」
バスケットからハンバーガーを取って食べ始める師匠。
僕はサンドイッチを食べながら師匠との談笑を続けた。




