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80 神代の法⑥

教祖と共に鉄道に揺られ、下車した後に徒歩でルシウスに向かった。


社屋前は報道陣や野次馬に、配信者でごった返していた。

警備員とガードが入口を固めている所からそう簡単に中に入れないことが見て取れた。


「すごいな・・・想像以上の混乱だな」

「しかしともかくなかにはいらないといけない」


俺と教祖は人込みをかき分けてガードの一人に声をかけた。


「すいません中に入りたいんですが」

「駄目だ、報道や野次馬は通すなと言われている」


俺がガードとやり取りしている所に教祖が静かに歩み寄ってきてこう言った。


「岩崎君と会いたいのだが」

「岩崎?誰か知らんが帰れ」


「社長の岩崎君だよ、教祖が来たと取り次いでくれれば彼も許可を出すだろう、そうしないと君が責任を取らされることになるよ」


教祖のただならぬ空気に気おされたのか、ガードは無線で何やらやり取りをしだしてしばらくすると驚きの表情で俺たちを見つめる。


「失礼しました、すぐお取次ぎします」

ガードは俺たちを連れて隅にあるドアを開け、社内に招き入れた。

当然背後からは特別扱いへの文句を叫ぶ声が聞こえる。


社長室専用エレベーターで最上階で降り立ち、ガードは通路を進み重厚なドアを開けた。


調度品で彩られた部屋のドアを開け社長室に歩み進める。


「教祖様・・・やり遂げました、ですが解放感もあり絶望感もあります」


岩崎の座すソファーのテーブルには拳銃が置かれていた。


「思っていた通りですね、いけません、命を絶つことはしてはなりません」

「しかし教祖様、重責と絶望に押しつぶされそうです、それにすぐにヤツらがやってきて私を殺すでしょう、それならば自死を願いたい」


「やっぱり裏社会が噛んでいたか」

「そうです、ルシウスが成長期にあったころ、ヤツらは接触してきて一枚かませろと脅しをかけて来たのです、もうお判りでしょうが児童買春は裏社会の連中が絡んでいたのです」


「・・・人生をもう一度やり直す覚悟はありますか?」

教祖はどこかで聞いたことのあるような文句を岩崎に投げかける。


「出来るのならば、そうしたいです、しかし・・・私はどこに行ってどうしていてもルシウスの岩崎なのです、逃亡者となりまともな人生は歩めません」

「それらがすべて解決して別人になれるとしたらどうですか?」


岩崎は質問の意味を測りかねると言った表情で教祖を見つめていた。

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