71 抵抗④
コテージに戻り、室内に入るとみまがスマホを見ながら話しかけて来た。
「すごいよ、SNSやニュースサイトにルシウスのスキャンダルがいっぱい出てきているよ」
「そんなにすぐに反映されたのか、反応はどうなんだ?」
「SNSではコメントがたくさんついて、ルシウスの元社員って人が他にも暴露したり、動画には前からあやしかったとか、家出した娘かもそうかもしれないってネット上では騒ぎになっているね」
「テレビではどうなんだい?」
「なーんにも、そりゃそうだよ、ルシウスと関係会社がスポンサーだったりするから見ぬふりだよね」
俺も自分のスマホでネットに接続すると、生配信でルシウスのスキャンダルを取り扱った配信者がお勧めにでてきた。
動画を観てみると8分程度の短いものだったが、すでに万の桁数再生されていた。
「すごいな・・・あのおっさんたちやるじゃないか」
「SNSのアカウントも何個もあるみたいで、噂では消されてもまた増えていく状態なんだって」
その日はSNSを観察してしばらくしたら就寝した。
翌日になってもまだルシウスのことで騒ぎが起こっており、電話をかけたとかメールを送ったとか言う連中が現れて、ルシウス本社の前で動画を撮影する配信者などもいる。
「ねぇ暁、キャットさんの所に行ってみようよ、このスキャンダルの根本を知るきっかけになったのはあの人が元だし」
「俺もそう思っていた、行ってみよう」
俺たちは徒歩で寂れた街並みを進んで行った。
「キャットさんおはよう!」
「みまちゃんか、それと暁君だね」
キャットはにこやかな顔でこちらを見て来た。
「ルシウスのことで来たんだろう?私も推移を見ていたが凄いものだね、アオリもうまいが、このプログラムは大したものだよ、特定のパターンで自動的にメディアのアカウントを作り出して、削除されたら自己増殖的に広がっていく、これを作ったヤツは大したものだね」
「ITやプログラムなど全般的に腕が立つ人のようです、今は農家ですが」
「ふぅん・・・農家ねぇ、貴重な人材が隠れた所にいるモノだね」
「ルシウスの方はまだ何も動きが無いのか?」
俺がキャットに話しかけると、彼女は髪をかき上げながら言った。
「まだタイミングじゃないね、早々と食いついては思うつぼだし、ずっと放っておいても誠意が無い、万が一こうなった時のマニュアルさえあるかもしれない、4日ってところかな」
「4日経てば何か動きがあると言うこと?」
みまが椅子にのけぞって言った。
「まぁ、こちらは待つしかできない、三食たべて寝て元気な子ってね」
キャットは机に肘をついてみまに答えた。
 




