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68 抵抗①

竹本は自分たちのコミュニティ、田舎の片隅にひっそりと暮らしていくことで、悪意から遠ざかろうと考えたが、それはうまくいかなかったことをしゃべりだした。


「ある日町から男が二人やってきた、スーツを着て柔和な笑顔で新しいクリーンな事業を立ち上げようと思っているから、村の若者をぜひとも従業員にと言って来たんだ、スマホで会社のサイトも見せて来た」


俺はその段階からなぜ警戒しなかったのかと思った。


「警戒はしたよ、何度も断ったが何度でも来る、若者たちは大勢がその新天地へ行きたがった、ある日私たちは折れ、ほとんどの若者がその会社で働くために村を出て行った、定期的に連絡もあった、元気にしているし寮の人も親切だと言っていたよ」


「だがそうじゃあなかった」

「そうだ、ある日ボロボロの作業着を着た若者が一人、村の外れに倒れているのが見つかった、息を吹き返すと彼は、あの企業の言うことは嘘っぱちで、ボロボロの部屋に押し停められ、ひどく危険な仕事や薬物を大量に扱う作業に従事させられていたと」


「分かってはいるが一応聞いておくよ、女性の方は?」

「想像通りだ、売春だよ」


部屋は静まり返った。


「しばらくすると何台ものトラックが現れて、いかつい男たちが、残っていた村の若者のほとんどを拉致しようとした、当然抵抗したさ、だが銃を持っていてね、何人か殺されてその後は抵抗できなくされた」


「村の若者のほとんど?」

「そうだ、おおよそ5歳以上の男女だ」


「5歳・・・あのハードディスクの中身のようなことをさせるため?」

「そうだ」


「その後どうした?」

「村のは悲壮感に包まれた、若者を取り戻しに行こうとか、何とか法の力で対抗しようとは思わなかったよ、どちらも無駄に終わるのは目に見えていた」


「この世界の法など何の役にも立たない」

「ああ、だから情報を頼ることにした、まぁ探偵のような所に頼んで、若者をさらった組織の母体を突き止めさせた」


「ルシウス・・・」

「ああ、あとはそこから情報を取る段で、危険すぎると探偵に突っぱねなれた他の所も似たようなものだったが、新興産業は時間がかかるがと言って引き受けてくれた」


(新興産業でも手つかずで寝かしていたから、とりあえず引き受けただけと言うところだろうが・・・)


「そして今アンタらが情報を抜いて、ここに来ているというわけだ、さて、そろそろ暗号が解けている頃だろう」


そう言って竹本はダイニングテーブルを立った。





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