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66/82

66 データ⑥

新興産業の前で俺は探索スキルを使ってハードディスクにマーキングをした。

探索スキルは特定の物にマーキングをするとそれを認知して、移動した場合はそのまま追尾モードになり、視界の矢印がその後を追う仕組みになっている。


「佐々木さん、何とかデータを取ってこれたよ」

俺はタオルでくるんだハードディスクを佐々木に手渡した。


「おう、さすがに時間がかかったがやり遂げたか」

彼はそのまま支払い手続きをして、俺のカードへ入金をした。


「ん?少し多いぞ?」

「ん?なにやりとげたボーナスだ、悪いが今回はお前らもダメかと思っていたからな」


「ありがと、またご贔屓に」

佐々木は雑誌に顔を向けながら手を振った。


「さってと・・・あとはあれを回収しにくる奴を追うだけだな」

俺はUSVのドアを閉めながらひとりごちた。


夕方の5時過ぎにハードディスクが移動したことを示す電子音が鳴った。


「来た来た、追わなきゃな」

「例のハードディスクの依頼人?」


「ああ、探索のスキルに引っかかった、追跡してくるよ」

「うん、気を付けてね」

みまに見送られながら俺はコテージを出た。


幹線道路を30分ぐらい走っていたところで、道路を大きく外れて田園地帯に進むルートに入った。

しばらくするとハードディスクの移動が10メートル以内に収まったようで、視界には「目的地」と表示され、そのまま進むと大きな農家が見えて来た。


農家から少し離れた位置にSUVを停車させると、歩いて農家まで向かい、玄関のインターホンを鳴らした。


「はいはい、まっててねー」

中からはそう聞こえてきて玄関度扉が開いた。


「おや、見かけない人だね、何かの勧誘かな?」

中から出て来た中年の男は様子がつかめないと言った表情をしている。


「アンタ、さっき新興産業で弁当を受け取ったろう?」

男の顔が厳しい顔になる。


「そんな所は知らんよ、めったに都会へは出ないからね」

「そうか、俺は弁当の中身を知っている、割と苦労して暗号を解いて中のデータベースも見た」


男はしばらく口をつぐんでいたが、鋭い目つきで話し出した。


「君はあれを見てどう思う」

「どう、とは?」


「腐敗臭にまみれて吐き気がするような嫌悪感を感じなかったかね?」

「感じた、アンタと全くの同意見だ、だからこそ依頼主のことが気になった、このデータで何をするのかってね」


「ワシを確保するつもりはないと?」

「ない、俺はこの先どうなるか知りたいだけだ」

「・・・入れ、アレがどう言うものか詳しく教えてやる」


男が家の中に戻るので俺はその後に続いた。

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