64 データ④
「なあ、みまこのハードディスクの中にあるデータが何なのか気にならないか?」
「なる・・・ものすごく苦労して手に入れたモノなんだからきっと何か悪行のデータだよ」
「うん、でも俺たちはパソコンを持っていないし詳しくもない」
「キャット・スミスに行くってわけだ!」
こうして俺たちは歩いてキャット・スミスまで歩いた。
「キャットさーん!!」
「おや、みまちゃん、ああ、えーと」
「さとるです」
「そうそうさとるくん」
キャットはハードもソフトも自在に修復したりいじりまわすことが出来る、ツワモノだ。
つなぎ服を着て髪をまとめているが、相変わらず美人の様相である。
「それで、今日の仕事は?」
キャットが軍手を脱ぎながら聞いてくる。
「コレ、この中身を知りたい」
「・・・ハードディスク、パソコン持ってないのかい?ふん・・・君たちの雰囲気からしてタダの代物じゃあないね、わかった、見てみよう」
キャットはハードディスクを受け取ると冷蔵庫のように大きなパソコンにハードディスクを接続した。
「・・・ウイルス検知を走らせているけど問題なさそうだね、それで中身は・・・うわっ、暗号じゃないか?」
「暗号?」
みまが不思議そうに言うとキャットが答える。
「特定のソフトをカマさないと中身が何なのか分からなくなっているんだ」
「なんとかなるのか?」
俺がそう言うとキャットは断言する。
「なる、あらかじめ暗号解読プログラムをいくつも作ってあるからね、客も暗号解除をたのみに来る人が多いから」
「ふーん・・・キャットさん楽しそうだね」
「ふふっ暗号解読が一番好きでね、組んだヤツとの勝負だし、そいつの性格も出るから面白いんだ」
「俺たちはどうすればいい?」
「ああ、2時間くらいはかかるからいったん家に戻ると良いよ」
「わかったよー」
「お願いします」
俺たちは挨拶をしてキャット・スミスを出てコテージに戻った。
みまはスマホでゲームをしていて、俺は古本屋でほとんど無料のような値段で買ってきた本を読んでいた。
昼時になったのでコテージを出てキャット・スミスの近くにある定食屋に入る、合成肉ではないメニューなので少々値は張るが中々の味だった。
キャット・スミスの戸をあけて入ると、キャットが難しい顔をしてハードディスクをつついていた。
「中身が分かったの?キャットさん」
みまが身を乗り出すと、彼女はまじめな顔になり言葉を発した。
「あなたたち、これの中身をどうしても見たいのかい?」
キャットはそう言って腕を組み、椅子をこちらに向けて来た。




