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53 教祖の能力②

新興宗教の「神代の法」には像や神の絵と言った物は存在しない。

神は各々の内部に宿り、それを正しき方向へ導けば現実は良い方向へ向かい、状況が改善していくと言うような教義だと教祖は言っていた。


教祖自身も特段高い地位に座るでもなく、人々と共に歩むと言う一風変わった新興宗教だ。


「教祖、そのヤクザどもは何時ごろに殴り込んでくるんだ」

「集会の時間は14時だと伝えてあるからまぁ、その位には現れるだろうよ」


やがて14時前になると多くの信徒がホールに集まりだした。

教祖は悩みのあるものはあるかと信徒に問い、数人が手をあげる。


教祖の答えはしごくまっとうなもので、この世界がこうなる前にはなかば常識としてあったような物だった。


(なんだっけ・・・夏休みの子供相談室みたいだな、内容もそれに近い)


しばらくして後方の扉が勢い良く開いたかと思うと、4人の男がどやどやと入り込んできた。


「おい!インチキ宗教!ウチんとこの組員を返しやがれ!」

「ああ、お電話いただいていた人たちですね、あなた方の仲間は本来ありたい姿や場所に行きついたのです」


ホール内はがやがやして、信徒は怯えている。


「あんたの所の誰かがどうなったんだい?」

「なんだおめぇは?」

「まぁ用心棒みたいなもんだよ」


「ふん・・・ウチの組員が2-3組を抜けてラーメン屋やら飲み屋で働いて猫に餌をやっている始末なんだよ、ヤクザとしてのメンツがだださがりだぁ!!」

「下がるとどうなる?」

「俺が兄貴に焼き入れられるんだよ」


「・・・兄貴がいなければいい」

「はぁ?!」

「組そのものが破綻すればメンツもなにも無くなるだろう」


俺と会話をしているチンピラは明らかに狼狽している。


「お前・・・本当は抜けたいんだろう?小規模組織が群雄割拠していて常に対立状態にある、いつ死ぬかわからない、ヤクの売人も人身売買もなんだかわけのわからないうちに壊滅している噂がある」

「詳しいじゃねぇか、俺たち筋モンがそ、そんなこと怖がっていたら赤っ恥だぜ」


「どうかな・・・」

俺はポケットから拳銃を抜き、そいつの頭に向けて構えた、距離は10m程だ。


「お、おいこんな小競り合いで銃を持ち出すのか?」

「死ぬのを怖がるのも赤っ恥なんじゃないのか、怖いだろう、死に直面するのは、お前が歩いている道はいつかどこかでこういう具合になる道程なんだぞ?」


俺は引き金を引くと甲高い音がホール内に響いた。


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