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51 宗教⑤

「さて教祖様、尋問の時間といこうじゃないか」

俺は背中から拳銃を取りだして教祖に向けた。


おろおろとしていた教祖だったが、観念したのかデスクチェアに座り込んだ。


「何が聞きたいのかね?」

「何の目的でこんな宗教をはじめたんだ?」


「教団の教義を知っているかね?」

「本を読んだから知っている、救済だって言うんだろ?」


教祖は手のひらを組んで俺を見つめて言った。

「それ以外に何があるのかね、この能力を使って出来ることに、なにがある?」


俺は教祖の言葉が本当のことのように思えて、洗脳が解かれていないのではないかと疑った。

「君には洗脳の効果が出ておらん、無理やり理解させるようなことはしていない」


「続きを話せ」

俺は拳銃を教祖の頭に合わせて一歩近づいた。


「君はこの世界をどう思うかね?」

「クソのゴミ溜めだ」

「私もそう思う」


俺は拳銃を持つ腕をさげてそれを腰に挿した。


「詳しく」

「君も知っているだろう、この世界は犯罪率が300%を超え失業者に、マフィア、搾取される善なる人々が混然一体となっている、絶望の世だ」


「それと洗脳の関係は?」

「悪漢は正しい道に、心を病んだものは癒され、希望無き者には希望を、洗脳と言う力で救いをもたらしたかった」


「・・・中学生が夢見るような世界を救いたいと言う願望を本気で実現しようとした」

おれがそう問いかけると教祖は深くうなづいた。


「私を殺せと言う依頼なのかね?それも良かろう、教団は成熟期に入った、洗脳がとけても少なくない幹部や教徒が志を残したままでこの組織は維持されるだろう」

「殺せとは言われていない、あまりにも大きな求心力を持つこの教団を調べてこいとかそんな所だ、実際に今俺はこのまま帰ろうとも思っている、腹も減っているしな」


「・・・私の話しが嘘だと思わんのかね?人を集めて、武装組織をつくり、ドラッグで金儲けをするとか思わないのかな?」

「そんなこと言うヤツが本当にそんなことするとは思えないね、それにゴシップ紙には入信者の数が異常でやや狂信的だと言うようなことが書いてあったが、金の話しはほとんど出てこなかった」


「若いな・・・いつか騙されるぞ、ふふふっ」

「なぁあんた、洗脳の能力はもう必要ないんじゃないのか?信者の中で本当に未来に希望を求めている人間にはあんたの言葉だけでも十分じゃぁないのか?」


「私自身が本当の未来を忘れていたと言うことか」

「どうかな?俺はもう帰るよ、そのうまそうな菓子を食いにたまに遊びに来てもいいか?


「ははは・・・構わんよ」


教祖はにこやかな顔で笑った。

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