48 宗教②
「再生!」
みまの額に手をあてて再生のスキルを使ってしばらくすると彼女は周囲を見回しだした。
「あれ?宮殿の中にいたはずだけど、なんか公園にいるよ」
「フウッ、気が付いたか、端的に言うとみまは教祖の能力で洗脳されていた、いまはそれが解けた状態だ」
「・・・信者になった人を取り返しに行った人も信者になっていたのはそう言うことなの?」
「理解が早い、強烈な洗脳の類を有する能力だ」
その後は公園のベンチで教祖に対してどういう対応をしていくか話しあうことになった。
「どう考えても暁のタトゥーでどうにかする他ないよ」
「そうなんだ、だがそう簡単でもないと思う、俺の能力は身体に彫り込んだタトゥーの文字が能力として現れるスキルで、書ける分だけ能力を得ることが出来る、いわばチートなんだ」
おれはソフトシェルの裾をめくって文字が刻まれた腹部を撫でた。
「相手も同じように複数の能力を有していたらどうなるかわからない、逆に洗脳一つを有している代わりにその力が強大だった場合、俺の自我は無くなる可能性があるんだ」
「・・・情報が必要だね、ネットの情報から教団が発行している書籍まで片っ端から眼を通して、何か糸口をつかむ必要があると思う」
「フウッ、さっさとコテージに帰って落ち着いて情報を集めよう。
それから3日経過したが、想像通り教団の発行物は備讃賞賛の文言ばかりであてにならないような物ばかりだったが、ゴシップ雑誌や、ネットコミュニティにはいかにもありえそうな噂が多く書き込まれていた。
「ふむ・・・教団の集会から脱した者の書き込みや取材記事が少しみられるが、あれは何か機械的な洗脳装置に違いない、とか何かの言葉の組み合わせで人をコントロールする術を身に付けているのだ、何てのがあるな」
「それからわかるのは洗脳に対する耐性を持つ人がいて、それも感覚的に洗脳の類だと感じているって言うことだね、完全な能力ではないのかもしれない」
みまは膝を抱えながら床に置いたゴシップ紙をめくって言った。
「もう一つ教団の発行物を総合すると、教祖はめったに外に出ないと言うことだ、狙撃や爆発物で殺すことはまずできない」
「そうなると数メートル距離にまで接近する必要があるね」
「以前に地上げ屋の頭をやったように隠匿と開錠で接近して昏倒させるのが良いかもしれないな」
「でも、洗脳を防ぐスキルは必要だよ、どんな文字が必要になるだろうね」
みまは雑誌の表紙を飾る女性モデルの額をトントンと指先で叩いた。




