43 カルテルをつぶせ⑤
急いで階下へ駆けおりると鈴木が廊下に座り込んでおり、田中は鈴木の太腿をベルトで縛り付けていた。
床には小さな血だまりが出来ており、まだ出血してそう遠くないことがうかがえた。
「応急処置は済ませたが、救急車が来るまで持つかどうかわからない、だいいちこの状態では救急車が呼べない・・・」
田中はうなだれている。
「弾は抜けているのか?」俺が質問するとそうだとの返事が返ってきた。
俺が出血部に手を添えると、鈴木はびくりと反応して顔をしかめる。
「再生」
俺がそう口にすると、出血が吸い込まれて行き傷が少しづつ治癒していくのが見て取れた。
「傷が塞がっている!」
田中は驚きの声をあげてこちらを向くと言葉を発した。
「何をやったんだ」
「俺は特殊な能力を持っていてね、傷を治すこともその能力の一部なのさ」
それを聞いて鈴木が口を開いた。
「通りで痛みがどんどん引いて行くと思ったよ・・・」
彼は脚を伸ばしたり引いたりして具合を確かめている。
「出血が全部吸収されたわけではないからな、血が足りないからこの後は肉とかレバーを食うと良い」
俺がそう言って立ち上がると田中も立ち上がり手を差し伸べて来た。
「助かった、ありがとう、君の能力が無ければどうなっていたことか」
「なに、そう言う能力があるからこんな仕事を受けているんだ」
「顔が血まみれだけど、それも討たれたのを再生したあとなのか?」
「ははっそうだよ、ドジ踏んで顔が1/3えぐれちまった」
「もう大丈夫そう?標的の尋問に入れるかな?」
みまが上の階から声をかけて来た。
全員で二階へ向かう階段を登る、鈴木も難なく登っているので完全に再生したのだろう。
みまに続いて部屋に入ると、標的が拘束され、床に転がっており、その脚からは少量の出血が見られる。
「アンタら組織の場所を吐いてもらおうかな」
俺はかがみ込んでスキンヘッドの男に話しかけたが、彼は何も言わなかった。
その態度を見てグロックで足の甲を撃ち抜く。
標的は叫び声をあげてのたうち回るが、情報を吐くような様子はない。
俺はポーチからツールナイフを取りだして展開し、ペンチの状態にした。
「映画とかで見るから良くわかるだろ、まずは脚の爪を剥がす」
裸足の状態にして親指の爪を剥がしていく。
また絶叫が響き、静かになった後で、俺はスキンヘッドの男に語り掛けた。
「足、手と爪を剥がしてその後は歯だ、それが終わったら今度は指をナイフで切り落としていく」
男は恐れを抱いた顔になりしばらくするとしゃべりだした。
 




