40 カルテルを潰せ②
「頬付けは正しく!トリガーはガク引きしない!背筋で衝撃を吸収しろ!」
浦安雑貨店のおっちゃんは俺とみまの射撃の指導をしていた。
「ふん、お前さんはきちんとできておる、銃を扱ったことが無いのに手練れの使い手のようだわ、こないだの駅前の狙撃はお前さんだろう?500か?700ってトコか?良くヘッドショットしたもんだ」
「800だよ、それなりに難しかった。
「それなり、ね・・・」
(スカーの扱いは狙撃のスキルが作用しているんだろうけれどMP5Kって小さいのは狙撃の範疇に入るのか?)
俺がそんなことを考えていると、おっちゃんが子供のおもちゃのような銃を手渡してきた。
「なんだこれ?えらく小さいじゃないか」
「そう言う風に作られた銃だ、隠し持つのにちょうどいいし軽くてサブにも扱いやすいMP5Kって型番でな、Kってのは短いって意味だ、さあレンジに行って撃ってみろ」
俺はMP5Kを身体を縮めて握り込むようにして撃ち込んでいったが、連射する場合は想像以上に銃口が跳ね上がった。
「銃が躍るだろう?バレルが短いからな、まぁピンポイントに撃ち込むのではなくて弾丸をばら撒くようなものだと考えておけ」
「なるほどね、スカーの方がよほど馴染むよ」
「スカーはな、良い銃だ、ストックの伸縮が出来るし扱うと存外コンパクトだからみまちゃんでも扱いやすい」
みまとおれはトレーニングを終えると、コテージに戻り、数日経過した後に襲撃当日、警官たちとの待ち合わせ場所の廃工場にSUVで乗り付け、念のために拳銃を手に工場に入ると二人の人影が見えた。
「動くな!手をゆっくり上げろ!」
俺が人影に向かって叫ぶと相手は素直に手をあげてこう言った。
「この物件は取り壊しますか?」
符丁である。
「いまのところはその予定はありません」
俺は言葉を返し銃をおろした。
相手は近付いてきて笑顔を見せている。
「私は田中、こっちは鈴木です、まぁ事情が事情ですからこの名でご勘弁を」
「俺も田中、こっちはみま、よろしく」
「とりあえず乗ってきた車を工場の中に入れてください、現場にはあれで行きます、周囲が農地なのでね」
田中は親指ですすけた軽トラを指さした。




