4 システマ
朝日のまぶしさで目覚めた俺は天井をしばらくみつめていた、異世界から日本に戻ってきたが、そこはSF映画のように荒廃した世界だったのを思い出す。
水は出るので顔を洗いそこらに落ちていたタオルの顔を拭く。
生活用品のこまごました物が見当たらないのと、今着ているボロボロの服しかないので、近所にある大型量販店に行くことにした。
量販店は金網で囲われており、カードが無いと入店できない仕組みだった。
入店すると派手なポップがそこらに踊っているが、店内はお世辞にも綺麗とは言えない。
メンズ衣料品コーナーに向かい下着やパンツに色違いのパーカーと黒いシューズをカゴに入れ、最後に中型のバックパックを選んだ。
レジに向かうと小太りな男がタバコを吸いながら、スマホをいじって暇そうにしている。
俺がレジにカゴを置くと、男は煙草を消してスマホを置き、商品のバーコードを通していく。
「お支払いカードをスキャンお願いシャス」
そう言われて女神からもらったカードをスキャンボードに置くと支払いが済んだ。
荷物を先に購入したバックパックに詰めて家路につく。
スマホもネット端末も通じていないためやることが無く、倒れた本棚をひっくり返し、なにか読む者が無いか探して見たが、以前揃えていた本がそのまま残っていた。
「本なんざ何の役にも立たないってか」
そう言って本を整理して、一つの本を手に取った、それは主人公が巨悪と戦うために身に付けた「システマ」と言うロシアン格闘技で活躍すると言う内容だった。
「システマか・・・本では気配探知や気配を消すなど無双状態だったが・・・」
俺は長く考えたのちにタトゥーペンを取りだして腹部に当てた。
痛みが走り「システマ」と言う文字が腹部に書き込まれた。
日が落ちるとまた近所の銭湯に向かい、身体を洗って外に出たところで、例の3人組が待ち構えていた。
「てめぇ!2度と来んなって言ったよなぁああ!?」
「痛い目みたいのかよ!!」
一人目が近づいて来たところで身体が勝手に反応する。
襟首をつかみ投げの要領で地面に叩きつけて、胸に足蹴りを叩き込む。
呆然としていた残る二人に近づくと、一人が拳を向けてきたので、絡めとって腕を折る、3人目は後ずさりしたと思ったらそのまま逃げだした。
「2度とここに近づくんじゃねぇぞ」
俺はそう言って倒れている男の顔スレスレに足を叩き込んだ。
システマ・・・これはすごいな想像以上だぞ。
新しく描き込んだ文字の効果が考えていたよりも強力なことに俺は驚いていた。