24 誘拐
女性は話し出した、内容はこうだ。
彼女は夫から執拗に虐待を受けており、家に閉じ込められていた。
ある日隙を見て逃げ出して、あてもなく歩いているところをここにいる紳士に拾われたと言うシンデレラストーリーだ。
「よくわかった、だがね、嘘をついているのはそっちで、彼女はそこのおっさんと不倫をしていた、被害者は夫である、と言う線は捨てきれないぜ」
「・・・」
俺とみまは女性を見つめて言った。
「見せてやりなさい」
初老の男子が女性に指示すると彼女は下着以外の上半身の服を脱いだ。
そこには、無数の傷跡があり打撲痕、背中にはやけどらしきものが見える。
「分かりました、服を着ていただいて結構です・・・」
「これ以上の証拠がありますか?」
初老の男性の言葉に俺は首を横に振るしかなかった。
「だけどね、俺の仕事は彼女を事務所まで連れて行くことなんだ、いいか?事務遺書まで連れて行くことだ」
「事務所に連れて行くのが私たちの仕事」
初老の男性ははたと気付いたような表情をした。
「分かりました、車を出しましょう、事務所に向かいます」
俺たちは屋敷に止められていた高価そうな車で事務所までのみちのりを走る。
「おっさん、事務所に着いたら俺の役目は終わりだ、いまから拳でも磨いていると良いさ」
初老の男は小さくうなづいた。
やがて事務所に到着すると2階へのぼった。
「おお!!幸恵!!良く戻ってきてくれたね!!」
旦那らしき男が待ち構えていたので、俺は佐々木に耳打ちをした。
「おじさん、いつでもいいよ」
みまが初老の男性に声をかけると、彼は女性の旦那に向かってつかつかと歩みより思い切り振りかぶって顔面を殴りつけた。
「この・・・サディストの破廉恥輩め」
彼はそう言って息を荒くしている。
「な、何をするんだ!!」
旦那の方が大声を出す。
「アンタが奥さんにやっていたのとおなじこと」
みまがそう言うと男は表情を変えた。
「だがそいつは俺のものだ」
「おじさん、彼女を連れて帰りましょう、依頼は果たした」
「なんだと!!私の元に来るはずだ」
俺と旦那でやり取りをする。
「権藤さん、この契約内容見て、内容にはこの事務所まで連れてくること、とあるだからここでおしまいなの、良くあるんだよ、ストーカーが恋人の振りをして女性の居場所を探させるなんてのが、だからこういう契約の場合にはこうしている、誰も読まないがね」
「もうにどと手を出さない方がいいよ、ここがどんな事務所かわかっているでしょ」
みまがそう言うと権藤は床に崩れ落ちた。
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