18 なんでもや
「出して、車の鍵」
みまが拳銃を突き付けて男に問う。
「は?なにを??えええ?」
「車の鍵はどこ」
「あ、ああ、上着のポケットの中だ」
俺は男の上着を探してSUVの鍵を探し出した。
後部座席に男を押し込み、みまは拳銃を突き付けて隣に座っている。
俺はSUVをバックさせて転回し、車道に降りて視界に映る矢印に沿って山を降りた。
「俺をどうするんだ?どこに連れて行く?」
「俺たちはお前を生け捕りにしろと言われただけだ、あとのことは知らん」
男はかがみ込んで観念した様子である。
そのまま新興産業に向かい小一時間ほどで、事務所の前にSUVを停車させた。
男の足にある結束バンドを切り、みまが言った。
「逃げたら殺す、騒いでも殺す」
男を挟み込むようにして事務所に入るとおばちゃんが出迎えた。
「あら、何か仕事をやってきたのね、それにしても早いわねぇ~」
それに適当に対応して2階に上がり事務所に入る。
「なんだ、情報が欲しいのか?何が必要だ?」
佐々木は椅子に座ってこちらを見ている。
「そ、そいつは今朝紹介した件の対象じゃねぇか!!」
佐々木は椅子から立ち上がり、つかつかと歩いてきて男の顔をスマホでスキャンする。
「92%一致、間違いねぇ・・・」
「お前ら何をやった」
「居場所を特定して捕らえただけだよ」
俺の声に佐々木が大きな声を出す。
「そう言うんじゃねぇ!こんなに早く見つけ出すのはあり得ないと言っている!どんな手を利用した!?」
「誰にでも秘密の1つや2つあるでしょう、特にそれで食っているような人間にはね」
「・・・そうか、野暮だったな、飯の種を掘り返すなんざ」
佐々木はデスクに腰かけた、その間に他の男たちが別室に捕らえた男を連れて行った。
「ところで佐々木さんに相談があるんだけど」
俺が声をかけると佐々木はタバコに火をつけた所だった。
「下にある対象が持ってた車なんだけど、どうすればいい?」
「あん?そんなのもらっちまえよ」
「手続きとかは役所に行ったりするのかい」」
「役所はザルだが犯罪に使われた車両となると面倒でな、何でも屋に行って役所にハックかけて偽装のデータを用意させた方が早いぞ、それとこれだ、このステッカーを車に貼っておけ、そうすれば車に手を出す奴がいなくなる」
「なるほど・・・何でも屋か・・・いい店があるんだね」
「駅前に文字通りなんでもや、て看板だしているのがその店だ、行ってみると良い、ああ、それと今回の報酬はナシだ、試験だからな、次から支払う、うちが8お前らが2だ」
「おいおい暴利にもほどがあるだろう6:4、今回の仕事のウデを見て分かっただろうけど、俺たちは腕が立つよ、他へ当たっても良い」
佐々木は考え込んだ様子をした後答えた。
「わかった、6:4でいいだろう、いまのところはお前らを抱えておく方が賢いからな」
そう言って佐々木はタバコをもみ消した。
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