15 掃除屋
俺とみまは並んで薄汚れた町を歩いていた。
「両親と妹の敵は討てたかな、やることはやったがこの先どうすればいいのかな」
「私も先のことなんて考えてもいなかった」
無言で歩いているとみまが口を開いた。
「掃除屋をやるんだよ、殺しとか薬物とかを扱っている連中を片っ端から処理してまわるの」
「・・・1つのグループを滅ぼしたとしても、また次のグループが取って代わるだけだよ」
俺はみまの話しに答えた。
「それでもやるんだよ、私は殺し屋だよ、何人も処理してきた、それを続けるんだよ」
みまは胸元から大き目の千枚通しと拳銃を取りだした。
「暁は自分の力でかたき討ちが出来た、でもそんなこと出来ない人がこの町にもあの町にも大勢いるんだよ、だから私たちがやるんだ」
俺はみまがここまで強い意志を持っていたことに驚いていた。
「金はある、2人でそこそこの場所に、まぁまぁいいだけの家を建てて平和に暮らすと言うこともできるぞ」
「それよりも今もどこかにいる暁と同じ境遇の人や、私とおんなじどこにも行けない子もいるんだよ」
「・・・そうだったな、ここじゃないどこかに行くんだったな、そんなものが無いなら・・・作るしかないよな」
「うん、そうだよ」
その後は無言で宿に入った。
自室で「掃除屋」をやることを考えた、俺はもう何人も殺しているので正義も何もない、両親と妹の敵も討てた、異世界にいて魔物を殺すのと何も変わらない、この世界に跋扈しているのは魔物と大差ない。
「同じだよな・・・荒廃した異世界を旅して異能で魔物を殺すのと・・・」
翌日はみまと朝食を取り、掃除屋をやるための情報源の確保をどうするか話した。
「どこかに確かにいる悪党を見つけ出さなければいけないけど、どうすれば良いかな」
「昨日行った事務所、あそこから紹介してもらう」
「お前を引き抜いた事務所だぞ?それに同業者になるのに仕事を紹介してくれってのか・・・?」
「そう、あの事務所は案件を多く抱えていた、難しそうなのは力のある組織に、木っ端仕事は私みたいなのに卸すの、中間管理会社ね」
みまがそう言ったので、タクシーで裏業者の事務所に付けた。
引き戸を開けると昨日のおばちゃんが声をかけてきた。
「あら、どうしたの?昨日の今日で」
「仕事を回してもらいに来たの」
みまはそう言うと2階への階段を登って行った。
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