14 御剣
俺とみまは土建屋の御剣のそばに潜んでいた。
「いいか、みま俺は絶対戻って来るから30分くらいここでまっててくれ」
「うん、わかったよ、チートに出来ないことは無いよね」
みまは軽い冗談めいたことを言った、状況に慣れてきている証拠だろう。
「隠匿」そうつぶやいて手を見ると完全に透けて見えなくなっていた。
「すごい、全く見えないよ」
美馬はそう言って驚いている。
「じゃあ、行ってくる」
そのまま徒歩で御剣本社に向かい正面から堂々と自動ドアをくぐった。
ドアが開いたので受付嬢が薄く反応したが、誰も見えないのですぐに目を手元に戻した。
平屋だが広い建物で、どこが社長室かわからなかったのでとにかく奥の方へ向かった。
しばらくすると「社長室」とプレートが書かれたドアの前にたどり着いた。
ドアには認証プレートが取り付けられている。
「開錠」そうつぶやくとカチッと音がして鍵が開いたことが分かった、そのまま中に入ると顔を伏せて端末を操作している御剣の姿が目に入った。
「誰だ、何のために入ってきた」
そう言って御剣は顔をあげると辺りを見回した。
「なんだ?キーの故障か?」
そうつぶやいて御剣が立ち上がると同時に俺は隠匿を解除した。
「なっ!?どこから現れた!!何者だ!」
彼は懐に手を入れると銃を抜いて構えようとしたが、俺はするりとした動きで銃をうばい取った。
「あんたに聞きたいことがある」
俺は御剣に銃を向けてそう言った。
「鳳凰ってカジノな、あれはあんた達が地上げしたのか?」
「何のことだ?いちいち細かい仕事のことは覚えていない!」
俺は銃を御剣の足元に撃ち込んだ。
「鳳凰!思い出した海沿いのデカいカジノだろう?そうだウチが請け負った!」
「放火したのもあんたたちの指示か?」
「・・・そうだ、立ち退き堅固に反対している家族がいてな、そこらのチンピラに金を渡して放火させ」
そこまで言うと御剣の額に穴が開き床に倒れた。
血で床が染まっていく。
「これで敵を討てたことになるのか・・・?」
俺はそうつぶやいて銃を床に捨てた。
隠匿のスキルを使い、素早く廊下を進んでフロアに出るとまた堂々と自動ドアから外に出てみまの所に向かった。
「おまたせ、コトはすんだよ」
「うわぁ!びっくりしたぁ!」
みまには姿が見えていないので、俺は隠匿を解除した。
「早かったね」
「ああ、隠匿のスキルがあれば簡単だった、誰も気付かないしカメラにも映らない」
「はは、忍者だね」
みまはほんの少しだけ口角をあげた
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