12 足抜け
異世界のパーティーメンバーにそっくりな少女のホームレスと友人となったが、彼女のなりわいは殺し屋だった。
彼女は俺も殺しをいとわないと知って興味がわいたのか俺のことを聞きたがった。
異世界を救い戻ってみれば世界が変わっていたこと、タトゥーペンのことなどすべて話した。
「タトゥー見てみたい」
彼女がそう言ので、俺は上半身の服を脱いでタトゥーが描き込まれた身体を見せた。
「すごい・・・本当にタトゥーだらけだ・・・不死と言うのはどう言うこと?」
「どんな攻撃をされても死なないんだ」
「回復は?」
「どんな傷を負ってもたちどころに治るんだ」
「チートじゃない」
「そうなんだ、チートなんだよ」
その後少し話した後でみまは部屋に戻って行った。
(彼女の能力も聞きたかったけれども、まだ早いかもしれないな、自分から話すのを待ってみよう)
俺はうまくない冷めきったお茶を飲んで布団を敷き、そのまま眠りに落ちていった。
翌日は昼前にみまと一緒に、彼女を使役していた裏スジの事務所に行くことになった。
外見はだだの中小企業と変わらず、中に入ると事務のおばさんが話しかけてきた。
「美馬ちゃんこざっぱりとしたねぇ、その人は誰だい」
おばちゃんは俺のことを手で示して言った。
「友達です、今日は付き添いで来てもらいました、シバさんはいますか?」
「2階にいるよ」
そう言われて2階に上がると作業着姿の男たちが事務机で煙草をふかしていた。
「シバさん、今日は相談があって来ました」
シバと呼ばれた男はスマホから眼をはなさない。
「ん~・・・?仕事の拒否は認めんぞ、それとも何か?仕事をやめてぇとかぬかすんじゃないだろうな」
「そうです、今日で仕事を辞めたいのです」
シバはゆっくりと顔をあげてみまと俺を見回した。
「こざっぱりしてるじゃねぇか、その男はなんだ別の組織の野郎か?」
「違うよ、みまを足抜けさせようと思ってきた」
「はははは、足抜けぇ?ただじゃすまないことは分かっているだろう、300万払えば考えてやるよ」
俺はポケットからカードを取りだしてリーダーにかざした。
「300万ちょっきりです、確認してください」
シバはあっけにとられた後でリーダーを見つめて決済にタッチした。
「では、これで」
俺が部屋を出ようと歩き出すとシバが大きな声を出した。
「考えてやる、って言ったんだよ、主導権はまだこっちにあるんだぞ兄ちゃん、おい!ルイト!この兄ちゃんに試験を出してやれ」
ルイトと呼ばれたガタイの良い男がデスクから立ち上がると開けた場所まできて、俺の目に前に立った。




