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11 殺し屋

タクシーから降りて焼津駅に降り立つと日は傾きかけていた。


トイレを探して駅周辺をうろついていた時にその子はいた、階段下の日陰に薄汚れた服と髪の毛で座り込んでいた。

「ミコ!ミコじゃないのか!?何でここにいる」


俺はその子に近づいて話しかける。

「ミコじゃないか、どうしてここにいるんだ?」


「ミコじゃない、私の名前はみま、人違いだよ・・・」


みまと名乗るその少女は異世界で共に戦った仲間にそっくりだった、ヒーラーで良く笑い、明るくパーティーのムードメーカーでもあった。


みまと名乗るその少女の目はよどみ、こちらを見つめる表情にも何も込められていなかった。

(あまりにもそっくりだ、だがあまりにも無気力に見える・・・こんなの放っておけない)


「みま、おれは田中暁、一緒に来てくれ、友人とあまりにそっくりなんだ、放っておけない」

「売りはやらないよ・・・他を当たって」

「そうじゃない、友人になりたいんだ、なにもひどいことはしない」


みまはぼんやりと俺を見つめていたが立ち上がって行った。

「どこに連れて行ってくれるの?」

「ここじゃないどこかだ」

「じゃあいく」


彼女は手のひらを差し出してきたので、俺も手を出し握手を交わした。


俺はスマホで服の量販店を検索してみまの服を買い込んだ、彼女が自由に選んで全身丸ごと着替えることになった。

次は比較的マシな宿を探して、二部屋取りみまは風呂に行った。


「勢いでここまで来ちゃったけど、これから先はどうするんだ・・・俺の目的は両親を殺した奴に復讐すること、彼女を巻き込むのは危険だ」


そのようなことを考えているとドアをノックする音が聞こえたので、鍵を開けた。

そこにはみまが立っていて、シャンプーの良い匂いがして、髪はさらりとしている。

「入って良い?」


みまがそう聞くので俺は入室を促した。


「二部屋取らなくても一部屋で良かったのに」

「それはだめだ、男女同室は良くないよ」


「暁は何をしている人なの?何をしたい人なの?目的があるみたいに思える」

俺のことを見抜かれているようでドキリとした。


「俺は両親と妹を殺した奴を見つけて復讐する、絶対にだ・・・」

みまはそれを聞いてしばらく黙っていたが口を開いた。


「私はね、お母さんが家を出て行ってしまってしばらくしたら家を売られて、いくところが無かったの、売りを勧めるひとは沢山いたけど全部断った、私は高校で空手部だった、全国大会も行ったんだよ、それを見込まれて殺しのすべを教え込まれて殺し屋になった、安いお金しかもらえなくてもそれしかなかった・・・」


「はははは、なんだ、2人とも同じような物じゃないか」

俺は笑った。

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