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10 焼津

すれ違う人々がちらちらと視線を投げてくるので、何事かと思ったが、パーカーが血まみれであることに気付いた。


道端でバックパックからパーカーをだしてその場で着替えた、身体に血はついていなかったがこれは再生の際に身体に吸収されたからだろう。


そのまま駅に向かい改札を通り焼津方面のホームに立った。

定刻を15分過ぎて列車はやってきた。


相変わらずすえた匂いとゴミが空間を支配している。

焼津に向かう鉄路も海が良く見えて相変わらず海面に何かを建設している様子が目に入った。


焼津駅に降り立つと以前と違う様相だった、寂れた感じは相変わらずだが、ゴミが散乱してタギングがチラホラ見えている。


ロータリーには一台のタクシーが停車していたのでそれに乗り込み、土地建物の御剣のパンフレットにある住所を見せると、運転手は何事か言うと自動車を走らせた、車中から見る景色も荒れており割れたガラスや火事のあとが見られ、薄汚い格好の男たちがたむろしていた。


「本当はこんなところ通りたくないんですけどね、たまにタクシーを襲ってカードをまきあげる輩がいるんです、そうなると発行に時間がかかり、使用された分の金銭は戻ってこないんですよ」


運転手はため息まじりに話しかけてきた。


「駅のロータリーは大丈夫なんですか?」

そう俺が聞くと運転手が答えてきた。

「あそこは監視カメラとAI警備が張り巡らされているので、奴らも手が出せないんです」


そのあともこまごまとした会話をしているうちに、目的地の土地建物の御剣到着した、金がかかっているらしく、今までに見た中では一番きれいであった。


「お客さん、ここでは言われた通りにすることをお勧めします、逆らうとひどい目に合いますので」

そう言い残してタクシーは去っていった。


俺は自動ドアに向かって歩いてそのままカウンターに向かって歩いて行く。


「ここの一番偉い人に会いたいんだけど。

受付嬢は型通りと言った会話をしてくる。

「アポイントメントはありますか?」


「無いですね」


「それではアポイントメントをおとりになってからまたおこしください」

「アポって簡単には取れないんでしょ?どうすればいいの」


受付嬢は黙ったまま笑顔で座っている。


背後に気配を感じて振り返るとスーツを着た二人の男が腕を組んで立っていた。


「ああ、わかったよ、アポを取れるくらいに出世したらまた来るよ」

俺はタクシー運転手の言われた通りにもめごとを起こさないようにふるまった。


そのまま出入口に歩みを進めると男たちもついて来て自動ドアを出た所でふりかえると、まだ腕を組んで立っていた。


(ふーんえらく警戒してるんだな、何事かやましいことがあるってことだな・・・)


俺はタクシーを呼ぶためにスマホを取りだした。


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