武器はしっかり装備しないと効果がないぞ
「武器はしっかり装備しないと効果がないぞ」
鍛冶屋の親父のいつもの台詞、決め台詞みたいなものだと思って今まで流してきたが、よくよく聞くと意味が分からない。俺を馬鹿にしたものだとすると、こちらも黙ってはおけない。
「親父、それは何ですか?いつも言ってるけど、俺が柄で殴りかかるとでも思ってるんですか?」
「ハッハッハ。若いな。俺も若いときはそうだった。でもな20年、いや30年この言葉を使い続けてるとな、いつか分かる時がくるんだ」
いや20年考えて分からなかったら、30年考えても分かるわけないでしょ、こんな言葉。
「いやいや剣の使い方間違える奴いないでしょ」
「そういうけどな、俺のうった剣で若い奴が、ろくに扱うこともできず死んでいったって聞くと、夜も眠れねんだ」
「そんな奴いたんですか?」
「いないけど」
こいつマジでムカつくな。その髭ひきちぎってやろうか。今までの会話なんの意味があったんだよ?
「だったらいらないでしょ、この台詞」
「いいじゃねーか、意味ありげに若者にアドバイスするおっさんに憧れてるんだよ。それにこういう意味のない会話を楽しめるようになってこそ、大人の余裕もでるってもんさ。まだまだ未熟者だな」
「うるせーわ。付き合ってられないのでもう行きますよ」
「あーちょっと、この剣な金属が珍しいものつかってて、研ぐ時は冷やしてからやってくれ」
「いやいや、無駄口叩いてないでそういう大事なことは
早く言えよ」
こんな鍛冶屋だが腕はいいし、気さくだから店は結構繁盛してたりする。世の中よくわからん。
コメディであってくれ