第十五章 温泉科
第15章 温泉科
自分の意図しない別部高校の番長になってしまった段田は、自分の自意識過剰な上に真面目な性格もあいまって「番長とは何をすべきか!」ということを考え始める始末だった。番長とは副番長を置くべきなのだろうか?
もしくは相談相手の裏番長を立候補させなければならないのだろうか?
などと甲斐甲斐しくも自分の役割について高校一年生の秋頃は悩む事態だった。
しかし大学受験の内申書には「別部高校で番長」と書かれはしないが素行不良であれば先生からの印象は良くはないはずだ。中学でも高校進学の際は「素行」についての先生による特記事項があり本物不良達はほぼ第一志望の公立校には入ることはなかった。学力の未熟さだけではないように思えるような印象でもあった。
こんな事を考えるようになり「医学部」はかなり遠くの希望のようにも思えた。
学校帰りは一人だった。別部高校男子一年生の9割は部活をしていた。体育会系にしろ文科系にしろ殆どが授業が終われば部活という課外授業を受ける。それが段田には同級生の学業成績を追い越すアドバンテージになるとも信じていた。しかし、勉強時間はあまり作れないような段田は悶々とする自分に腹立ちさえ覚えもしていた。
受験まで2年。明日からは苦手科目に着目して教科書の最初からやり直しの勉強をやる。そして1日6時間は自宅学習に入ろう!と決めた。そして寝た。
次の日、学校帰りに本屋で受験参考書を手に広げ、「これが理解できるようになるための勉強は?難関の国立医学部に受かるためには?」
医学部合格作戦というエール出版社からでてる本を買い成功者の勉強法を盗んでやろうと躍起になった。
そして真っ白な意識になってガムを噛みながら別府駅の待合場所で1時間に一本しかない電車を待った。
「呼んだ?」籐武と日渡、もう二人の家政科の女の子が連なって声を掛けてきた。
ここで段田は心外にもニヤッとしてしまった。
「呼んだでしょう?誰にする?」籐武はニコッと笑いかけている。
「四人になったの?」
「もっと居るよ」日渡が続ける。
「段田君、有名人だから私たちとやれる娘はいっぱい居るよ。誰でも良いって訳じゃないんだぁ」
「なら後払いで良いかい?」
「良いよぉ」5,1chサラウンド音声のような響きが段田にはこのとき心地よく聞こえた。
段田は籐武と共に夕方のラブホテル街へと消えていった。




