広島でお好み焼に殺されかけた話
ソウルフードとは、安易に触れてはいけない物である。
未だ関東圏では広島のお好み焼屋が珍しかった頃。
広島の工場に出張した時の話です。
初日、出張先の担当者に今夜の食事(酒)をどうするか訊かれ
「広島のお好み焼が美味いと聞いています、どこか美味しい店を教えて下さい」と答えました。
当時よく出張先のお客さんに集られていたので、お好み焼屋ならまあ集られてもたかが知れるだろうと考えたのですが、これが大失敗でした。
その日の作業には工場側から二人担当者が付いたのですが、あろう事かその二人が『どちらの行きつけのお好み焼屋を奢るか』で揉め始めたのです。
徐々にヒートアップする二人とガチでビビる俺。
社員さん達も集まり、口論の域を超えそうになった辺りで二人の上司が仲裁に入りました。
「お好み焼如きでお客さんにみっともない姿を見せるな、やむを得ん、ここは私の行きつけの店で奢ろう」(意訳)
と、云う事で不満気な二人と私は上司氏の行きつけへ。
上司氏のイチ推しと一番スタンダードなのの二枚にビールを奢っていただき、大変気持ち良くご馳走様でしたと上司氏と別れたまでは良かったのですが、直後、担当者二人に両側からホールドされてしまいました。
「まさか僕達のフェイバリットなお好み焼は食べられないなんて事は言わないよ、ね?」(意訳)
ネイティブな広島弁も怖かった私は、その夜合計六枚のお好み焼と格闘する事となったのです。(さすがにビールまでは勘弁していただきました)
翌朝、減らない腹を抱えて工場に入るとそこには新たな試練が……。
なんかいっぱい食う面白い奴がいる。
みたいな噂が工場内に流れた結果、出張期間中入れ替わり立ち替わり三人づつ毎晩六枚のお好み焼が。
最終日は作業が予定より少し遅くまでかかってしまい、
「もう東京までの新幹線も無いし、まだまだ連れて行ってない美味い店も有るんだよ」(意訳)
などと誘われたのですが、
「明日京都で仕事があるのでかえりまあっす」
とか嘘ついて逃げました。
広島人は行きつけのお好み焼屋が無いと生きていけないのか?
昔2chのどっかにも書いたと思う。