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人喰い  作者: 青い傘
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 もちろん、家を出るときは玄関からではなく私の部屋に戻って、屋根の上から出た。


 改めて、屋根から住宅街の方を見ると人喰いの姿はちらほら見かけられる。それでもこの辺の通りにしては少ないのは良く分かる。それは実は一週間経っていたことが要因なのだろう。


 ただ、今はとにかく家族に会いたい。その思いからも市民会館へと進むことにした。


 市民会館も我が家からは近くにある。地域の選挙なんかはここで行われているらしい。まだ選挙に行ったことはないので詳しいことは分からないけど。


 避難場所としてはあまり大きいイメージはないけれど学校の体育館くらいはあったかなとおぼろげな記憶を思い出す。


 道中はやはりというかなんというか危険の何一つない道のりだった。地上を歩いていないから人喰いと遭遇しないのもそうだが、信号や横断歩道などの距離であれば、今の私のジャンプ力にかかれば届いてしまう。


 近くまでくれば、少し騒がしい市民会館が見えてきた。


「もーううんざりだ。こんな老人やらガキやらの足手まといに強面の男たちに、たいして多くない日々の配給。どうせお前らは俺たちの分まで横領しているんだろ?それが仕事みたいなもんだもんなぁ」


 市民会館に築かれたバリケードの前で言い争いをしているようだった。男は30代くらいの男で後ろにいる人たちもそれなりに若そうだった。逆に言い寄られている方は50代くらいのおじさんと強面のおっちゃんだった。


 その後、捨て台詞のようなものをもう二言程口にし、メンチを切っていた男を先頭に10何人かの集団がバリケードを開けて出ていった。


 男たちが見えなくなり、バリケードを直しているところに私は近くの屋根上から降り話しかける。


「私も入れて貰っていいですか」


 突然の声掛けだったのにも関わらず、おじさんは特に驚くこともなかった。


「いいよ。お嬢ちゃん。入りな」


 どこか見たことあるような顔だと思いながらも市民会館に到着したのだった。

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