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人喰い  作者: 青い傘
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 目を覚ますと、何回も見ているいつもの天井が目に入る。いつもと違うのは世の中が何もかも違っていることだろうか。夢であればどれだけよかっただろうかと思うけど、すでに現実と受け入れ始めている自分がいた。


 それにしてもよく寝たなと思い、スマホの待ち受け画面を見ると、昨日とは違うことに気づく。昨日目覚めた瞬間にはすでにあの日からちょうど1週間経っていた。加えて、電波もアンテナが立っていない。やはり混乱していて頭は回っていなかったらしい。


 もしかしたらと思い、一階へと降りてみる。もちろん慎重に。


「よかった」


 家族の連絡板。伝えることなどがあったときに書いておけるホワイトボードが我が家に設置してある。そこには、見覚えのある母親の文字。


「未来へ 父さんと一緒に市民会館に避難しています」


 次の目的地は決まったが、まずは身支度を整える。


 服装は制服のままでもいいかとも思ったが、さすがに着替えることにした。動きやすさからはスカートはないとして、厚着ももちろんない。そもそも今は夏だし。そして手袋をしても違和感のない服装にしないといけない。


 …日焼けを気にして紫外線カットの防止の手袋と帽子をして、日傘を持っている女性の姿が頭をよぎったがさすがにやめとこうと思う。そもそも持ってもいないし。


 仕方がないので結局いつもと変わらない服装でいいかと衣装棚から適当なTシャツとズボンを取り出し着替える。手袋は追々考えよう。


 続いて、使い慣れた学校のリュックサックの中身を全部取り出し、必要そうなものを中に入れていく。一応替えの着替えと食料、やつらと戦える武器が欲しいところだけど一般の家ではトンカチくらいしか思いつかなかった。


「そういえば、お腹減らないなぁ」


 あれから一週間たったはずなのに空腹をあまり感じない。特に違和感を感じなかったけどようやくそこに気づいた。考えてもしょうがないので、持てそうで日持ちしそうな食品はあらかたリュックサックに入れたが、両親も持って行ったのもあって多くは持てなかった。冷蔵庫の中身も基本的には全滅していた。


 なにがともあれ、次の目的地は決まった。


 玄関を出る直前、私はあることを思い出し回れ右をする。


「心配をかけてごめんなさい。今からそっちに向かいます」


 ホワイトボードに返事を書き、私は家を出た。

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