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人喰い  作者: 青い傘
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 悪夢をみた。親友が喰われ、親友の汚い部分を見て、最後には私も喰われる夢。目を覚ますとやけに高い天井が目に映った。


 なかなかじっと見ることはないがショッピングモールの天井であることが何故かわかった。と同時に、さっきまで見ていた夢を思いだし、身を起こす。


 いつもは白く光が反射している床は赤く汚れ、いつも騒がしいはずのフードコートからは人の声一つどころか、物音も聞こえない。


「夢じゃなかった」


 なんで、私が生きているのかは分からない。運が良かったということだけは分かる。


 ポケットをまさぐり、スマホがあるのを確認するともはや癖になっているようにホーム画面で時間を確認する。


 時間は既に夜の11時を回っていた。おおよそ5~6時間は意識を失っていたらしい。しかし、それよりも思ったのは


「あまり暗くない」


 目を覚ました時には、あまり気にしなかったが随分と昼間ぐらいの視界を得ることが出来ている。天井のライトも消えているようだったがよく見える。


 まぁいいか。それくらいのことであれば、夕方の一連の流れに比べれば大したことじゃない。そんなことよりともう一度スマホの画面を見る。


 親友たちのことばかり考えていたが、家族の安否を確認していない。メッセージが届いていれば、スマホの待ち受けに通知が来ているはず。


「何もないか」


 さっき時間を見たときも特に見えていなかった。いや、見えていたら気づいていた。念のため、ロックを解除し、アプリも確認してみる。


 なんとなく心の中では気づいていたのか、親友の件が相当堪えていたのか不思議とうろたえることはなかった。


 でも、家に戻ろう。ひとまずの目標は決まった。


 見ると、服もせっかく買ってもらったのにあちこちぼろぼろで、華の高校生がするような恰好ではない。


 幸いというべきか近くに私のリュックも転がっており、制服に着替える。そういえば、高校を決めたのも近さと制服の良さで決めたんだったと何故か思い出す。


『ここの制服可愛いよね』


『というより、もう一つの候補がねー』


『シックな感じでかっこいい感じだしな』


 入学当初、親友との初会話。


「あー、どうしてこうなっちゃったんだろうなぁ」


 久しぶりに涙が止まりそうになかった。

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