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人喰い  作者: 青い傘
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 フードコートは私たちと同じような学生が多くいた。その中で一人だけ制服でないからなんとなく浮いてる感じがしてしまう。


「やっぱり恥ずかしい」


 自意識過剰なのかもしれないが周りの視線が気になってしまい、ついついキョロキョロとする。


「未来ってば、そんなキョドってどうしたん?似合ってるんだから堂々していればいいのに」


「そうそう、似合わないなんて思っている奴いたら、あたしがぶっ倒すし」


 頼もしいようでこの現状を作り上げたのは誰でしたっけと思いながらも気にするだけ無駄だとも考える。


「まぁ、いいや。何食べる?」


「エムド」


「エッム」


 おんなじ店を指しているのにもかかわらず、呼び名が違う二人。


 お互いに気分で呼び名を変えているため、合う時も有れば、合わない時もある。ちなみに私はエムド派だ。


 エムドナルド。大手のハンバーガーショップで多くの年齢層からも人気があるであろうフードコード鉄板のお店である。値段が安いことも人気の理由の一つで私たちがよく行く理由だ。


「いつもの?」


「いや、今日は奮発してチーズを2枚にする」


 夏代子はいつもチーズの一枚しか入っていないハンバーガーを食べる。しかし、たまに気分のいいなんかはチーズを2枚に、値段もほぼ倍にする。


「あたしはクーポンあるからポテトでも買うかな」


 美羽はこう見えてもクーポン魔である。財布とは別にポイントカードやクーポン用の財布を二つは持ち歩いている。


 面倒くさがりな私にはとても真似出来ない。


 そんな私は普通のチーズバーガーとソフトクリームを頼む。意外と美味しいソフトクリームは最近のお気に入り。


 それぞれの注文したものが届く。


「「「いただきます」」」


 なんとなく、最近この三人で食べる時は全員の注文が揃ってから、挨拶をして食べている。まぁ、きっかけは些細なことだろうからよく覚えていないけれど。


 丁度、手に持ったハンバーガーを半分は食べたところで辺りが若干、騒がしいことに気づく。


「なんか騒がしくない?」


「んだねぇ。万引きとか?」


 そんな時、館内放送が入る。


「ご来館の皆様にご連絡です。人喰いが一階、食品売り場にて現れました。お客様は係員の指示に従って避難してください」


 その口調は焦っているようにも聞こえるがあまりにしっかりとしたもので危機感に欠けていた。


「だって」


「と言われても全然誰も動かんしね」


「あ、でもスタッフの人きたよ」


 このショッピングモールお馴染みの赤色の制服を着た人が三人来ていた。男性がニ人と女性が一人。男性の一人は面倒臭いのを隠す気もないのか首のあたりをポリポリと書いている。


「放送の通りですので、各自係員の指示に従ってください」


「避難経路はこちらになります」


 避難指示に従い始めたのは私たち含めて八割ほどで二割ほどは残っていたり、違う出口から出ていっていったりしている。


 2階のフードコートは窓からすぐに外に出ることが出来る。エスカレーターもあるので階段を使う人の方が少ない。


 ちょうど外に出られたとき、何人かが一階の外にいるのが見えた。どうやら、一階の人たちも避難をしているらしい。


「なぁ、なんかおかしくないか」


 美羽がぽつりと感想をこぼした。


 見ると、一階の人たちがエスカレーター前に集まってきている。


 確かに変だった。何故だかエスカレーターを塞ぐ様に、待ち構える様に人が集まり出している。


 2階の人の最前列が一階の人たちに飲み込まれた。いや、そのままの表現である。


「エスカレーターに乗っちゃダメ」


 反射的に私はそう叫んでいた。美羽と夏代子の手を引き、2階の中に戻ろうとする。


「ぐあぁぁ」


 振り向いた前からも叫び声というか、うめき声が聞こえた。


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