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十四話

思ったより間が空いちゃったぜ!ごめんよ!

そしてちょっと今回の話いつもよりちょっと長いよ!


 林を抜けて戻ってきたお屋敷。

 なんか妙に懐かしく感じるのはなんでだろう。


「気配を感じたのでまさかと思いましたけど、お一人で帰ってこられたんですか?」


「アロスフィアさん、ただいまです。 傭兵の人が護衛についてくれたので安心して帰ってこれましたよ」


 ウキウキで帰ってきたら玄関前の庭先に予想外にアロスフィアさんが立っていた。

 さっきの言い方だと俺の気配を察知して出迎えてくれたのだろうか?

 凄い能力だな。俺だったら人が部屋の外にいても、下手したら後ろに立たれても気づけないよ。


「エメリーから聞きましたよ。 なんでも死にかけるほどの大怪我をされたとか」


 少し離れているから暗くて表情が見えないけど、声から心配しているのが分かる。

 ……確かに無茶したし、心配かけたよな。


「まあ、はい。 気づいたら身体が動いてて。 ちょっと反省してます」


 そう言うとアロスフィアさんがゆっくりとこちらに近づき、腰に手を回して抱きつくような形になった。

 なんか分からんけどなにこれ?御褒美?

 柔らかいしめっちゃいい匂いがするし心臓爆発しそうなんですけど。


「そうです。 心配かけたのですから反省してください」


「は、はい! ……な、なんで抱きついてるんですか?」


「ハルさんが私に心配をかけたという事を分からせるためです」


「…………はい、本当にすいません」


 丁度胸元より上付近に来ている頭を撫でてみる。

 マジで心配をかけてしまったって事だよな。

 本当に反省しております。

 あとなにこの髪の毛。ふわふわでサラサラなんだけど。


「よし、反省はおしまいです。 今日はハルさんが楽しみにしていた方もいらしてますよ」


「楽しみにしていた人?」


 誰だっけ。ちょっと色々ありすぎて分からん。

 俺が楽しみにしていたのはアロスフィアさんとエメリーさんくらいのもんだけど。

 アロスフィアさんに引っ張られ玄関を抜け、客間の方に連れていかれると何やら話し声が聞こえてきた。

 この屋敷で他にはエメリーさんしかいない筈なのに……あ、そうか。ヘクトールさんか。

 やっと来たんだな。

 エメリーさんに並ぶAランクって言ってたし、商人だから何かしら商品も持ってきてるだろうし楽しみ……?

 あれ?通行証を持ってるのはヘクトールさんだけだよな?

 最初聞いた時はヘクトールさんには町から護衛もつくって言ってたけど、林の外にも屋敷の外にも中にも護衛らしき人はいなかったような。

 一人で来たのか?


「では、私はこれで下がりますので」


「え? アロスフィアさんも一緒に行かないんですか?」


「彼女の事は信頼していますが、私にはどうしようもないものがありますから」


 寂しそうに笑うアロスフィアさん。

 そうだった。ヘクトールさんが許可証を持っていたとしても呪いが無くなる訳じゃない。

 つくづくクソみたいな呪いだな。


「……すいません、じゃあ行ってきます」


「はい、行ってらっしゃい」


「あ、そうだ、アロスフィアさん」


「はい?」


「今度特別甘くて美味しい物を選んでおきますんで、楽しみにしておいてください」


 今の俺に出来ることは本当に少ない。

 それでもアロスフィアさんの寂しそうな表情を減らせるように。

 彼女が喜んで楽しめる時間を少しでも増やせるようにしてあげたい。

 さっきの表情を見て本心からそう思った。


「……ふふっ。 ありがとうございます。 楽しみにしていますね」


 言葉の選び方が自分でもめちゃくちゃだと思ったけど、少しは伝わったのかさっきの寂しそうな表情から一転して可愛らしい笑みに変わった……ような気がする。

 気のせいかもしれないけど、そうだといいな。





 そこにいたのは紛れもない変人だった。

 ヘクトールさんとエメリーさんがいるであろう部屋にノックして扉を開けたその先。

 エメリーさんが一人の着ぐるみとソファで向かい合い何やら話していたようだった。

 明らかにおかしな着ぐるみ。

 茶色い熊のような……いや熊にしては可愛らしすぎるぬいぐるみのような顔。

 百貨店などでよくあるアレだ。顔のサイズがちょっと小さめで可愛らしすぎるけど。


「えっと……こんばんは?」


「ハルさん! 治療にまだ時間がかかるかと思っていましたが身体は大丈夫なのですか?」


 こちらの姿を確認したエメリーさんが驚いたような様子を見せる。

 え、なんでいるの?みたいな表情がなんともまぁ可愛い。

 そして表情がまったく分からない着ぐるみ。

 違和感強すぎるよ。

 

「あ、はい。 エメリーさんにはかなり迷惑をおかけしました。 それに高価なお薬まで使わせてしまったみたいで」


「いえ……私があの場に犯人が一人だけだと思い込んでしまい、ハルさんを大変な目にあわせてしまいました。 こちらこそ迷惑をおかけしました」


「いやいやいや」


「いえいえいえ」


 お互い謝り続けてしまう。

 本当にエメリーさんには非はないんだけど。

 というか俺が弱いのがいけないんだし、たぶん対応も悪かった。


「あのー? その人がエメちゃんが言ってたハルさんなんだ」


「紹介していませんでしたね。 そうです、この方が新しくここで働くハルさんです。 ハルさん、こちらが行商人のヘクトール・ブラックマンさんです」


「……初対面でこんな事を聞くのは失礼かもしれませんが、なんですかその格好?」


「あはーよく聞かれるんだよねー。 これはねー、ボクの見た目が可愛すぎて皆虜になっちゃうからその予防だよ☆」


 キラッて感じでピースするヘクトールさん。

 何言ってんだこいつ。

 エメリーさんが以前言い淀んだのはこんな人だからか。

 随分と個性的……いや、言おう。ただの変人だ。

 会って数分だけど間違いない。


「な、なるほど。 ヘクトールさんがいらっしゃったのなら行商に来られたんですよね? どんな品物を扱われるのか気になっていたんですけど」


「あはーごめんねー。 実は商隊が壊滅しちゃってねー。 それで荷物も全部パー! だから今回は謝罪と損害賠償の為に来たんだー」


「え!? めちゃくちゃ大変な状況じゃないですか」


「そうなんだよー。 とりあえず魔石一年分と生活必需品はある程度ストックして持ってきたんだけどねー」


 ヘクトールさんが指を向けた先には積まれた木箱が結構な量置かれていた。

 …………え?あれどうやって持ってきたんだろ。

 エメリーさんと同じ空間収納かな?


「それは全て買い取りますが、ヘクティは今後どうするのですか?」


「そうなのよねー。 大切な荷物を入れてた指輪も壊れて全部おじゃんになったし商人は引退かなー。 幸いお金を入れてる指輪は常に身につけてて助かったから補償とか諸々含めても生活は大丈夫なんだけど」


 着ぐるみがめっちゃ深い溜め息をついた。

 かなり深刻な事態なのに見た目のせいでシュールすぎる。

 あとエメリーさんが愛称で呼ぶって事はかなり親しいんだ。ちょっと羨ましい。


「部外者の自分が聞くのもなんですけど、何があったんですか?」


「お、聞いてくれるー? 実はさーアトレイユ公国の聖騎士にバッタリ会っちゃってさー。 ボクってこんな見た目だから割と広く知られてるんだよ。 んで、アロスフィア様の家でも商売してるってバレてるもんだからアトレイユ公国の人間がボクを見逃す訳ないじゃん? 出会い頭に光属性と火属性の最上級魔法ぶっ放して来たんだよー」


 めちゃくちゃ明るく言ってるけど何その恐ろしいイベント。

 最上級魔法がどんなものかは分からないけど、名前からしてヤバそうなのを撃ってくるとか怖すぎるよ。

 それとアトレイユ公国って何?この国と敵対してる国?

 今の言い方だとアロスフィアさんに与してるヘクトールさんを狙うって事はやっぱり敵国って事だよな。

 たしかアロスフィアさんの存在が防波堤になってるみたいな事を言っていたし。


「そんな状況でよく生き残れましたね。 アトレイユ公国の聖騎士と言えばクリフ・アストリオンですね」


「そうそう、そいつ。 ボクも雇った護衛や荷物全部吹っ飛ばされてキレちゃってさ。 三日ぐらい本気で殺しあいしてて、流石に疲れて逃げてきたよ」


 やだこの着ぐるみ怖い。

 言い方が軽すぎてふーんって流しそうだけど、言ってる内容が本当にエグい。三日間殺し合いってどんな状況なのか全く想像も出来ないんだけど。

 え、なにヘクトールさんってサイコパスっぽいよ?

 そう思うとこの着ぐるみもめちゃくちゃ怖く見えてきたよ。


「拳撃の狂熊なんて呼ばれる貴女の本気と渡り合うとは公国の聖騎士もやりますね」


「本当にねー、っていうかその二つ名は可愛くないからやめてー」


 狂熊……やっぱりあの着ぐるみは熊なんだ。

 どうでもいいけどめちゃくちゃ動きにくそうだし、脱いだ方が強いんじゃ?


「まあそういう訳で今後商人としてここに来るのはもう無理なんだよねー。 でもハルさんが一部は仕事の肩代わり出来るって聞いたからちょっと安心かな」


「ああ、まあ……それっぽいことは出来ますけど、魔石に関しては今のところ買いに行かないといけないですね」


「そっかぁ。 まあその程度で済むならいいんじゃないかな。 はあーしっかしこれからどうしよっかなー。 いっそ傭兵なるか?」


 一応客の家だというのにソファに寝転がり始めたヘクトールさん。

 若干自棄になってそうな気もするけど、これが通常運転かもしれない。判断しにくい。

 しかし生活というか仕事を奪われたのは確かに可哀想だよな。

 めちゃくちゃ強いみたいだし、稼ぐ手段があるのがまだ救いと思うべきなのか。


「スフィア様から許可も出ていますから、今日は泊まってゆっくり休んで今後の事を考えては如何ですか? 疲れているでしょう?」


「んー……それもそだね! よし、お風呂貸してエメちゃん!」


「分かりました。 ハルさん、色々とお疲れでしょうからハルさんも今日はゆっくり休んでください。 明日、あの犯人の事を説明しますので」


「あ、そういやこっちに連れてきたんでしたっけ? あの人はどうなったんですか?」


「すでに屋敷の餌になりました」


「……あ、はい」


 まあ生きてたとして、会っても何か嫌な空気にしかならないだろうし、いいんだけどそれでも人の死がこんなにも身近にあるとなんだか変な気分になるな。


「ボクもなかなかだったけど、ハルさんも大変だったみたいだねー。 ハルさんもしっかり休むんだよ」


「ありがとうございます。 ヘクトールさんも休んでください」


「はーい。 あ、あとボクの事はヘクティって呼んでね」


 最初のキラッと効果音が付きそうなピースをしてエメリーさんと去っていくヘクトールさん……いやヘクティさん。

 あのポーズは決めポーズなのか?

 一応手を振り返しておいたけど。

 なんというか……アレだ。ちょっとテンション高めの若い女の子を相手にした気分だ。

 嫌なわけじゃないけど疲れるやつ。


 今後うまく付き合っていけるかなぁ?







「うーん……今日は楽しかったし美味い飯も食えたし、金も儲けたし最高だったな」


 ハル……おっちゃんをあの恐ろしい屋敷に届けてから全速力で町に戻ってきた。

 いつもならあの距離を全速力で走っても深夜になっているのに、信じられないくらい速くついた。

 オレも成長しているって事かな?


「んー……思ったより速く着いたし、組合で依頼が更新されてるか見てから宿に戻るか。 良いのが無かったら明日の朝は早起きしなくていいし」


 早起きが苦手な訳じゃないけどけど、率先してやりたいわけでもない。

 この時間帯は傭兵のほとんどは酒場で情報収集だったりバカ騒ぎしてるから、組合が静かなのもいい。

 そういう時間帯に組合員が依頼を整理して、良い依頼がこっそり出ている事もある。

 よし、行こう。



 傭兵組合には色んな種類の依頼が舞い込んでくる。

 傭兵と言えば基本的には武力に重点を置いていて、魔物の討伐や護衛が基本的な仕事になるけど、それ以外にも採取依頼や動向調査など武力以外を要求される事もある。

 これは単純に傭兵にはなったけど、戦うことに適正がない者や戦う力を失った者でも働き口を失わないようにする為のものでもあるらしい。

 最近では困ったら取り敢えず傭兵組合というのが一般的になりつつある。

 この町では小麦の刈り取りに傭兵組合に手伝いの依頼を出される事だってある。

 そうとう暇かお人好しか金が無くて困ってるやつしか受けないけど。


「ですから、組合員ならいざ知らず、傭兵ですらない方の情報を勝手に渡すわけにはいきません」


「無茶は承知の上でお尋ねしているのです! どうか、お願いいたします!」


 だから、こういう何やら無茶な要求をしてくる依頼客も結構いる。

 傭兵組合にやって来て早々に変なやり取りをしている場面に遭遇したけど、今の話をちょろっと聞いただけでも誰かの情報を寄越せなんて言っているみたいだ。

 組合員がそんなことをしたら信用問題になる。

 出来るわけないじゃん。どこの世間知らずだよ。

 後ろから見た感じ華奢で声もかなりお上品で優しい感じがする。あの青白い独特な法衣はクレリオ教の奴か。

 変人が多いからな。


「私はどうしてももう一度ハルさんに御会いしなければならないのです!」


 無視して貼り出された仕事の一覧を見よう、そう思った時に耳に入ってきた名前。

 珍しいっちゃ珍しい名前だ。しかもついさっきまで一緒にいたおっちゃんの名前だから余計に反応してしまった。


 なにもんだあの女。

 興味は無かったけどおっちゃんの敵ならぶち殺すのも吝かじゃねぇぞ?

 あの飯を食えなくなるってなったら組合を敵にしてもいいと思える程には気に入ってるからな。

 フードを被ってるが声からするにかなり若そうだ。


「いくら聖女様の頼みであってもそれは無理です」


「……そう、ですか。 ならば依頼です! 報酬は白金貨一枚、百二十万エルク! 依頼はハルさんに関する情報全てです!」


「せ、聖女様? あ、あの本気で仰ってるのですか? 白金貨ですよ!?」


「本気です。 あの方にはそれだけの価値があります。 アルルコル様の御屋敷に同居されているという話まではお聞きしましたが、あの場所は不可侵領域。 情報が足りないのです」


「依頼を受けるにあたってその前に確認しておきますが、そのハルという人物を害する目的ではありませんよね? もしそうなら絶対にお受け出来ませんよ?」


「そんな訳ありません! むしろ私の元に引き込みたいと考えているのです! ええ、それはもうなんなら私が私の全てを差し出しても構わないと考えているくらいです!」


 …………うわぁなんだあの女。聖女って呼ばれてたけどクレリオ教の聖女か。

 つーかなんであの女はおっちゃんにそんなにご執心なんだ?おっちゃんはクレリオ教とか全然関係興味無さそうなタイプだと思うけど。

 いや、それより報酬がでかいな。あのおっちゃんを売りたくはないけど……悪いようにするつもりは無さそうだし……これはチャンスか?


「なぁあんた。 ハルってもしかして中肉中背でちょっと目付きが悪い黒髪のおっちゃんの事か?」


「そうです! 御存知なのですか!? 御存知なのですね!?」


 ちょっと話を聞いてみるかと声をかけたら受付の兄ちゃんからこちらに向き直り噛みつかんばかりの勢いで駆け寄ってきた。

 こえーよ。


「さっきそのおっちゃんを化物屋敷に届けたとこだよ。 あんた聖女って呼ばれてたけど、そんな人がおっちゃんに何の用だよ?」


「そうだったのですね……既に帰られた後でしたか。 私はあの方に命を救われたのですが、あの方が残された食物が信じられない程に美味しくて、その……恥ずかしながら虜にされてしまいました」


 頬を赤らめて悶える聖女……なんかエッチだな。

 食べ物って事はこの女もあのメンチカツサンドとかいうの食べたのか。そりゃあそう言いたくもなるよ。

 そこはオレも分かる。


「おっちゃんの料理あれヤバイもんな。 オレも食べたけどありゃあヤミツキになるよ」


「あ、貴女も頂いたのですか!? あの素晴らしい甘味、口の中をつるりと撫でていき、柔らかい喉ごしと鼻を抜ける果物の香り、とても素晴らしいものでした」


「…………? 甘い? オレが食べたのはすっげー美味いパンだったけど? パンに挟んである外はザクザクで中にはめちゃくちゃ旨味が詰め込まれた肉の塊が入ってて、しかもソースみたいなのもかかってるんだけどそれがまた美味くてな」


「私はそんなもの頂いていません……ハル様のお料理はそんな素敵な物まであるのですか?」


「みたいだなぁ。 オレの時はそんな甘いやつは無かったけど……出し惜しんだのか? 次会ったらそれも貰いてーな」


 やべーな。おっちゃんに会うのが楽しみになってきた。

 色々と引き出しがあるみたいだし、楽しませてもらわねーとな。


「つ、次に会う予定があるのですか!?」


「ん? あ、おう。 ちょっと頼まれ事してるからな。 おっちゃんもいつとは言ってなかったけど町に顔を出すって言ってたぜ」


「……ありがとうございます。 素晴らしいお話をいただきました。 もし貴女がハル様と御会い出来れば教会のほうに連れてきていただけませんか? これは今の情報とその依頼も含めたお金です」


 手のひらに乗せられたのは白金貨。

 え、マジで?今ので白金貨は流石にやりすぎだろ。

 チラリと受付に目をやると面倒事はごめんだと言わんばかりに無視した。

 普通は仲介料とかを気にして絶対に間に割り込んでくるのに……もしかしてこの聖女って結構ヤバイやつなんじゃ。


「…………まあ受け取っとくよ。 あ、それじゃああんたもあいつの依頼を手伝うか?」


「まあ、どんなご依頼ですか?」


「ああ、実はあいつこの町に来た時に恐喝されててさ。 白金貨十枚ぐらい盗られてたんだよ。 んで、その犯人を探してほしいって。 探すだけでいいからって言ってたぞ」


 ふふん。クレリオ教徒は町の中に結構な人数いるからな。

 こういう時に数の力を頼れるのはありがたいからな。

 しかも聖女なら動かせる人数も多いだろうし、こいつは使えるぜ。


「……その相手の情報はありますか?」


「ベルクって体格のいい男とラルフっていう狼の亜人だな」


「分かりました。 この町の……いえ、全クレリオ教徒に情報を回しましよう。 見つけ次第私が直々に誅殺して差し上げます」


 いやいやいや怖いから。目が本気の殺意抱いてんじゃねえかこえーよ。

 どんだけおっちゃんに肩入れしてんだこの聖女。

 ……ちょっとその二人組が可哀想になってきたな。


「そこまで肩入れするなんてあんたもしかしてあのおっちゃんに惚れたのか?」


「惚れる……え? 惚れる……? いえ、でもこの気持ちは食べ物に……あれ?」


 おっと。冗談混じりに聞いてみたら予想外の反応だぞこれ。

 マジかよ本気か?おっちゃんもしかしてクレリオ教の敵になるんじゃねえか?

 いや上手く立ち回ればクレリオ教の重鎮になれるか。


 ……………………あのおっちゃん絶対ろくな星の下にいねーな。


「あ、貴女のお名前をお聞きしていませんでした。 私はアルメテル。 クレリオ教徒で聖女という大役をいただいています」


「あー……オレはリフェル。 Bランクの傭兵だ。 よろしくな」


 なんだかこの聖女様とは長い付き合いになりそうな気がする。

 握手を交わしてそう思った。 

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