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63話 Side

「ぶぁっくぁもーーーーーーーん!」


 国王陛下のとんでもない怒声が応接室内を轟かせた。あまりにも元気があって、年相応に見えない。

 私もアルバス様も、恐怖で身体がガクガクしていた。


 ところで、私たちは応接に入ったとたんに怒声を聞かされた。なにに対して怒っているのだろう……。

 心当たりが色々とありすぎる。


 ミリアさんもしくはアエル王女に仕事押し付けていたこと?

 アルバス様には内緒で、給金使ってダイヤのアクセサリーを買ったこと?


 この前の社交界の帰りに、苛立っていたから王宮に飾られていた壺を故意に割っちゃったこと?

 あぁ、他にも色々ありすぎて困った。


「シャルネラ嬢よ! この手紙に心当たりはないかね?」

「げ……」


 つい声が出てしまった。

 絶対にバレることはないと思っていたから、心当たりに該当するものから除外していたくらいだ。

 しかも、これはバレたら本当にヤバイやつ……。


 なんとか誤魔化さないと!


「なんでしょうか?」

「ではアルバス伯爵よ。先日ジェールリカ村のログルス子爵に手紙を送ったか?」

「いいえ。そのようなことはございませんが……いったい?」

「ひとまず見るが良い」


 こうなったら、受け取った瞬間にビリビリに破ってしまえば……。


「おっと、先に言っておくが、それと全く同じものを複製してある。破っても無駄だ」

「そそそそそ……そんなことは致しませんわ」


 先手を打たれていた……。こうなったら誤魔化しとおすしかない!

 念のために読んでみたが、私が書いた手紙で間違いはなかった。


「私はこのような物を送った覚えは決してございません。ログルス子爵とはここ最近は直接的な関わりもなく……」

「あぁ。そうだろう。シャルネラ嬢が書いたものなのだろう?」

「そんなことはありませんわ」

「ならば、こちらの紙に文字を書いてもらおう」


 とてつもなくまずい。おそらく同じ字体だと判別しようとしているに違いない。

 こうなったら利き手ではない左手で書くしか……。


「汚い……」

「すみません……」

「ならば右手で書け」

「え……」


「右手で書けと言っている。怪我などしていないだろう? それにシャルネラ嬢は右利きだろう? 前回の社交界でなにを持つにも右手だったからな」


 そんなところまで見ていたのかこの人は!

 こうなったら、なるべく普段とは違う感じで書かなければ……。


「ふむ。字はわざとさらに汚く書き、誤魔化そうとしているのか」

「そんなことは……」

「ならばこれを見よ」


 陛下が別の用紙を出してきた。そこには、前に私も書いた婚姻届だった。

 明らかに今書いた文字と違うため、誤魔化しきれなかった。


「もももも……申しわけありません……」

「認めるのだな? シャルネラ嬢がアルバス伯爵になりすまし、手紙を送り脅迫したことを」

「で、ですが、仕方がなかったのです!」

「言いわけ無用。国務に関することを偽り、尚且つ遠くの領地に送ったのだ。これがどれだけ重罪かわかっておるのか?」


 私はひたすら土下座をするしか方法がなかった。

 アルバス様も一緒に土下座をしてくれている。一緒に罰を受ければ半減するかもしれない。

 なんとかしてこの窮地を切り抜けなければ!

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