表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

52/70

52話

「美味い。こんなに美味い料理を食べたのは何年ぶりだろう……」


 久しぶりということで、私が夕食の料理を作ったのだ。

 材料は、この村で獲れるという新鮮な野菜や山菜を使わせてもらった。使用人で鍛えてきた成果というよりも、この土地で採れた作物が素晴らしすぎるから美味しいような気もする。


 私とレオンハルト様も一緒に食べているのだが、はっきり言って普段食べている物よりも美味しい気がした。


「素晴らしい。ジェールリカ村で獲れた作物は大変素晴らしい!」

「お褒めに預かり光栄です。自然豊かな領地を任されたおかげであります」

「素晴らしい作物に素晴らしい料理人。これ以上の味を作るのは不可能だろう」

「さすがに褒めすぎです! それよりも、お父様の屋敷には使用人はいないのですか?」

「雇えるほどのお金はないからね。全て自分でやっているよ」


 お世辞にも、綺麗な屋敷とは思えない……。部屋数はそこそこあるため、お父様一人では全てをカバーすることができないのだろう。

 ずっと使用人として働いていたから、どうしても気になってしまうのだ。


「よろしければ私が掃除しますよ」

「いやいや、払えるようなお金はないのだよ?」

「そんなものいりませんよ。親子なのですから、気にしないでください」

「しかし……」

「公爵邸で鍛えられた腕前をお父様に見てもらいたいのです」


 それっぽく理由をつけて説得した。さすがに納得してくれたようだが、これは全力でやらなければ。

 幸い何日かはジェールリカ村に滞在することになっているし、明日は一日かけてしっかりと綺麗にしてしまおう。


「では、明日すまないがよろしく頼むよ」

「はいっ!」


 子爵邸で泊まるわけだが、お父様は部屋を二つ用意してくれていた。レオンハルト様とは別々の部屋で寝ることになるのだが、ここで違和感が……。


 何日も狭いテントでレオンハルト様と一緒に寝ていたため、一人でベッドに横になることがものすごく寂しいと思ってしまったのだ。

 テント内では多少触れたりすることがあったものの、男女としてのなにかがあったわけではない。レオンハルト様が紳士に対応してくれたため、より安心感がある。だからこそ、一緒に寝たいという気持ちが強くなってしまった。


 これはかなりマズい気がする。公爵邸に戻ったら、一緒に寝ることなどできないのだから。


 モヤモヤしながら、久々のベッドで横になった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ