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51話

 道中、大きめの街があったのだが、そこはスルーすると言われ、少しだけ遠回りでひたすらジェールリカ村を目指した。


 どうやらこの街こそ、アルバス伯爵が管理している街らしい。レオンハルト様は、街を外側から軽く確認しているようだったが、基本的にはスルーで通過するようだ。理由は聞かず、素直に従うことにした。


 その後はトラブルもなく順調に進んでいき、王都を出発して七日目。ようやくジェールリカ村の子爵邸へ到着した。

 すぐにお父様=ログルス子爵に挨拶をしたくて、レオンハルト様にお願いし真っ先にここへ来た。


「お父様!」

「おぉ……、ミリアか! 成長したね」


 懐かしさと嬉しさのあまり、お父様の胸元へ飛び込んだ。

 レオンハルト様も一緒にいるのだがお構いなしに……。それだけ浮かれてしまった。


「よしよし、元気そうでなによりだよ。王都からの手紙も拝見した。大活躍しているようだね」

「はい。ここにいる主人様であるレオンハルト様、そして公爵邸で働いている使用人や執事長のおかげで」

「そうかそうか」


 お父様はレオンハルト様に視線を向けた。すぐにその場で頭を下げ、敬礼する。


「これはこれはようこそお越しくださいました。ログルスと申します」

「お初にお目にかかります、レオンハルトと申します。諸事情により予定よりも早く来てしまいましたこと、深くお詫び申し上げます」


「いえいえ。むしろ早く会えて嬉しいです。見てのとおりなにもない村ですが、ゆっくりしていってください。それにしても、うちのミリアが大変お世話になっているようで」

「彼女には驚かされてばかりです。公爵邸もより華やかで活気ある場所になりました」


 お父様はホッとひと安心したようなため息をはいていた。

 ここは公爵邸じゃないのだから、恒例の褒めまくりシステムは採用しなくてもいいのに……。使用人みんなが明るいから活気があるわけで、私がどうこうというわけではない。お父様のいるところでは、あまり持ち上げないでほしい。


「ところで、ミリアを貰ってくれるという話ですが」

「はい。彼女は使用人としてだけではなく、大変素晴らしいお方です。周りを幸せにし、そのお人柄も良く、人気もあります」


「公爵様からそのようなお褒めの言葉をいただけるとは……。ミリアは頑張っていたようだね」

「ミリア様との婚約を、正式に認めていただきたいのです」


 今までお父様から正式な許可を貰えていないから、恋人という形でお付き合いをしていた。ここに来るまでの間に、何度も婚約の話や結婚したあとの話も色々としてきた。


 だが、今こうして改めて婚約の話をお父様の前でしていると、ドキドキしてしまう。お父様のことだからダメだなんてことは言わないだろうが、レオンハルト様が一生懸命なところを見ているとドキドキするのだ。


「ミリアよ、幸せになっておくれ」

「お父様……」

「改めてレオンハルト公爵様、娘をよろしくお願いいたします」

「ありがとうございます!」


 このときをもって、私とレオンハルト様は婚約者同士という関係になった。

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