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33話 ミリアは内緒にする

 レオンハルト様との交際については、執事のガイムさん以外には、今の段階で誰にも報告しないことになった。

 隠さなければならない理由があるというわけではない。


 ただ、お互いに初めての交際だし二人でゆっくりとして交友を深めていきたい。

 そんな気持ちがあったから、周りにチヤホヤされたくないと、レオンハルト様は思っていたそうだ。


 私も言われてみればそんな気持ちもある。

 せっかく意中の方と交際が始まったわけだし、この幸せはたとえ仲間であっても今はまだ知られたくない。

 そんな気持ちがあったのだ。


 だが、そう決めていても私の顔には幸せ満載ですと言った表情が表れていたのだ。


「ミリアさんなにか良いことでもありましたか? ずいぶんと幸せそうですが」

「ひゃ! なななっなんでもありませんよ」


 風呂上り、メメ様が私の髪の毛を丁寧にとかしてくれている最中にふと、そんなことを聞かれてしまった。

 もちろんメメ様にも交際が始まったことは言っていないし、今はまだ言っちゃダメだ。

 誤魔化す行為は大変申しわけないし心苦しい気持ちにもなるが、今回ばかりは嘘をつかない範囲で……。


「修行ではなく、ここで毎日ずっといられると思うと嬉しいのですよ」

「……まぁ、そういうことにしておきましょう。ミリアさんには、今後さらに美しくなってもらう必要もありそうですね」

「もう十分すぎるほどメイクやマッサージでメンテナンスさせてもらっていると思いますが」

「日々の継続が大切ですからね。それに、今後はミリアさんの生活には誰かが専属として配属することになるでしょう。マッサージも毎日コースになるかと」

「えぇぇえぇええ!? 修業から専属になると、そんなに至れり尽くせりなんですか?」

「ふふふ……」


 メメ様がにこやかに微笑む。


 社交界が決まったあたりから、私の生活スタイルが著しく変化している。

 そろそろ使用人としての仕事も再開して、自分磨きもやらせてもらわなくては。


「明日から復帰させていただくわけですが、正式に使用人となると、仕事量は増えますか?」

「いえ、今までと全く一緒ですよ」

「はい?」

「黙っていて申しわけございません。実は、ミリアさんは優秀だったので、修行用のスケジュールではなく、公爵邸使用人として仕事を与えていましたので」

「全く気がつきませんでした……」

「それだけミリアさんの仕事の出来が良く、厳しい内容でも難なくこなしていたからでしょう」


 アルバス伯爵邸で使用人をやっていたときの難易度がいかに高かったのかを理解できるような言われかただった。

 ある意味でだが、シャルネラ様にも感謝したほうが良いのかもしれない。

 厳しい環境を当たり前のように命令されていたおかげで、今は苦痛にも思わないし楽しく仕事ができるようになっているからだ。

 もちろん、もう一度地獄の毎日をやれと言われたらお断りするけれども。


「逆にひとつだけミリアさんには仕事を除外するものもありますね」

「え!? なにかダメだったとか……」

「いえ、ミリアさんの出来がどうこうと言う問題ではなくてですね、大事なお方をリスクのある状況にしてはいけないという理由です。食材などの買い出しは今後はさせません」

「そ……そんな……」

「我慢してください。レオ……こほん。えぇと……、メダルを授与され王族と対等な立場になったのだから、気安く街へ出かけてはなりません。当然のことですよ」

「は……はい」


 買い物も好きだったから、こればかりはショックだった。

 だが、これも私のことを心配してくださっているから言われていることだとはすぐに理解できた。

 私にできることをしっかりとやっていこうと思う。


 はぁ、早く明日にならないかなぁ。

 久しぶりに仕事ができるのだから。

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