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21話 ミリアは社交ダンスの練習をする

 社交ダンスの練習で、最初はメメさんと執事のガイムさんが模範として踊ってくれた。

 二人とも滑らかな動きで芸術を見ているようだった。

 特にガイムさんは慣れているようで、可憐でカッコいい。


「私のダンスが最低基準だと思ってください」

「え!?」

「大丈夫です。ガイム様はこの手に関しての指導はプロ中のプロです。指導は大変厳しいですが素直に全て従っていればおのずと上達するでしょう」

「頑張ります!!」


 私がそういうと、ガイムさんは今まで見せたことのないような気合いの入った目つきになる。


「では、遠慮なく指導しましょうか。まずは基本からです。姿勢を正しましょう」

「は、はい! こうですか?」

「反っているだけです。まぁ無理もありませんね。掃除を毎日していると、どうしても前傾姿勢の癖がついてしまうでしょう。ですが、ピシッとした姿勢にするためにまずは矯正からです! そこのソファーにうつ伏せで横になってください」


 私は言われたとおりにうつ伏せでごろんとなる。

 すると、ガイムさんが私の右足を両手で持ち上げ、普段のマッサージとは違うようなグイグイが始まった。


「いたいいたいいたいいたい!!」

「我慢してください。骨の矯正ですから」

「ほ、ほねっ!?」

「折れるようなことはしません。正しい位置に直しているだけです。姿勢を整えるためですから」

「きゃぁぁあああああっ!!」


 脚だけでなく、お尻周り、腕、肩、首までありとあらゆる部分をボキボキと音を立てながら容赦無く動かされた。

 痛みはあったが、終わってみればスッキリした。


 仕上げに足を持ち上げられ、そのままグイグイと引っ張られる。

 こちらは気持ち良いくらいだ。

 反対側の足も同様にされる。


「これにて矯正は終了です。立ってみてください」

「はい」


 立ち上がると、私自身では特に違和感はないのだが、メメ様が、『おおぉっ!!』と言いながら感動していた。


「ピシッとした姿勢になりましたね。普段のミリアさんのイメージよりもより美しく見えます。さすがガイム様の矯正は素晴らしい」

「骨盤の歪みも直しましたし、足も伸ばして数センチ規模ではございますが身長も伸びています。あとはこの姿勢を維持するために私生活でも掃除などといった前傾姿勢が問われるものは極力避けるように」

「ありがとうございます!」


 私は特に意識しているわけではないのだが、鏡で私の体勢を見せてもらったら、いつもよりピシッとした姿勢になっていた。

 普段はやや猫背だったのだが、直っている。


「さて、それでは本格的に社交ダンスの基礎から覚えていただきましょう」


 ガイムさんの社交ダンスレッスンは、想像以上のスパルタで、厳しい日々が続いた。


 だが、公爵邸に泥を塗るような真似はできないし、自分でも少しずつダンスができるようになってきている実感はあったため、スパルタ特訓もなんとかついていく。

 そして、大変だと思っていた特訓が、いつのまにかあたりまえのように出来るようになった気がした。


 明日はいよいよ社交界である。

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