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露天風呂


 話したい事があると言われた瑠璃は、そのまま座って待っていた。少しして、乙成が戻ってきた。瑠璃は、どんな話があるのだろうとそわそわしている。


「瑠璃ちゃん、まずは、三日間お疲れ様です。よく頑張ったわ!」


「ありがとうございます」


「それで、話の内容なんだけどね、一つ目は、明日からのお休みの事なの。明日から二日間は、みんなお休みになるんだけど、ご飯の事は覚えているかしら? 出かけたり、自分で用意したりする時は、ボードに名前を書いておいてね」


「わかりました。みんなが休みになるんですね」


「うん。それと、出かける時に、車とか原付とか自由に使ってもらって大丈夫だから、その時は、事前に私か中野さんに言ってね」


「使っても大丈夫なんですね、でも、運転には慣れてないので使う事はないかもです」


「そうなのね。それなら、出かけたい時は、私に言ってもらえたら送るから気軽に言ってちょうだいね。それと、もし運転したくなったら、私も一緒に付いて行くから、その時も言ってね」


「ありがとうございます。その時はお願いします」


「それと、もう一つ、話があるのだけど、今日のお風呂の事なの」


「お風呂ですか?」


「そう、別館にある露天風呂の事なんだけど、今日と明日は入れる事になってるから、瑠璃ちゃんも入らない?」


「露天風呂ですか! 入りたいです」


「瑠璃ちゃんが入れる時間は少し遅くなるのだけど大丈夫かしら?」


「はい、大丈夫です。遅くなるのはお湯を入れるのに時間が掛かるのですか?」


「そうじゃないのよ。先に私達、女性が入るから男性はその後に入ってるの。瑠璃ちゃんが来る前は、ほとんど中野さんだけしか男性がいなかったから、私達に先を譲ってくれていたのよ」


「それでだったんですね。わかりました」


「時間になったら部屋に呼びに行くわね」


 瑠璃は、露天風呂がどんな感じか気になってワクワクした気持ちを持ちながら自分の部屋で待っていた。しばらくして、ノックがしたので扉を開けると、乙成がいた。その姿は、風呂上がりだからだろうか、顔が少し赤く、あでやかな印象を瑠璃は抱いていた。


「瑠璃ちゃん、お待たせしました。私達はあがったから、入っても大丈夫よ」


「あ、はい、ありがとうございます」


「とっても気持ちいいから、ゆっくりしていってね。あ、でも、のぼせないように注意はしてね」


「はい、気を付けます」


 瑠璃はタオルと着替えを持って脱衣所まで来た。周りを見渡してみると、そこは旅館にあるような脱衣所だった。そんな脱衣所を見て旅行に来たかのような気分になっていた。近くにあった籠の中に脱いだ服と持ってきた物を入れて、体を洗うタオルだけ持って風呂に繋がる扉を開けた。


 眼前には石造りの風呂もあり、広さも大きめだ。周りは柵で囲まれていて、風呂の上には木造の屋根があり、その周りから夜空が眺められるようになっていた。すぐに入りたいという気持ちを抑えつつ、瑠璃は体を洗う事を優先した。


 体を洗い終えた瑠璃は、湯船に飛び込みたい気持ちが芽生えていたが、大人なんだから、とその衝動を抑え、そろりと足を入れていく。熱すぎない湯加減にどんどん体を沈めていき、首元が浸かるまで入った。入ると、ふ~、と自然に息が漏れる。ガラガラガラっと音が聞こえたので、瑠璃が振り返るとそこには中野がいた。


「どうも、お風呂はいかがですか?」


「とっても心地いいです」


「喜んでもらえて何よりです。私も体を洗って入りますかね」


 中野はそう言うと、体を洗った。洗い終わると、すぐに出入口の方に戻って行った。瑠璃は、あれ? 入らないのか、と思っていたが、中野はすぐに戻ってきた。手に何かを持っているようだ。


「やっぱり露天風呂にはこれがないとね」


 そう言った中野の手には、徳利とお猪口が乗ったおぼんを持って湯船に入ってきた。


「あ、それってお酒ですか?」


「そうですよ。露天風呂にはお酒がつきものです。綾乃里君は、お風呂に入りながらお酒を飲んだことはありますか?」


「ないです。テレビで露天風呂に入りながらお酒を飲んでいる姿を見た事はあるのですが、やった事はないです」


「では、今からやってみましょうか」


 中野にお猪口を渡された瑠璃は、お酒を注いでもらっている。


「さ、まずは一口飲んでみてください」


「はい、いただきます。……ふぅー、おいしいです。お風呂に入りながら飲むのもなんか良いですね」


「良さを分かってくれたようで何よりです。しかし、あんまり飲みすぎてのぼせてしまっては駄目なので、二人でこの徳利一本分にしておきましょうか」


 少しの間、静寂が訪れた。周りから聞こえてくるのは虫の鳴き声ばかりだ。瑠璃は、お酒を少しずつ口に運び優雅な気分でいた。


「そういえば綾乃里君は、休日は何か予定はあるのですかな?」


「予定ですか? 特にこれと言うのはないのですが、いつでも入っていいと言われたので、温室でゆったりと過ごしてみたいとは思ってます」


「温室ですか、良いですね。私も好きな場所ですよ」


「良い場所ですよね。中野さんは、休日はどうしているのですか?」


「私は、自宅に帰ってますね。来客の予定などあれば、帰る事はないのですが、基本的に休日は自宅に帰り、家族と過ごしていますよ」


「そうだったんですね。自宅に帰った時はどんな事をしているのですか?」


「今はもっぱら孫と過ごしたり、旅行に行く事が多いですかね」


「旅行とかも良いですね」


 その後も雑談をしながら湯船に浸かっていたが、のぼせそうだと思った瑠璃は風呂から上がった。露天風呂がまるで旅館の様だったので、瑠璃は旅館に来たかのような気分になったまま部屋に戻り眠りについた。


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