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プロローグ

 


 男は懐から何かを取り出した。それを見た瞬間に瑠璃は小百合の前へと出た。目の前にある物が刃物だとはっきり分かっても、その場から動かず小百合を守ろうと身構えた。胸の内では恐怖心しかなかったが、自分だけ逃げるという選択肢は瑠璃に無かった。


「邪魔だどけ! どかねえならお前からるぞ!」


 男に脅されても瑠璃は動かなかった。本当は怖くて足も動かせなくなっていた。男は腕を引き刃物を構えると、瑠璃はもうだめだ、と思いながらギュッと瞑った。






*

*

*






 桜が舞い散る季節、窓の外を眺めると、庭にある桜が風になびき舞い散っていた。もう少し近くで見たいと思った綾乃里あやのさと 瑠璃るりは窓を全開にした。外からは心地の良い風が入ってきたが、少し冷たさも感じた。風によって舞い散った桜はいつまでも見たいと思わせられるほど幻想的で見惚れてしまっていた。


「クシュン、うぅー、最近暖かくなってきたけど今日はちょっと寒いなぁ」


 そう言って瑠璃は窓を閉めた。少し肌寒く感じたので、近くに掛けてあったカーディガンを羽織り、パソコンの前に座った。


 2週間ほど前にバイトをやめていたので、今週は応募するバイトを見つけようと思って、求人サイトをしばらく見ていた。すると、一つの応募に目が留まった。そこには執事・メイドの募集の文字が書かれていた。まあ、カフェの募集だろうと思っていた瑠璃だったが、書かれていた金額が思ったより高く、少し気になったので詳細を確認してみた所、カフェではなくお屋敷で働く方の募集だった。


「へぇー、こんなバイトもあるんだ」


 高校を卒業して以来、様々なバイトを渡り歩いてきた瑠璃は、少し違った事をしたいと思っていた。今まで、飲食店やホテル、工場など色々とやってきたが、そろそろ違う事、めずらしい事に挑戦してみたいと考えたいた。


 そんな所にこの募集を見つけたので、丁度いいと思い応募することにした。応募するのに履歴書を送付する必要があると書いてたので、早速その日のうちに書いてポストに投函する瑠璃だった。


 ――しばらくして、瑠璃の携帯電話に着信が入る。電話に出ると、落ち着いたかんじの男性の声が聞こえた。声の主は、先日応募したバイト先からの連絡だった。面接がしたいという事で、いつなら大丈夫かという話だった。


「はい、予定は特にないので、明日でも、いつでも大丈夫です」


 瑠璃はそう答えると、明後日はどうかと聞かれたので、大丈夫だと言い、明後日に面接をする事になった。面接場所は少し遠い場所にあるという事で、家まで迎えに来てくれるという。瑠璃は少しドキドキしていた。いつも面接は自分から行くことがほとんどで、迎えに来てくれるという初めての事でドキドキしていたのだ。


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