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キヅカナイ  作者: 鷲宮
2/7

妊娠

俺とマナが知り合って1年以上が経つが、こいつの学校での生活態度は最悪だった。まずは、登校時間の8時45分に間に合ったことが俺の知る限り1度もない。その姿は悪ぶれた様子など全くないうえに、髪はボサボサで制服はシワクチャというだらしなさすぎる身だしなみは女性を捨てているとしか思えなかった。そして朝のホームルームが終わると、職員室に呼び出されて怒られる。これがほぼ毎日、日課のように行われる。また、授業が始まると、遅刻して先生に怒られたことなど、忘れてしまったかのように居眠りが始まる。もちろんイビキつきで――。すると、先生に怒鳴りつけられた挙げ句に、授業が終わるまで廊下に立たされる。また、他の先生の中には呆れて何も言わずに補習を受けさせる奴もいた。当然と言えば当然だ。


そんな感じでマナは4時間目の授業が終わるまでの殆んどの時間を居眠りをして過ごしていた。休み時間はというと、寝ているか隠れて早弁をしているか、スマホでゲームをしているかだった。だから4時間目の授業が終わり昼食の時間になると食べる物がなくて困っている。仕方なく周りの人間――殆んど俺だが、自分の弁当を分けてやっている。もちろんマナが俺に遠慮などする訳もなく、食べたいだけ食べてしまうので、俺の弁当はいつも空になってしまっていた。そんな訳で、マナと同じクラスになってからは、ほぼ毎日学食で売っているパンを買って食べるようになっていた。だから最近では通学途中にコンビニに寄って、おむすびやパンを買ってから行くようにしていた。そうすれば学食まで行き、長い列に並んでパンを買う必要はなくなるからだ。


「それ美味しそう。ちょうだい?」


「俺の弁当食べてるだろ?」


「お弁当は圭ちゃんに返すから、いいでしょ?」


「お前な――」


「ねぇ、いいでしょ?」


「わかったから、くっつくな」


「圭ちゃん、だ~い好き!」


俺がコンビニで買ったパンを食べていると、それを欲しがり始めるという始末だ。でも結局マナに譲ってしまう俺がいた。


また、授業中は寝ているか廊下に立たされているような有り様なので、学校の勉強についていける訳などなく、出された宿題もまともにやれてはいなかった。


「圭ちゃん、宿題見せて!」


「またかよ。少しは自分でやってこいよ」


「いいじゃん。私全然わかんないし、圭ちゃん頭良いんだからケチケチしないで見せてよ」


「お前なぁ。わからないなら、わからないなりに努力ってもんをしたらどうなんだよ」


「やだよ! 面倒くさいもん」


俺が言ってもこんな具合だ。とにかくマナは勉強が嫌いだったし、授業で先生の話を聞くのも退屈で仕方なかったようだ。宿題でも、答えを写すだけのものならいいけど、論文や作文になるとそう容易くはいかなかった。1度、俺の書いたものをマナがそのまま書き写して提出してしまい、先生にバレて2人とも職員室に呼び出されたことがあった。マナには、そのまま写すなと言ったのに――。だからそれ以降、文章問題の宿題が出た時は、1から10まで付きっきりで教えている。また、漢字の書き取りの宿題が出た時なんかは、やりたくないと言って、全く手をつけないで学校に行き、こっぴどく叱られたことがあった。そんなことがあって、マナは嫌いな先生の授業や嫌いな科目の授業をバックれることが多くなっていった。それに何かをやらかして廊下に立たされていた時なんかは、行方をくらますという信じられない行為を平気でやっていた。そういう時は大抵、保健室で寝ているか、屋上で時間を潰しているかのどちらかだった。

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