マリーゴールド
ブクマ、評価ありがとうございます。
やっと来ました?マリーちゃん!!
お待たせ?しました!マリーちゃんです!
よろしくお願いします!
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最後辺りのフリードの神に祈る表現が手を組むとなっていて左腕がないので、組めないのでは?とアドバイスを頂きました!
作者もあーーー!となった次第です。
申し訳ありませんでした。
アドバイスを受け入れつつ少し表現を変えさせていただいております。
感想ありがとうございました!
また、ブクマ、評価、イイネもとっても嬉しいです。
たくさんの方に読んで頂けて幸せであります。
「この薬は別人になることができる。と装うことのできる最後の機会です。ジン経由で貴女に渡ることになるでしょう。その時までに貴女がそのくすりを飲むのか、飲んで別人となるのかならないのか決めてください。私達貴族から貴女にできる最大限の慈悲です。」
目の前に現れた死神のような使者はマジもンのような言葉を吐いた。人間だよね?私の目が可笑しいわけでは無いよね??
「私にマリーゴールドを辞めろと仰いますか。」
「もう、辛くないですか?貴女のことを見ているとなんか…疲れるのですよ。はっきり言って。」
「!?」
私は…私だってそんな人間になりたかったわけではない!!私は…悲しまれない存在に…ならなきゃいけなかったのに!!
「今さら私の意見などなんの意味があるのですか?」
「へぇー。意外でした。貴女ちゃんと周りが見えていらっしゃたのですね。なるほど。では聞かせて下さい。貴女の意見とやらを。でも、長々とは困りますので手短にお願いします。」
この冷たさ。そうか。この人は本当に私の意見を聞いてくれるつもりなんだなと思った。
私に優しい人達は意見など聞いてくれなかったから…
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「マリー貴方は本当は…このような所に居るような人間じゃないのよ。でも、ごめんなさい。私の身分が低いせいで…。」
いつもお母さんは私に泣きながら話していた。でも、意味が良く解らなかったの。特に泣かれるほど不幸せでもなかったから…。家もあるし、学校にも行かせて貰えているのに。自分たちで生活しなければならないけど、飢えたりもしていないし、寒さで凍えている訳でもない。でもお母さんは泣くの。だから、こう思ったの…私はお母さんを悲しませてしまう存在なのだと。だから決めたの!泣かれない存在になろう!笑顔になれる存在になろうって!
だから、笑顔でいたわ。どんな時も元気で挨拶したら皆嬉しそうだったの!お母さんもマリーの笑顔は癒しになるって言ってくれたわ。
お母さんも笑顔でいれば良いのに…。
お母さんが死んでしまったのはそれから十年後だったわ。夏風邪を拗らせそのまま死んでしまったの。別に医者にかかれなかったとか、薬を買えなかったとかではないし、どちらとも直ぐに手配して貰ったがお母さんの体力が持たなかっただけだったの。
可哀相にと泣かれながら私は父と呼ぶことになる存在と初めて会ったわ。
「今まで会うことはできなかったが、君の母親が亡くなった事で妻が譲歩してくれてね、マリー、君の引き取りを許可した。これからは私の娘だ。マリーゴールド=フォン=ヒアシンスと名乗りなさい。これから君は子爵令嬢となる。令嬢らしい振る舞いをするように。」
私はやっと泣かれない存在になれたのだと思った。
お母さんが望んだ存在にやっとなれたのだ。私は嬉しかったわ。
ヒアシンス子爵夫人は私が養女となることを許してくれたけれど教育する事は拒否したみたいで、お父様が遠縁を頼って私を王妃殿下の元へ預けてくれたわ!
私が王宮に行けるなんて!とてもウキウキしながら馬車に乗ったの。
きっとたくさんキラキラしてるって楽しいだろうと思っていたわ。
実際はそんなこと全くなかった。だって!平民のままの方が自由だし、別に暮らしに不便はなかったもの。
むしろ、ああしなさい。こうしなさいってうるさいしできないとコソコソ話しながら、平民あがりはねぇー。って嫌み言ってくるのよ!
感じ悪すぎるでしょー。しかも見習いだからなんでもしなきゃいけないし…王妃殿下の身支度の手伝いやらお茶の入れ方やら。作法多すぎ!早起きは別に慣れてるけどね。でも、王妃殿下のドレス選びや御飾り選びはとても楽しかったし、王妃殿下はお優しい方だったわ。
周りが厳しいと庇ってくださるし、マリーの笑顔は素敵ねと褒めて下さるのよ!
「マリー?貴女に私の息子を紹介してあげましょう。貴女の笑顔には癒されるわ。その笑顔で王太子という重責を担う息子を慰めてあげて欲しいの。」
「お任せください!!」
「フフフ。本当にイイコねぇー。後宮に入れる女性は扱いやすいのが一番。」
私は王子さまに会える喜びで王妃殿下の言葉と笑顔の裏側を知ることはなかった。
でもね、私でも解っていたの。王子さまとの未来はあり得ないって。ただ、会ってみたいという年相応の好奇心があっただけなのよ。
それがまさかあんなことに繋がっていくなんて思いもしなかったわ。
初めての王子さまはそれはそれはキラキラしていたわ!王妃殿下にも褒められた笑顔で最大限のご挨拶もできたしね!
それからは王子さまは私の側に居てくれて、嫌みが言われないように庇って下さったわ。気に入られたみたいで、良かった。王妃殿下に言われた通りにして正解だったのね!。
そんな時、王妃殿下のお使いで城下にお茶を買い出しに出たの。途中で訓練場の横を通ったら…
一人の男性が剣を振っていたわ。剣の良し悪しが解らない私でも凄く綺麗だと…剣を持つ所作、振るう時の音、表情、全てが、ただ、綺麗だと思ったわ。
「マリーか?」
「え??」
「ああ。そうか。すまない。ギルが…王太子殿下の護衛騎士ジンフリード=フォン=ベロニカだ。これから会うことも増えるだろう。よろしく頼む。」
ああ!そういえば!ギルバート様の横にいつもいる方ね!同じ人だと…全く解らなかったわ。
「行儀見習いの為、王妃殿下に召し出していただいております。マリーゴールド=フォン=ヒアシンスと申します!よろしくお願いします!!」
焦って元気な声になりすぎた!あー!やってしまったぁ。
「ははっ。でっけぇ声!ギルの言う通り元気な令嬢なんだな。いいね。ジンって呼んでくれ。よろしくな!」
「ありがとうございます!あの…私の事はマリーって呼んで下さいませ!」
「じゃあ、早速!マリー。後宮にいるはずだろ?どうしてここに?」
「あ!そうだった!王妃殿下のお使いでお茶を買い出しに…。」
「城下に行くのか?」
「はい!」
今の今まで忘れてましたけどね!早く行かなきゃ!
「俺も一緒に行ってやる。さすがに治安の良い王都でも、令嬢の一人歩きは危ないぞ!今日は非番なんだ。ちょっと待ってろ。着替えてくる。」
「え!?そんな…め」
迷惑かけられません!って言うはずだった私の返事を聞くことなくジン様は着替えに行ってしまわれた。騎士って足も速いのね。すごーい。めっちゃカッコいい!っていうか私、今からジン様と城下に行けるの!?ヤバい!!心臓が痛いよー。鳴りすぎて。
落ち着かなくて訓練場の周りをうろうろしながらジン様を待ったわ。
ジン様はとても気さくで敬語も要らないと言ってくれて…お話も楽しかったの。
こんな人が私の…うわぁー。キャァー。
とても楽しくすごく充実した日々。ギルバート様は優しいし、難しいことは無理をしなくても良いって言って下さるし、ジン様とはたまに訓練場で会って剣術の訓練を見学させて頂いていたの。
それで…私、勇気を出してお願いしてみたわ!
「ジン!あの、お願いがあるの…その…私の社交界デビューの時のエスコートしてくれない?」
「え!?」
「ごっごめんなさい。私…迷惑だった?」
「違う!迷惑とか…そんなんじゃ…。ギルとマリーは仲良しだったから…ギルに頼むのかって思ってて…。」
「そんなこと!思ってないよー!だってギルバート様には婚約者様がいらっしゃるのでしょう?」
「そうだったな…。」
「もしかして…ジンにもいるの!?」
居てもおかしくないじゃない!私ったら…何てことを…。
「いねぇーよ!」
「本当に!?」
「いない!いない!大丈夫だ!」
「はぁー。良かったぁ。」
「俺がマリーにエスコート…申し込んでも良いのか?」
ジンの目がとても真剣になったのが解った。顔が…熱い…。
「はい。喜んで。」
その時のジンの嬉しそうな笑顔と私の笑顔は一緒だったと思う。絶対に。
その日々に影が出始めたのは王妃殿下のお茶会に招かれて、ギルバート様の婚約者であるヘラニウム侯爵令嬢に紹介された時だった。
テンパって挨拶が元気になってしまったのは申し訳なかったけど、王妃殿下もギルバート様もフォローして下さったし、シルクジャスミン嬢も挨拶を返して下さったの。まったく感情の見えない方だったけど…。でも、噂通り本当に所作のキレイな方だなぁー。下手すると…王妃殿下より…。そんなふうに思いながらお茶会は無事に終わったの。
周りが急激に変化したのは其れからだった。私は訳が解らず流されるだけ。デビューは私の知らないところで決まり、王妃殿下が采配して下さった。ドレス選びはとても嬉しかったけど…。
「エスコートは王太子がして下さるそうよ。光栄ね。マリー。」
「母上!エスコートを申し込むのは私からではないと!」
「あら?ごめんなさいね。フフフ。微笑ましいこと。」
ギルバート様がエスコート?そんなこと望んでない…私にはと目線をジンに向けたのに、ジンの目には諦めが見え、そして、閉じられた。
そういうことなのね…。
ギルバート様はとても笑顔で嬉しそうにエスコートを申し込んで下さった…私の笑顔は同じだったかなぁ…。絶対に違う。そう思うのにエスコートを受けるしかない私。
誰も私の意見など聞いてくれなかった。
周りの皆は“全て良かったわね”とか“幸運ね”とか“殿下に真摯にお仕えしなさい”とか“全て殿下にお任せしなさい”とかそんなことばかり…。どうして良いか解らず初めてお父様であるはずの方にも手紙を書いたわ。返ってきた言葉は…
“一族の誉れだ。王太子殿下の思いを尊重し、常に笑顔で応え、王妃殿下に可愛がって貰いなさい。”
だけだった。
ははは。
私はなんだ。私は誰だ。もう、思考が追いつかない。
流されるままダンスを踊り、決して笑顔を崩すことなく殿下の意向に添うように頑張ったのに!!
戻ってきた私に待っていた物は皆の蔑むような目だった。怖くて部屋を出ることも出来ない…ギルバート様は謹慎中で会いにも来て下さらないし…王妃殿下は一気に私への興味が薄れた様だった。
なんで?私はちゃんと王妃殿下やギルバート様の言う通りにしたのに…。シルクジャスミン嬢の立場を奪うようなつもりは無かったわ!
3回続けて踊ったぐらい何よ!別に疚しいことをしたわけでもあるまいしー!
「マリーすまぬ。シルクジャスミン嬢の条件を飲むしか無いのだ。愛妾となってもそなたには私の側で笑っていて欲しい。」
それに拒否権はあるの?っていうか愛妾って何よ!私はただ、好きな人と結婚したかっただけなのに…。
「はい!喜んで!」
私は人形になった…。
人形になったはずだったのに引き戻されたのは陛下の言葉だった。
「マリーゴールド嬢はいかがいたす?誓いを受けるのか?」
初めて意見を聞かれたのにすごく冷たい視線。慌てて私は言われた通りの返事を返した。
「はい!喜んでお受けします!」
意見を聞いて貰え、受け入れて貰えたはずなのに、次に聞こえた言葉は…
「あいわかった。宰相。侍医を呼べ。ジンの左腕を切断させよ。」
…なっなんですって!?ジンの腕を切る?なんで?どうして?あの綺麗だと、好きだと思った剣技が見れなくなるどころではない。初めて好きになった人の体が傷つけられてしまうなんて!嫌よ!酷いことしないで!皆止めてよー!貴女たちが言ったんじゃない!殿下の言う通りにしておけば幸せになれるって!
私の意見なんて聞いてくれなかったくせに!
…皮肉にも意見を初めて聞いてくれた陛下は私にはまったく優しくなかった。
優しさは押し売りされるものなのね。
ギルバートも王妃も絶対に許さない。私を人形にしたことを後悔させてやるわ!ギルバートを幸せになんかさせてやるものか!!
牢に入っている中で私は誓ったわ。
それからは周りに当たり散らしてやったわ。
まぁ。ギルバートの私を見る顔が歪んでいくのは楽しかったけどねぇー。あまり酷いとぼんやりする薬飲まされるから加減が難しいのよ。
ギルバートは自分を罵る言葉を聞いてこなかったみたいね。ちょっとわめくだけで私が病んでいるって決めつけていたのー。笑えるわ。
女性は全て自分が好きだと思える頭が可笑しいわよ。シルクジャスミン嬢にふられたことも理解できてなかったし、ショックを受けてるみたいだったわ。
当たり前よ。私だって嫌だもの。
望みが叶わないのならば殺されても構わなかったし、むしろこの人生が終わるのならば早くしてくれとも思っていたのに、何故か私は生き永らえた。
私は大公となったギルバートと北領地に行くことになった。療養もかねて。
だから、病んでねーっての。
その準備中、秘密裏に呼び出された。
この国の頂点に立つ彼女は静かに現れた。
「お久しぶりですわね。マリーゴールド嬢。少しお時間頂けるかしら?」
「シルクジャスミン王妃殿下…。」
「あら?話が違うじゃない。ギルバートは何をみていたのかしら?」
すぐにばれた。私が別に病んでるわけではないって。この人には隠し事は無理ね。
私は口は開かずカーテシーだけで挨拶する。
「なるほど。色々聞きたいことはありますが、時間がありません。マリーゴールド嬢。貴女はギルバートと共に北の領地に赴く意志はありますか?」
「はい。」
ここまで来たら最後までよ。
「後悔しませんか?」
「本望です。」
「そう。マリーゴールド嬢。元気で。」
王妃殿下の顔は凛としていた。この人には知っていて欲しい。私の心を…
「王妃殿下。ご恩情に感謝いたします。私からも一つだけ。私はギルバートを選んでいません。私はジンフリードに心を捧げたかったのです。」
王妃殿下の目が見開かれた。私は頭を下げて部屋を出た。だから聞こえなかったの。
「えーー!?ギルバートルートじゃなくてジンフリードルートをヒロインは選んでいたってことじゃない!マジか!?ってことはバッドエンドになっちゃうってこと!?っていうかこれってどっちのバッドエンドなの!?ヤバいわ!公爵に手紙ー!」
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「貴女なりに貴族として従っていた訳ですね。」
「違うわ。意見を訊かれなかっただけよ。」
「ご心配なく王族とはそんなものです。」
「はは。腐ってるわね。陛下とシルクジャスミン王妃殿下は違ったわよ。」
「陛下はあれでも大きな耳をお持ちです。シルクジャスミン王妃殿下は最高ですから。」
「あっそ。」
「マリーゴールド嬢。面白い方だったんですねぇー。早く知りたかったなぁー。」
「そういうの要らないって。」
「もう一度始めませんか?マリーゴールドではない自分で。思い描いた未来の自分として。貴女はもう辞めて良いのですよ。悪者を。」
「っつ。でも…ジンの腕は戻ってこないわ!」
私があの時誓いを受けなければ…ジンの腕は切られることはなかった!
「そうですね。でも、騎士にはなれるチャンスを与えてあげられます。貴女が薬を選べば。」
「本当に?」
「ええ。お約束します。私が信じられないのならばシルクジャスミン王妃殿下に誓いましょう。」
「シルクジャスミン王妃殿下にこのご恩は一生忘れませんとお伝えください。別人となるため恩を返すことはできませんが…」
「シルクジャスミン王妃殿下はそんなこと気になさいません。貴女はしっかり別人となり、王妃殿下の憂いを少しでも払拭するべく努めてください。」
「一生をかけまして。」
マリーゴールドをこの死神は本当に連れていってしまった。
数日後。
「マリーあの時の…約束。守れなくて済まなかった。お前を諦めて手を離してしまった俺が…もう一度跪くことはおかしいかもしれないがでも、もう一度願わせてくれ。お前の人生のエスコートをさせて欲しい。今度は絶対に離さないと誓うから。」
3つの薬をテーブルに置いてジンは私に跪く。これで本当に死んだとしてもかまわないと思えた。生きていてくれた。もう、それだけで十分だった。左腕はなくなっていたけれど…私がその全てを愛そう。マーガレットとなって。
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「マーガレット?大丈夫か?」
「フリード??私…寝てしまっていたのね…。」
「良かった…何度か声かけたんだけど、起きないから心配したぞ。」
「ちょっとうたた寝したぐらいでー。私の旦那様は心配性ね!」
私はマーガレットとなり、ジンフリードはフリードとなった。平民の夫婦としてエーデルワイス公爵領地にすんでいる。
フリードは平民が組織する自警団の剣術指南役として働いていて、私は洋品店へ小物作りをしながら家計を助けている。
「号外号外ー!王妃殿下にベルフラワー王女殿下とホワイトレースフラワー王女殿下のお二人!王太子妃殿下に第一子となるジャーマンアイリス姫がお産まれになったぞー!お祝いだ!!王家より振るまいが出るそうだーそれも3日間続けて。広間に集まれー!」
フリードはほっとしたような表情で跪き、拳を胸に当て感謝をしているようだ。神様にかな?違うよね~たぶん主に…遠すぎる主人の慶事にお祝いを言っているんだろうな。私がしたら怪しまれるよねー。私も嬉しいのだけど…。
「フリード!お祝い!広場に行きましょうー。ね!」
「そうだな!行こう!」
私はフリードとしっかり手を繋いで家を出た。
作者のとってのマリーちゃんでした。
平民なめんなよ!という勢いで書かせて頂きました。
作者なりのダイブの結果です。
それと…マリーちゃんでピアラブに初挑戦!
実は作者は…ラブが苦手です!でも、頑張りました!
努力したと…お見逃し下さりませー。
次は久々のシルちゃん視点でのお茶会です!