ジンフリード
ジンの視点です。
お楽しみ下さいませ。
お付き合い下さりありがとうございました。
本当に嬉しく。ブクマ、評価、感想を読ませていただいておりました。
「解ってる。もう。間違えない。」
俺が父親と名乗ることも出来なくなったこの人に誓った言葉だ。
俺の父親はベロニカ伯爵家の当主であり、この国の騎士団長を勤めている。国を武力で支えているこの人を俺は尊敬していた。父を目指して剣術をならい始め、努力もあって才能は早くに開花した。
そんな時俺はギルバートに出会った。というか会わされた。剣術の修行を頑張りたかったのに、いずれお前が守らねばならない人だと王宮に連れていかれたのだ。
ギルバートは…
「私は第一王子のギルバートだ!よろしくな!俺の臣下となるのだ!誇りに思うのだぞ!」
くそだった。俺も若かったからなぁ…我慢が効かず、取っ組み合いのケンカとなったことは…想像に難くないだろ。その場で殺されてもおかしく無かったのに、王妃殿下の取り成しで事なきを得たのは有り難いことだった。陛下も子供のする事だからと理解して下さったしな。お二人ともお心が広い。
しかし、父上には拳骨を貰った上に首根っこを捕まれて引きずられる様に邸に戻され、剣も取りあげられて謹慎させられた。
「お前は自分が馬鹿にされたからと直ぐに手を出すのか!そんなもののために剣を持つのならば辞めてしまえ!自分の矜持を優先するものに剣を持たせても良いことにはならぬ。騎士とは自分を守る者に有らず、弱いものを守るためにあるのだ!」
目が覚める思いだった。父の…覚悟を見た気がした。俺はしっかり謹慎し、あの時、自分はどうするべきだったのか…考えた。考えたけど、あの王子の言葉には頷く事が無理だった為、
「父上。俺は間違っていた。確かにいざという時、自分の矜持を優先する者に騎士の資格はないと思う。だから、これからは絶対にそんなことはしない。でも、あの王子の言葉には…はい!とは言えなかったから…ちゃんと口で嫌ですって言うよ!」
「ちょっと違う!途中まで良かったのに何故そうなる!?努力します。位言ってれば良いのだーー!おい!ジン聞いてるのか!?最後まで聞けー!」
なんか父上が叫んでいたが、久々の剣に浮かれてしまい、俺は最後まで聞いていなかった。
次にギルバートとあった時、
「この前は申し訳ありませんでした。剣術等なさったことの無い殿下に上から目線で言われたからって手を出すなどもっての他でした。これからは気を付けます。」
と素直に謝ったのに…
「それは謝っているのか!?剣術もできない王子だと馬鹿にされてる気がするのだが!?まったく…お前は正直者すぎる…。母上にも自分にはっきり意見を言ってくれる友は大事にするようにと言われた。許すことも大事だとな。だから、許してやる。ギルバートと呼んで良いぞ!」
怒られた上に友人認定された。
「えーー。」
「本当に失礼な奴だな!」
「あはは。冗談です。改めてジンフリード=フォン=ベロニカです。ジンと呼んでください。」
ギルバートのその時の笑顔を今でもはっきり覚えている。今はもう見ることの出来ない笑顔だから…。
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ギルバートが王太子を退き、大公となることが決まった時、俺はまだ、辺境に居た。苦役が終わってもそこに居続けたのは王都に戻る勇気が無かったことも大きかったが…ここで戦う事で国を延いては、ギルバートを守ることになるのだと思えたからだ。
そんな時父上が会いに来てくれた。もう、父とは呼べないけど…。
「おい!馬鹿息子!元気にしていたか!お前はまったく…手紙も寄越さんで。」
「うっ…も…申し訳ありません。ですが…私には」
「お前はこれから先もずっとわしの息子だ!身分などどうでも良い!それに反省し、罪を償った者を息子と呼んで誰が責めるのだ!胸を張らぬか。お前は辺境でこの国を護り続けていたのだ。わしの誇りぞ。」
俺は頷くだけにした。ここで、父上と呼べば俺はまた以前の…アホでしかないと父に証明するようなものだ。
「そうか…。解ったのだな。もっと早く気がついてくれれば…悔やんでも遅いな。ジンよ。シルクジャスミン王妃殿下より伝言だ。ギルバート王太子殿下の退位が決まった。大公閣下となられる。北に領地を賜り、アレクサンダー殿下の立太子後赴かれるであろう。お前に衛兵としてそちらに付いていく意思はあるか?とのことだ。嫌ならば断っても良いとも仰られた。お前の意思を尊重されるおつもりなのだろう。だからこそ、私を使者とされたのだ。返事は今すぐでなくてよい。わしも一週間ほどこちらに滞在するつもりで来たからな!詳しくは食事をしながらでもどうだ?」
「はい!」
俺は久々に人間らしい温かな食事を味わった。美味しかったな…。
父からは王都の…王家の話も少し聞けた。もう、平民でしかない俺では表面的な事情しか聞けないからな。でも…そうか、マリーは正妃となるのか…。俺の気持ちは決まった。
「伯爵様。行きます。そんな顔すんなよ!解ってる。もう、間違えない。」
俺は一度伯爵様と共に王都へと戻り、身なりを整えてギルバートに会いに行った。
再会した時、お互い声にならずただ泣いて抱き合った。それからは時間を埋めるようにお互いの話を聞きあった。
俺は牢に入れられてから父に護送されて辺境の森に行き、そこで辺境を守るために獣相手に剣を奮いまくった事、腕は無くなったけど、もう生活に問題は無いこと。陛下やギルバートを恨んだりしていないこと…自分の罪…シルクジャスミン王妃殿下に対してどれだけの不敬をなしたのか。理解していること。全てを話した。
「ギルバート俺さ。いつも剣術の才能を褒められることが多くて、才能もあるかもしれないけど毎日の努力によって今の俺があるのにって思っていたんだ。だから、マリーが俺の剣技よりも毎日訓練していて凄いですねぇ。努力家なんですねって言ってくれて嬉しかったんだ。」
「ああ。」
「でもさぁ。そんなの当たり前なんだよな。努力しないものは、貴族ではない。持つものの義務だ。俺の努力に比べたら…シルクジャスミン王妃殿下の日々の努力なんて…はは。なぁ。ギルバート…俺。何で王妃殿下よりマリーが弱いと…守るべき者だと思ってしまったんだろうな。」
「私にはその問いに答えられない。私は何故こんなことになったのかは解ったがどうしてこんなことになったのかはまだ、解っていないのだ。だが、今のままではダメなのだと思っている。ちゃんとマリーと向き合ってみるよ。」
「そうだな。いえ。そうですね。閣下。これより私は貴方の衛兵にしか過ぎない平民です。あなたとの友情はこれまでです。お話しできて良かった。私はこれから…この領地の治安を少しでも保てるように力を尽くします。」
「ありがとう。頼んだぞ。ジン。私がお前の名前を呼ぶのはこれで最後だ。平民の衛兵の名を呼ぶのは可笑しいからな。」
「はい。一つだけ、どうしようもなくなったら俺を呼べギルバート。俺が引き受けるから。覚えておいてくれ。」
ギルバートは返事をせず、ただ頷くだけだった。だけど、それだけで俺達には十分だった。
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北の領地は冬が辛い。期間は他の領地と余り変わらないが規模がでかいと言えば良いだろうか…。
はっきり言おう!めちゃくちゃ寒い!!
だが、温泉が有るのでそこは有難い。平民でも安く利用できるから俺はこの領地に来て風呂好きになった。衛兵仲間で一緒に来ることもある。
辺境では友人など作る気も起きなかったが、ここでは少しずつ話が合う奴とつるむ様になってきている。
治安の為に来たんだからちゃんと地域に根付かないとな!
外の見廻りで冷えた体を温泉で温め、珈琲牛乳を飲む!超最高!珈琲牛乳とはなんだ!?と思っていたが旨かった。こんな飲み物が有るんだなと思った。ここはシルクジャスミン王妃殿下が陛下と訪問されてから開発が進み温泉で有名な観光地となったらしい。
王妃殿下は何者??
「マリー!止めよ!落ち着くのだ!」
「出てってよー!せっかく療養に来たのにどこもかしこも王妃殿下王妃殿下!うるさい!私は大公妃になるのよ!私を敬いなさいよー!」
ガッチーーン。
「もっ申し訳ありません。お許しください。」
懐かしい人の、困惑した声に俺はダメだと思いながらも近くに見に行ってしまった。ドアの前で使用人なのかこの施設の従業員なのかが閣下に頭を下げている。
「気にするな。怪我は無かったか?妃は…心を病んでいてな。その為の療養なのだ。そなたらのせいではない。ただ、妃の前では王妃殿下の話はしない方が良いな。」
「はい。気を付けます。」
「すまないな。頼む。マリーには私からも言い聞かせよう。」
ギルは痩せたな。王都で会ったときよりも疲れて見える。あの時は精彩を放っていたし、重責からの解放感と新天地への展望があった。マリーの療養が上手く行っていないんだろうな…。
っていうかあれ療養とかいう段階なのか?どう聞いても王妃殿下への妬みで八つ当たりしてるだけだろう。自分は領地のために何もしてないくせに。
この一年半大公家の評判はまぁまぁだ。ギルについては領地を回り不便が無いか耳を傾ける良い領主だと受け入れて貰えるようになっているが、大公妃は…いや、まだ結婚していないから正式には妃ではないらしいけど…。そのマリーがあんなだからか受け入れて貰えていない。
この領地を発展させてくれた王妃殿下を領民は慕っている。それを拒否するマリーを慕えって言っても無理だろうな。
マリーの本来の姿を突きつけられているようだった…ギルもだろうな。俺には何もしてやれない。だけど逃げたりしないぞ。ギル。側にいなくても俺はここに要る!
心の中でそう呟き、その場を離れた。
その日から半年たったある日…。あいつが現れた。
「お久しぶりですね。ジン。」
「ジャック。何でここに…。」
「閣下が用事で王都に来らたので、帰りに付いて来てしまいました。この領地も見てみたかったですしね。」
こいつは陛下のスパイだった奴で、俺がギルの側を離れてからずっとギルを支えていたやつだ。感謝したくないが感謝してる。
「そう…ですか。良い所ですよ!ここは。温泉と珈琲牛乳がお薦めです!」
「おお。王妃殿下が開発者の珈琲牛乳ですね!楽しみです!だから、話を早く済ませてしまいましょうね。珈琲牛乳を心置きなく楽しみたいので!」
「…。何だよ。」
チッ。やっぱりかよ。何かあるなとは思ったんだ。観光なんかこいつには無理だろうしな。
「貴方に騎士として最後の誓いを今こそ貫いて頂きたいのです。」
「無理だろ。そもそも俺はもう、騎士ではない。それに、相手は大公妃だ。」
「今はまだ、大公妃ではあられません。というかなられては困るのですよ。こちらを。」
ジャックは机の上に三包の薬を置いた。
「ギルは最後までマリーを見捨てたり出来ないだろう。」
「ご心配なく。毒薬ではありませんよ。これは記憶を薄れさせる薬です。三包飲むことで新しい記憶を定着させます。秘薬ってやつですよ。」
「…チッ。記憶を改竄して、その後の面倒は俺が見ろってか。」
「お金や暮らしのご心配はしなくて良いですよ。家も仕事もこちらで用意しましょう。何処かの公爵家の領地となりますがね。」
「ギルは?」
「納得済みです。というか閣下のご希望です。あの方もやっと目を醒まされたのですよ。妹であらせる王女殿下に教えられたそうです。自分を優先し、彼女を傍らに選んだことが間違いだったと。だから貴方に頼みたいそうです。どうにもならなくなったからと…。」
「そうか。解った…ひき」
「貴方には騎士として引き受けて頂きたい。」
「解ってるよ。騎士の誓いをしたのは俺だからな。」
「違います。今度こそ。正しい主を選び、その方のために誓いを立てて頂きたい。」
ジャックの目が変わった。その目は騎士の目だ。
「公爵家は…確か…全てのエンブレムに剣と盾があったな。」
「ええ。3公爵家の全てが騎士となっています。というか騎士とならなければ公爵家の名を語れません。そして、3公爵家全てが王妃殿下の騎士です。」
「っつ…全て。」
それがどれだけ凄いことなのか…陛下よりも武力があるということだ。騎士団全てをかけても王妃殿下の騎士には負けてしまうだろう。
「その3公爵家の至宝である王妃殿下が…」
「何かあったのか!?」
「ご懐妊なさいました。あっ!王太子妃殿下もです!」
「おめでとうございますぅ?」
王太子妃の懐妊よりも王妃殿下の報告が先なの?どちらもめでたいけどね?
「ありがとうございます。」
「王妃殿下おいくつで?」
えーっとギルとは同じ年だから…うーんと。
「36歳です。」
「陛下は?」
どうだったっけ?陛下見た目詐欺だからな。
「え?陛下ですか?うーん50歳過ぎ?だった気がします。」
「王妃殿下は?」
「36歳です。高齢出産では無いですが…やはり心配なのです。陛下許すまじ。」
うん。解りやすいね!君!そんなやつだったのかよ。もっと早く知りたかったよ。
「それは…心配だよな。それに、王太子妃殿下が懐妊なさったのならばギルには時間が無いわけだ。」
「ええ。王妃殿下の憂いは全て取り払わねば。どんな小さなご心労もなりません。陛下を封印したいぐらいです。」
「お前それ、ギルにも話したのか?」
「まさか。陛下を封印したいって所だけですよ。」
それ、一番言っちゃダメなやつー。
「陛下が何故王妃殿下に固執されるのか解りましたか?王の本能で解ってるんですよ。彼女に見限られたら終わりだって。我が子の関心よりも王妃殿下の感心の方が大事なんです。というわけで持ってきましたよ。王妃殿下から賜る騎士の剣です!ちゃんと王妃殿下から頂いてきたんですよー。」
ギルなんか吹けば飛ぶ存在になるわけだわ。
「王妃殿下が望めばどちらの首も危なかったんだろうなぁ。」
「王妃殿下はそんなこと望まれません。誤解して欲しくないのでお伝えしますが王妃殿下に騎士としての誓いが叶ったのは全てが済んでから…王妃殿下がアレクサンダー王太子殿下を懐妊された後でした。ですからあの時、王妃殿下は…シルクジャスミン嬢は真実一人で戦っておられたのです。」
「なっ!?」
「スイートアッサム王女殿下はこう仰られていましたよ。その時、私が側に居たなら一人で戦わせたりしなかった。周りの人間は何をしていたのだ!とね。悔しいとも仰られていました。ギルバート大公と立ち聞きでしたけどね。」
「王女殿下の話を立ち聞きしたのかよ。」
何でもござれだなお前。ギル。そうか。目を醒ますはずだな。
「私からも質問を…貴方は当時騎士でした。それなのに何故国、王家、民という重責がのし掛かりながらも一人で戦うシルクジャスミン嬢ではなく、マリーゴールド嬢がか弱く見えたのですか?」
「お前と話してて解ったわ。可哀想と弱いを取り間違えたんだ。」
「あの時は権力に立ち向かっていた弱者はシルクジャスミン嬢で権力に流されて哀れだったのはマリーゴールド嬢ということですか…。どちらも守りたい対象ではありますけどね。」
「マリーが平民だったならな。」
あの時、マリーはすでに子爵令嬢だった。貴族だからこそ王宮にも来れたのだ。そして、貴族であれば王族の意向に従うのは当たり前である。
「そうですねぇ。ジン。婚姻の誓いって騎士の誓いに似てると想いませんか?」
クスクス笑いをしながら話すジャック…何でそんなにご機嫌?俺にはむしろ不気味なんだけど…。
「話変わりすぎだろ!?なんだ?健やかなる時も、病める時ものやつか?」
「ええ。共に苦しみ寄り添い、愛し合う事を誓うのですよ。私はあの時、シルクジャスミン嬢は騎士に見えました。その騎士は婚姻に依って陛下に忠誠を誓っています。」
「3公爵家全ての騎士の誓いを受けた最強の騎士が陛下の唯一無二の騎士か…大事なわけだ。」
ギルがシルクジャスミン嬢よりもマリーに惹かれた理由が解った。自分よりも強い女性を抱える器が無かったんだな。
「ええ。タヌキの総取りです。ムカつきますよねー。ですから一人増えても大丈夫なんですよ?」
タヌキって…ジャックの手綱は捌くの大変だろうなぁ。王妃殿下。タヌキに暴れ馬…次いでに傭兵アガリの騎士が増えても問題ないかー。
「はぁ…。王妃殿下困って無かったか?」
「ええ。何故か困り顔で…ちゃんと貴方の意見を聞くのよ?って言われました。」
だろうな。普通そんな主の押し売りみたいな誓いを騎士にしないからね。しかも騎士が。
「解ってるよ。もう、間違えない。何処でやる?」
「そう言われると思ってましたぁ!良い場所見つけてあるんですよー。行きましょう!」
地熱を利用した温室に…シルクジャスミンが咲き誇っている。本来暖かな所でしか咲かない、寒さに弱い花なのだ。時期も違うのに…何故。
「陛下が私費で温室を作って、何時でも見られる様にって苗をずらしながら植えているそうですよ。たまには良い仕事しますよねー。陛下も。」
「仲間になる誼でさ、頼みがあんだけど…。」
「何ですか?」
「ギルに陛下が悔しがる様な相手見つけてやってくれ。今度は本気で。」
「努力します。」
本当に良い性格してやがるな。こいつ。でも、ちゃんと騎士として誓いが出来るように場所を探してくれた。こんなに最高な場所は他に無いだろう。王妃殿下が立ったことのあるこの場所で…俺は騎士の誓いができる…道は断たれたと思っていた。でも、そうじゃなかった。小さいけど細かったけど繋がっていたんだ。手繰り寄せることが出来たこの使命を俺は生涯をかけて全うしよう。この道を守ってくれていた全ての人に感謝しよう。
俺はシルクジャスミンの木の前に立つジャックに跪いて頭を垂れた。
ジャックが王妃の剣を掲げ俺の肩に剣を置く。
「我ジンフリードはシルクジャスミン=ルドベキアを主とし、常に誠実、謙虚にして礼儀正しく、決して裏切らず、民を守る盾となり、主の敵を倒す剣となることを誓います。」
「私、ジェイコブ=フォン=クレマチスはシルクジャスミン王妃殿下の代理として宣言します。ジンフリード。貴方の騎士の誓いしかと聞きました。貴方はこれから王妃殿下の騎士です。」
「ありがたき幸せ。」
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「マーガレット!ただいまー。」
「お帰りなさい!フリード!お疲れ様!」
小さな家に小さい庭。そこには引っ越して来たばかりで慣れないながらも幸せそうな二人の夫婦。夫が仕事から帰ってきたのを笑顔で迎える妻。そこに届く慶事の一報。
「号外ー!号外ー!ギルバート大公閣下が我がエーデルワイス公爵家の二の姫様とご婚約だー!詳しく知りたければ新聞買ってくれー。」
ああ。あいつは約束を守ってくれたのだろうか。
ギルバートお前は笑っているだろうか。
もう二度と会うことの叶わない友に心で呼び掛けた。
今回の視点追加は
アマリリスは感想前、ジャック以降は感想を頂いてから書き上げた物です。
参考にさせていただいた所も多々ありますが、できなかった所もあります。
マリーちゃんを救う事は作者にも無理でしたごめんなさい。救えないならば別人に!という力技となってしまい作者の力不足です。
視点を含めての悪役は誰だったでしょうか?
今のところこの視点で終わりですが、また、思い付けば増やすかも…マリーちゃんにダイブ頑張ります!