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ジェイコブ

いよいよ!


この人!ジャック視点です!


よろしくお願いします。



「おう!ジャックお疲れ!新しい王太子殿下とはどうだ?今までギルバート大公閣下のお守りで大変だったんだ。少しは楽になっただろう?」


王宮からの帰り道。そこいらから声をかけられる。皆の弾んだ声が少しばかり鼻につくが…仕方ない事なのだと飲み込む。


「まぁね。やはり、王太子殿下は優秀だよ。仕事量が全然違うんだ。付いていく僕らが慌ててる位だ。」


「そうかそうか!良かったなぁー。これで正しい道に戻った。国も安泰だろう。」


声の集団と別れを告げ、私は帰りの馬車に乗り込んだ。馬車に付いているエンブレムは公爵家。これでも私は三つある公爵家の中の筆頭クレマチス公爵家の三男だ。

見えないと良く言われる。というか身分がばれたことがあまりない。隠している訳でもないのに何故か皆、私の事を優秀さを認められている平民だが、養子に入った貴族だと思い込んでいる。訂正するのも面倒なのでそのままだ。

今みたいに堂々とクレマチス公爵家のエンブレムのついた馬車に乗り込んでいるのだけど…。

っていうか、王族にあんな態度で罰せられないのか何故だと何故思わないのだろうか?身元が軽々と罰することが出来ない人間だからに決まってるではないか。

皆がアホすぎる。


「お帰りなさい。お疲れ様。今日は早いのねぇ。」


家に付くと母上が迎えてくれた。


「ええ。王太子殿下は仕事が早いのです。それに新婚ですからね。残業はなるべくしたく無いのでしょう。」


「まぁ!それは良かったこと。この国もやっと落ち着くのね。今回は少しハラハラさせられたわ。でも、シルクジャスミン王妃殿下のお陰で事なきを得ましたわ。ジェイコブ。真摯にお仕えするのですよ。」


「はいはい。」


「ジェイコブ!」


この王国において、頭デッカチならぬ身分デッカチの王家と違い、公爵家のルールは厳格だ。本来、公爵家は王家の血筋を絶やさない為に作られたスペアで、公爵家全てが王族の傍系である。当主が臣下となった王子だったり、当主に王女が降嫁したりするのがほとんどだ。今回、王子であるギルバート大公閣下が血を繋げばその息子には公爵位が授けられる事になるから一つ増えるな。建国時五つあった筈なのに今は3つに減ってしまっていたからな。

それは何故か。現王家に以前公爵家だった者達がなっているからだ。我が国では公爵家が王家に成り代わった場合。その公爵家は断絶される。長男を残すや末子を残す事などしない。その家ごと王家になるのだ。その為のスペアであり、教育である。前王家だったもの達の末路は…詳しく言わなくてもお分かりになるだろう。なので、減った所を増やす意味でも、ギルバート閣下には是非頑張って貰いたい。正妃があのお花畑だと思うと遺憾ともしがたいがな。


いつ、消そうかな?


公爵家では全ての子供達に血を繋ぐ事を一番の使命だと教える。男女関係なく子供達全員に同じ教育が施され、長子や末子などの差別もない。使用人達にも徹底して子供達へ差別した対応を取らないようにと指導が入っている。長子相続だと勘違いされては取り返しがつかないからだ。

公爵家において家督争いなど意味をなさない。王子王女が何時産まれるのか解らないし、その当時王子、王女と年代が合うものが家督を継ぐ事になるからだ。


前王妃はギルバートしか子を作らなかったし、後宮に自分とギルバートしか存在を許さなかった。あの前王妃はやり過ぎた。それにより3つある公爵家全員の怒りを買ったのだ。血を繋ぐ為の王子王女を賜る順番が崩れたし、王家の血筋すら危うくなったからだ。


だから私が王宮に送られた。現王家を監視するために。


私は自室に戻らず、父の執務室のドアを叩く。

執事長が顔を出す。


「ジェイコブ様お帰りなさいませ。」


「ああ。今、戻った。父上はお手すきか?」


「ジェイコブ。お帰り。入っても良いぞ。」


父上からの声に執事長が中へ入れてくれる。執事長はそのまま部屋を出ていった。


「無事にアレクサンダー王太子殿下は就任なさいました。ギルバート大公閣下も数日中には領地へ赴かれるでしょう。」


「そうか…ご苦労だったなジェイコブ。公爵家の三男として、しかと勤めを果たしたな。父は誇りに思っているぞ。」


「いえ。私の力だけではございません。ほぼシルクジャスミン王妃殿下のリカバリーがあってこそかと…。」


「そこは否定できないな。王妃殿下がアレクサンダー王太子殿下、ニコラウス王子殿下、スイートアッサム王女殿下をお産みなされなければ…3公爵家の怒りで陛下であってもどうなるか解らなかったぞ。」


怖っ。気持ち解るけど…よっぽど腹に据えかねていたらしい。


「そうですね。あのままならばお二方にはお隠れ頂いて、3公爵家から新たに御旗を立てた方が楽であったでしょう。」


「だな。だが、今はもう良い。全ては上手く収まったのだ。スイートアッサム王女殿下とのお前の婚約の話が出ておる。というか一族の総意だ。わが公爵家に王女殿下を降嫁していただく。そろそろ王族の血が欲しい。だから我がクレマチス公爵家も陛下に協力したのだ。ギルバート大公閣下の排斥をな。ニコラウス殿下は今のところ保留だ。ギルバート大公閣下に子ができるかも知れぬし、他国からの要望があるかもしれないからな。」


「そうですか…。はぁー。やっと面倒なパフォーマンスから解放されますねぇ。あっ!そうそう、兄さんの夫人は大層な野心家と聞いてますが?大丈夫なのですか?」


「何故高々侯爵家の小娘の意見を加味しなければならぬ。現当主は私だ。お前でも、お前の兄でもない。そして、お迎えするのはスイートアッサム王女殿下である。憂いは全て払わねば。お前には次期領主の教育も入る事になる忙しくなるぞ。領地をどの兄弟姉妹に任すか考えておけ。それに、王太子殿下の側近であれば王女殿下とお会いする事もあろう。失礼の無いようにな。」


「ご心配無く。私の全てを持って王女殿下をお迎え致しますよ。」


「頼もしいな。」


「ギルバート大公閣下には誰か嫁がせないのですか??」


「あの女次第だ。シルクジャスミン王妃殿下の意向でもある。とりあえず3年まって欲しいとのことだ。それ以降は公爵家に任しても良いと言われている。公爵家同士での婚姻は本来ならば無いが、ギルバート大公閣下は元王太子であらせられる。それに、その子供は今は無くなった公爵家を復活させる御子となられるのだ。次代への教育の観点からも、できれば3公の家から嫁がせたい。」


公爵家は血を存続させることが大事だ。だから、血が濃くなることには殊更気を遣う。王子王女を迎える順番も必ず話し合いが3公で持たれるし、子供達の伴侶をどうするかも必ず3公で決める。恋愛結婚?何それである。ギルバート大公閣下は初代だし、一代限りの大公だからと言う理由で公爵家から嫁いでも問題は無いだろう。


「次期領主としてギルバート大公閣下のお相手のアドバイスは許されますか?」


「お前ならばギルバート大公閣下の好みを良く知っているだろう。相性が良さそうなのがいたら言ってみるが良い。参考にはしよう。だが、どんなに良い相性の女性であっても我が公爵家はダメだぞ。我が公爵家はスイートアッサム王女殿下の家となる。2公爵家内で探せ。」


「畏まりまして。」


「ジェイコブ。3年は待てだぞ。」


「解ってますよ。」


「それから、シルクジャスミン王妃殿下からは惨たらしい終わりは望まないとのお言葉だ。行儀よくな。」


「…。」


はぁ?あの女を生かしておく意味がわからない。貴族として一つも義務を果たしていないではないか。


「気持ちは解るが…王妃殿下がな3年待てと行儀良くができたら褒美を下さるそうだ。」


父上は先程までの厳格な顔を崩して王妃殿下を称えるような笑顔で話している。ちょっと気持ち悪い…。


「どのような?」


「スイートアッサム王女殿下との婚約を王妃殿下自ら調えて下さるそうだ。」


「待ちましょう。」


「シルクジャスミン王妃殿下は本当に素晴らしい。我が家に迎えられなかったことだけは残念だ…。」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


あの人は…シルクジャスミン王妃殿下は私と…私達公爵家と交渉できる唯一の王族といえる。陛下が公爵家と出来るのは取引だ。だからこちらの譲歩等もあり得ないし、あちらからのお願いを聞くことも無い。だが、王妃殿下は違う。こちらからご意向を伺いに行くのだ。


私がシルクジャスミン王妃殿下に初めてお会いしたのはまだまだ、幼い頃。シルクジャスミン嬢で私は陛下付きの秘書官だった。初めての陛下に謁見時に私も控えていたのだ。その時は侯爵夫人もまだ、ご健在でシルクジャスミン嬢も表情豊かであったような無かったような。控えていたのは覚えているのだが、中身迄は覚えていないのだ。

だってそこまで重要人物になるなんて思わないじゃないか!侯爵夫人が婚約者の依頼を断固お断り!していたし…。


これを父上に話したとき…凄く蔑む目で見られた。次からは覚えているように…うん…出来る気がしないな。人間興味の無いことは努力しなければ覚えないものなんですよ。父上。出来ないことに無理はしない。


次に会った時は殿下の秘書官として婚約者のお茶会に控えていた時だった。顔は…うん。思い出せないが、まぁ、言葉が短い短い。さすがヘラニウム侯爵の娘さん!と思ったものだった。対して殿下は…ジンと共にまぁ、しゃべるしゃべる。殿下とシルクジャスミン嬢で9対1だ。普通逆じゃないのか?と良く思ったものだった。

私は陛下からなんでも報告してくれと言われていた為、逐一報告させていただいた。陛下の嫌がる顔が面白く、しなくて良い報告までしてしまったことはご愛嬌だ。


そうこうしているうちに王妃がやりやがった。ギルバート殿下の後宮の下準備を始めたのは良い。3公爵も大歓迎だった。王家が元の道に戻すつもりならばと私にも様子見の指示が来ていたのだ。王妃はシルクジャスミン嬢に決定だから側室の準備も解る。子爵令嬢なのは身分が低すぎるが導入だし、王妃の遠縁と言うことならばと皆が目を瞑ることとなった。シルクジャスミン嬢の資質確認も必要だった。王妃がまぁ。あれだからな。同じでは困る。

王妃も大概性格が悪い。自分は嫉妬しまくりで後宮ガラガラにしてる癖に自分の義理の娘には側室を許せと迫るとは。ははは。


シルクジャスミン嬢の資質は問題なかった。殿下の意向に従うと言いきったし、殿下は理解してなかったけど。マリーゴールド嬢へのいじめなどしてもいない。お茶会の参加拒否をいじめだと殿下は勘違いしていたけど。殿下は幼馴染みでのお茶会をという題で呼び出していることを忘れているのだろうか?


アホだな。


シルクジャスミン嬢は殿下がマリーゴールド嬢をエスコートしていた時もファーストダンスの時もしっかり笑顔で堂々としていた。殿下はサードダンスまで踊る道化の様だったけど。


私はこのホール内に居る筈の父上を目だけで探った。脇で見ている父上と目があったが逸らされた。

それだけだった。それだけだったのに理解した。現王家は終わったなと。


殿下が謹慎処分されている間に私は家へと呼び出され、3公での話し合いの結果、王妃はシルクジャスミン嬢以外は無しと決まり、現王妃の排除が決まった。書類は揃えてあるから宰相に渡してやれと、王妃の悪事が煮詰まったような分厚い封筒を渡された。見たくもなかったのでそのままカバンにしまう。

シルクジャスミン嬢が王妃になることが3公会議で決まった事はこの国でかなり力を持つ。

陛下とて回避できないだろう。回避しようものならば消されるだけだ。守るのはあくまで現王家ではなく、シルクジャスミン嬢となったと言うことだからだ。

我々が大事なのは血を繋ぐこと。血を守る事ではない。シルクジャスミン嬢が王妃となり、王には3公から年齢の合う男性を立てた方がより血を繋ぐこととなると判断されたのだ。


この日から私が最優先するのはシルクジャスミン嬢となった。


だけど、シルクジャスミン嬢は我々公爵家の思惑など悠然と越え、自分一人の采配で王家を元に戻してしまった。いくら妃教育を幼い頃から受けているとはいえ、成人前の女性が一人で出来ることでは無いように思えたが、私が探っても何も出てこない。

3公も呆然としていたが、シルクジャスミン嬢が現陛下に嫁がれるのは喜ばしいと祝福し、結婚式にもかなり支援させて頂いた。

それだけではない。シルクジャスミン嬢は直ぐに第一子をご懐妊された。

もう、脱帽だった。あんなに何も出来ない…口も挟めない父上を見るのは初めてだった。このままで行けば公爵家の借りだけが増えていってしまう!なんでも良いから要望を聞いてこい!と父上に押し出された。


久々に謁見したシルクジャスミン王妃殿下はそれは花のように暖かな笑顔を向けてくれた。王妃殿下はこんな顔だったのだと驚きつつも…何と声をかければ良いのか…と思案したが…


「ジャック。あのお茶会以来ですわね。こんな風に話すのは。」


「はい。あの時は…申し訳ありませんでした。」


王妃殿下は目をぱちくりとさせ、不思議そうだった。


「謝罪されるようなことは無かったと思うのですけど?」


「いえ。私はあなた様を侮っていました。ですが、そんな侮りなど全てひっくり返し、この国を救って下さった。これより、私達公爵家は王妃殿下に従いましょう。私の名はジェイコブ=フォン=クレマチス。我が名は貴女と共に。」


「まぁまぁ。そのようなこと、陛下の臣下たるものが言ってはなりませんよ。」


「これは3公の総意です。」


「では、お気持ちだけ。ありがたく受け取っておきますわ。」


「ありがとうございます。早速ですが、困っている事はありませんか?」


父がうるさいのです。是非とも一つでも借金を減らさせて下さい!


「せっかちですこと。では、 未婚の女性を探してきて欲しいのです。探せるだけ全てで良いのだけど…今のところ二人。年齢もあまり問わないわ。貴族の身分は必要だけど、社交が苦手でも構わないの。陰謀など考える暇がない、自分の好きなことに邁進される女性が良いわ。」


「社交が苦手なご令嬢で良いのですか?」


「ええ。見た目も気にしなくて良いわ。」


「?解りました。直ぐにでも。」


「楽しみにしてますわ。」


それが何になるのか解らなかったが、殿下のいう通りの女性やら令嬢らしい令嬢やらジョーカーみたいな女性やら多種揃えて殿下にお伝えした。


翌年…王妃殿下の父上であるヘラニウム侯爵と宰相であるレナード様がご結婚された。私が探してきたジョーカーが抜擢されていた。

帽子ではなく髪まで脱げるかと思った。

それからだった…私の仕事にギルバート王太子殿下の教育、補佐に加えて面白令嬢探しが加わったのは。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「久しいですわね。ジャック。何かあったの?」


「父より殿下のご息女であらせられる第一王女殿下のスイートアッサム王女との縁組みを受けました。これより、私が次期公爵家の後継者となりますのでご挨拶に参りました。」


「そう。陛下も仰っていたけど…相手は貴方だったのね。良かった。安心したわ。」


良かった…。本当に反対は無さそうだ。だが、陛下って所に圧を感じる。これちょっと…だいぶ怒ってるな。陛下…もしかして王妃殿下に何も言わずに取り引きしたのか!?確かに王子王女の婚姻は陛下が決めるものだが…だからって…王妃殿下に無断で事を決めるだなんて!すげぇーなー。


「申し訳ありません。例え王妃殿下にお願いされても、これは公爵家と陛下との取引ですので…撤回はあり得ません。」


「ええ。解っています。ですから否は言わず、協力もしないつもりでした。ですが、公爵からのお手紙もあったから…ちょっと気が変わりましたの。婚約に協力致します。スイートアッサムをよろしくお願いいたしますわね。」


「私の全力でスイートアッサム殿下をお守り致します。」


王妃殿下はとてもほっとするような。朗らかな笑顔を見せて下さった。


「頼りにしていますよ。ジャック。貴方の心を掴む事がアリーにできるか心配だけど…広い心で見守ってね。それと…私のギルバートに対するお願いは聞いてくれたかしら?」


?私の心?反対だろ。私が王女の心を掴むではないのか??聞き間違い…かな。


「?ええ。お優しいお気遣いだと感心致しました。」


3年は長すぎる。半年もあれば消えて貰えるのにー。


「まったく。取り繕うのが上手すぎますよ。あなた方は。3年待ってもいつまでもああならば…公爵家に任せますから待てませんか?」


「…。」


私は無言で何もアクションをしなかった。ギルバート殿下はそもそもスタートが遅い。結婚適齢期をだいぶ過ぎてしまっているのだ。早く動きたい。


「王妃殿下自ら婚約を調えて下さるとか。」


「ええ。喜んで。」


王女殿下との最速の道が出来たことになるなら悪くない。


「待ちます。」


「ありがとう。」


「後もう一つ。令嬢探しは続けてね。」


「必要ですか?」


「ええ。後宮が何代も一人の王妃しか存在しないのはダメでしょう?」


「王妃殿下は革新派だと…」


「いいえ。確かに時代にそぐわない物は変えた方が良いけど、たった一人の女性に後継者を産む圧力を負わせるべきではないわ。っていうかそんなことそもそも無理よ。逆だってあり得るのに。それに、王位は男子が望まれることが多いのも事実でしょ?性別なんてそれこそ授かり物なのよ?一人の女性にそれさえも押し付けるわけ?絶対に無理よ。っていうか嫌よ。だから私も無理強いはしないけど、提案はしていくつもりなの。選ぶのはアレクね。」


私達の存続の理由や苦労をこの方は理解して下さっている。長い間繋ぐ事の難しさは血だけではない、人の心もなのだ。5つあった公爵家が3つに減ったもう一つの理由がそれである。伝統は繋ぐことが本当に難しい。血は意図せず途絶えていることがあるからだ。それが技ならば一子相伝であっても養子を迎え幼少より鍛えれば継承できる。だが、血も必要であるならば誰でもはできない。しかし、人の倫理観を…心を常に監視等できるはずがない。この方が王家にいて下さって本当に良かった。


「ジェイコブとお呼びください。」


「それは…楽しそうねぇ。」


王妃殿下の企むお顔も悪く無かった。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


スイートアッサム王女との婚約は恙無く済んだ。幼い頃は癇癪持ちで、我が儘な所も有られたそうだが、今は落ち着き王女として民への健康促進の為、運動推進室というものを運営されている。スポーツ選手のへの保護や支援もなさっていて、とても聡明だ。さすが王妃殿下の御子だ。間違っても陛下似の子供ではないな。

年が離れている私を拒否されること無く、喜んで受け入れてくださった。できるだけ早く結婚したいとさえ言ってくださっている。何故にそんなに望まれているのだろうか?でも、悪い気はしないな。とても可愛らしい。陛下の面影もないな。うん。


そんなこんなで両家の初顔合わせとなったのだが…。


「そんな!アリーこんなおじ…年がいった男よりも…もう少し、若いアリーを大事にしてくれる男の人はたくさんいるよ?お父様がしっかり見つけてあげるから!ね?こんな鬼畜な…いや…性格が悪いヤツなんて辞めて…」


こいつ…自分の都合で公爵家と取引したことキレイさっぱり忘れてやがるな。さすが、ギルバート(アホの子)父親(アホの親)だ。


「お父様!なんて酷いこと仰るのですか!?ジャックはそんなお方ではありません。アリーをちゃんと一人の女性として大切にして下さいます!」


「そうですよ。陛下。ジェイコブはそんなことアリーにはしませんわ。ちゃんと母として私が確認致しました。それに、年の差も私と陛下と変わらないではありませんか。ジェイコブならば任せられます。」


「シル!?何で!?ジェイコブ呼び!?いつの間に!?アリーにはそうかも知れないけど…アリーの前だけだよ!?本当は…性格がひねくれている」


「もう結構です!聞きたくありません!お父様なんか大嫌い!!」


「うわーん。」


取りあえず。タヌキのギャン泣きは見れた。

やっと!やっとです!ギャン泣きできましたー!


いつの時代も娘のお父さん大嫌いは心が折れるみたいです。


ジャックは現王家が倒れた場合のシルクジャスミンのお相手第一候補でした。

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[一言] タヌキのギャン泣きゲットだぜ!www
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