コデマリ
コデマリ視点です。
コデマリの忠誠をお見せできればと思います!
よろしくお願いします。
よし!ごり押しだったけど…これでお嫁さんになれる。
アル様は本当に反応が可愛すぎます。これで騎士とか…。
しかもいまだに
「なんでわし?」
って自分に指差しして首を傾げないで下さいませ。
拐われてしまいます!
「では主様に結婚の報告後にお部屋にお伺いします。今夜は初夜です!」
後でやっぱりと言われては困るのでしっかり既成事実も作っておかないとね。
「それは…流石に早すぎる!まだ、婚姻証明書にサインもしておらぬし、結婚式もあげておらぬではないか!いくら2回目とはいえわしもちゃんとコデマリ殿にきゅ…求婚して、お迎えしたい!まずは婚約から…」
あわあわしているアル様に私はバサッと書類を見せた。
「そっそれは…何故!?」
「私とアル様の婚姻証明書ですわ。既にアル様だけでなく、現宰相であるクレマチス公爵様のサインもございます。」
「ジャックー!!!」
「後悔などしないと仰せであったとか?」
「うっ。しかし…これではコデマリ殿が…余りにも…」
シュンとするアル様。はー可愛い。
「どうか、コデマリと。私はもうアル様の妻なのですから。」
赤くなっていた顔を更に赤くするアル様。
「コデマリ。解った。せめて夫婦の証となるジュエリーを送らせてくれ。わしは騎士だから指輪は出来ぬが…。」
「ご心配なく。義娘となったカロライナとピアスを選んでおります。後で部屋にお持ちしますね。」
がっくしと顔をうなだれさせながらも何とか言葉を紡ぐアル様。気にしなくて良いのに。その身一つで。わたしは十分ですが?
「…やはりか。用意周到すぎるではないか…。ピアスはコデマリからの贈り物として嬉しく受け取るが、妻への初めての贈り物ならばわし自ら選びたい。後程改めて送らせてくれくれぬか?」
しゅんとしつつも譲るつもりは無いようですわね。しかも上目遣いとな…!!
「…これで無自覚とか…さすが…ふわっと世代。」
「うん?」
首をかしげないで下さい。乙女か!!
「とても嬉しいです。」
「良かった。では部屋で待っていてくれ。初夜ならば夫が出向くのが筋と言うもの。久しく女性へ触れていないのでぎこちなくなってしまうかもしれぬが…」
「鍛えておりますのでご心配なく!」
「鍛える??そうか!頼もしいな。では…後で」
ニカッと笑って準備のため走り去るアル様…とても尊くございました。
その日の夜も…私の宝物にしております。
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ご挨拶が遅れまして申し訳ありません。
私はコデマリと申します。本来ならば男爵家の家名があるのですが、既に捨てました。シルクジャスミン様の邪魔にしかならない家名など不必要ですもの。
やれ早く嫁げだの、王妃殿下に口利きしろだの。とても煩かったので物理的にも精神的にもぶちのめして黙らせました。
…ちょっとした小石を目の前で粉にして、顔にかけてあげただけでございます。その時の両親や兄の顔と言ったら…とても面白く簡単でした。
やはり侍女にはいつ、いかなる時も筋肉が必要ですわね。
私はヘラニウム侯爵夫人が亡くなられる少し前にお嬢様付きとして召しあげて頂き、お嬢様を影ながら頼むと言われていました。表だってだと侯爵家から出されてしまうからだと言われ幼さからよく解っていなかったのですが、アマリリス様が亡くなられてすぐに気づきました。
ヘラニウム侯爵の乳母である侍女長が好き勝手し始めたからです。
その前から大概でしたけど…それでも奥様がおられるうちはまだ遠慮があったのだと思わざるを得ませんでした。
当主の乳母とは使用人のなかで特別であり、当主への影響力もあるとあってかなりの権力者となります。
誰も逆らえません。
お嬢様への仕打ちも…集団で行われる暴力になすすべなくただ黙って見過ごすしかない日々…。
今思うとあいつがラスボスなんじゃ無かろうか?だって悪役令嬢よりもえげつないことしてたし…。
まぁそんなこんなで、私が前世を思い出したのはお嬢様が見たことも着たことも無いような煌びやかなドレスを無言で説明もなく淡々と着させられていた時でした。
あのドレスは!とゲーム画面の一面に浮かび上がるスチル…幼いお嬢様といずれ王太子殿下となられる第一王子との出会いの映像です。
私は転生したのだと理解しました。
前世で私がはまりにはまってやっていた乙女ゲームに!!
妹がコアな乙女ゲーマーでどうしてもと薦められてらやってみたらこっちが沼にはまってしまったゲームだった。
このゲームは少し特殊で本当の意味で全年齢対象だ!と話題のゲーム。その名も
『お花畑に彩りを~恋には無期限が付き物です~』
第一期の攻略対象は主人公の同世代3人。王太子のギルバート、護衛騎士のジンフリード、王太子の専属秘書官のジェイコブなのです。悪役令嬢は言わずもがなお嬢様のシルクジャスミン。3人を攻略せず好感度だけあげていくと第二期のへ扉が開きます。ここで課金!!新しいゲームへコンテンツ追加になるのですから仕方ないけど…ね!
第二期は年上世代の3人。陛下のマクシミリアンに悪役令嬢シルクジャスミンの父であるヘクトル、宰相のレナードが攻略対象となります。
ここでの悪役令嬢!他ならぬ悪役王妃ロザリア様登場!まぁ、陛下がお相手になるのだから当たり前よね。婚約破棄されずにシルクジャスミン様は無事に嫁ぐのだけど…王太子妃なのに無関心を貫かれる様で全く出てこなくなるわ。ここでも攻略を我慢して好感度だけあげていけば第三の扉が開かれます。またも課金!!
第二期より1.5倍課金が必要です。値段つりあげるのかよ!と突っ込みつつも課金してしまう方々続出。
第三期は年下世代。アレクサンダー王子殿下とニコラウス王子殿下、隣国の王子ジルベスター様でした。
ゲームでだとシルクジャスミン王妃とギルバート国王との子供としてお二人が出てきます。そのとーっても年下世代の攻略です。
ここまで説明したらわかるよね?全年齢対象の意味が。攻略対象の年齢が幅広すぎると言うことです。
これにはもうネット騒然。ヒロインは変わらないけど攻略対象の年齢は上に下に…。ヤバすぎるけど、やめられないと、はまる人が続出。制作サイドは儲かったと思われます。
ここでの悪役は彼ら王子達の妹姫であられるスイートアッサム王女でした。嫌…普通に考えれば妹としても王女としても王子達が母親と同じ年の女性と恋仲になるなんて止めるでしょ。
ここでも攻略を我慢すれば最後の一人が開かれる事になっているのだけどね。
ゲームの知識も全て思い出した私だったけど…ゲームの世界であるとすればお嬢様は悪役令嬢で私はしがないモブね。
モブが無双するっていう乙女ゲームも無いわけではないけど…男爵令嬢でしかない私が一人で侯爵家の使用人達に立ち向かえるわけ無いじゃん。
しかも何のスキルもないし、魔法も無いのよ?お嬢様も使用人は敵だとしか思ってないし…。
わがままな性格にならないようにフォローしようにもお嬢様がわがままなんて言える隙間なんてないない。
仕方ない!どんなことがあってもお嬢様を抱えて逃げられるだけの体力と筋肉は付けよう!と発起して訓練に励もうかと思ったのだけど、今さら剣とか武術習いたいって言いだしても怪しまれるし、きっと許可して貰えない。
前世の記憶を頼りに私は庭師見習いとして入ったばかりのルイを味方に引き入れて筋トレに光を見いだしたのでした。
何故庭師って?
だってルイはまだ覚醒していない魔王で凄腕の暗殺者なんだもん。
師匠にするなら持ってこいでしょ?
独学で筋トレとか修行なんてやったこと無いのに無理だよ。庭師なら私が話しかけてもラスボス乳母に怪しまれないし、年齢的にも友達に見える。それにルイへの監視にもなるから一石二鳥だと思ったんだけど…ルイもアホじゃないから最初は胡散臭い目で見られたし、何で僕に!って迷惑がられて居たけどね。
その代わり、私も魔王に覚醒しないように力の使い方とか発散の仕方はさりげなく教えてあげたんだよ?
暗殺者として色々悩んでいる時は側に居たしね!
めっちゃ仲良くなれたのは嬉しかったし、ルイが殺すことに何も感じていない暗殺者って訳ではないことがわかって良かった。
事実上の魔王がラスボス乳母のやり口に引いてたけどね…。
お嬢様が転生を自覚して、ラスボス乳母を倒す時に良いポジションで控えて居られたのは痛快だったなぁー。ガッツポーズしないようにするの大変だったのよ!ルイは直接見られなくて残念がっていたっけ。
ルイもシルクジャスミン様に認められて専属庭師として雇って貰い、何処にいくにも連れまわっていたわ。時にはそれって庭師の仕事?って言うような仕事まで言い付けられていたけど…。
それに、何で王宮までーって嫁ぐ時に人選に入っていた時は叫んでいたっけね。
でも、庭師としては一流よ?芝をあんなに一律に揃えて雑草1本生やさせないなんて…凄いもの。草刈り機何てないんだよ。手作業なんだよ?
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「コデマリ?どうしたの?ぼーっとして。」
「え?わわっ申し訳ありませんでした。殿下…」
「もう、私は殿下と呼ばれる立場ではないのよ。コデマリ?」
「そうでした…ではーお嬢様ですか?」
「お嬢様!?まぁ~ふふ。昔に戻ったようね。コデマリ。でも、そんな歳でも無いわ。名前で呼んでくれない?コデマリにはそうして貰いたいわ。」
「し…シルクジャスミン様?」
「シル様!って呼んで!」
シル様などと愛称で呼ばせて貰えるなどコデマリとても幸せ者でございます!
「そこは奥様でいいんじゃないのか?シル?余の事が見えないのかい?」
チッ。クレマチス領にいた時はシル様との時間を堪能出来ていたのに…やっとシル様も激務から解放され、お好きな事ができる様になる…私はそれを全力でサポートできると思っていたのに…余計なタヌキが付いてきた。
「そうですわね。私はマクシミリアン様の妻ですから…ですが、私が領主ですから奥様はちょっと違うのでは?」
「マクシミリアン…。いい!シル。これからも名前で呼んでくれ!できれば様無しで!」
おいタヌキ。何処にシル様を連れていこうとしてるんだよ!
お座り!
「むしろ旦那様が言葉を改められた方が良いのでは?一人称が未だに余では不敬ですよ?」
ここはシル様の執務室なんだよ。仕事の邪魔だろ。それか今まで無視し続けていて、スイートアッサム公爵夫人を怒らせる事となった末のお子さま方…ベル様とレース様と遊んでいらしたらどうですか?
やっと«もしさん»から«たぶさん»に呼び方変わったのでしょう?
レース様は旦那様をお父様と呼びたくないご様子で…当たり前ですけど。
もしかしたらお父さんを省略してもしさんと当初呼ばれておられていました。この領地に引っ越しした後はたぶんお父さんを省略してたぶさんに格上げされたようです。
「コデマリこそ。早く嫁ぎ先を見付けよ。いくらなんでも男爵家の出のままが侍女長なのはシルが苦労するであろう。今までは王妃であったから誰も指摘出来なかっただけだが、これからは違うぞ。領主となり、事業を起こすとなれば部下にもそれなりの身分が必要だ。」
解っているわよ!
「マクシミリアン様…。あまりコデマリを責めないで下さいまし。コデマリが嫁がなかった責の一旦は私にあるのですから…。」
「そのようなことはありません!私自身が殿下…シル様のお側でお支えしたかったのです。生涯をシル様にお仕えしたい…私の願いです。それが叶う殿方が中々現れなかっただけのことにございます。ですが…」
「ですが?」
ああ!シル様!首を傾げないで下さいませ。可愛すぎます。
それとタヌキ!
ハウス!
シル様を隙張らば何処かへ連れていこうとなさらないで下さいませ。
「この度、バッチリな方が現れました!」
「ほう。」
「ご紹介致します。私の夫であるアルバート=フォン=クレマチスです!」
「「はあ!?」」
「まぁ~コデマリ!おめでとう!!いつの間に結婚していたの!?お祝いしてないわ。言ってくれれば…私。コデマリの為に何でもしてあげたかったのに。」
しゅん…とされるシル様。はー殺人的に可愛い。
「いやいや!そこではないであろう!シル!アルバートが結婚で、しかもクレマチスを名乗っているではないか!?どう言うことだ?」
「わしも驚いておりますれば!わしはいつからクレマチスの性になったのですか!?」
タヌキと私の可愛い夫よ落ち着きなさい。私は再度書類をバサッと広げます。
「これはクレマチス公爵から預かった書類その2でございます。」
「養子縁組…受領書。既にアレクサンダー国王陛下の決済もある…。」
「ふふふ。アレクはしっかり国王として執務をこなしているのですね。安心しましたわ。」
「シル…安心するところなのかい?」
タヌキの割に普通に突っ込みましたね。領地が無く、爵位のみを得るには宮廷貴族になるしかありませんが、アルバート様は宮廷を出る身。ベロニカ伯爵のままではシル様に着いていくことは出来ないし、本人は騎士爵さえあればと思っていたようですがそれでは私が困ります。
そこで王宮でシルクジャスミン様の侍女だった時とスイートアッサム王女殿下の侍女長であった時に面会等で借しのあったジャックに…この件の協力を申し出ると、ジャックもシル様の護衛騎士に不安があったようで二つ返事でアルバート様を養子縁組し、養子に自身のいくつか持っている爵位の伯爵を授けてくれたのです。
「シル様?お祝いをと仰って下さるのであるならばコデマリ欲しいものがございます。おねだりしてもよろしいですか?」
「何でも言って!」
「では、新たな家名をシル様より授かりたいと存じます。」
「わしも!わしも望みます!」
うん。アル様はさっきまで顔色の青かった様ですが私の話を聞いて、喜びを隠せないようでございます。伯爵として家を興す以上家名を新たに着けても良いと言われていたのだ。クレマチスが嫌な訳ではないのよ?でも、アル様にはさすがに可哀想かなって思って。
シル様はそうねぇー。と呟きながら少し考えると…
「アサガオはどうかしら?」
「アサガオでございますか?」
「ええ。固い絆って意味なの」
たぶんそれだけじゃない。シル様はきっと日本の花を家名にしてくれたのだ。私達の絆は…どんなものよりも固くなったな。みたか!タヌキ!
「これからもコデマリ=フォン=アサガオとアルバート=フォン=アサガオを宜しくお願いします。私達夫婦はシルクジャスミン様に忠誠をお誓い申し上げます。」
私は夫となったアル様の隣に立ち挨拶をした。アル様もさっきの呆然としていた顔を一瞬で脱ぎ去り、騎士として夫として一緒に頭を下げている。
「嬉しいわ。コデマリ、アルバート末長く宜しくね。」
主には忠誠を。
夫には溺愛を。
ヒロインは片付いた。最後の攻略者のニコラウス殿下とジルベスター王子殿下のルートはもう少しで決定する。ほぼルートは確定しているわ。
シルクジャスミン様にはゲームの内容は秘密。絶対に話さないと決めている。
推しには安寧を。
親友には真心を。
だってそんなことをしたら私の推しであり、親友が幸せになれないもの。
だからルイ。恐れないで貴方が望みそして望まれ、貴方が受入れそして受け入れてくれる人が現れるわ。
貴方の幸せを祈っている。親友として。
次はルイフォード視点です。
暴力的な表現が冒頭で出てきます。苦手な方はスルーしてください。
よろしくお願いします。




