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ニコラウス

ニック視点となります。


この視点では最後BLと言わないまでも仲良しの表現がございます。


苦手な方はスルーしてくださりませ。

「お父様!その手をお離しくださいませ。お母様は私が連れて行きます。もう、ここには置いておけません!私がクレマチスに妹共々連れて参ります!」


ここは母上の寝室だ。今その寝室で母上の寝ている横でアリーが父上にくってかかっている…。気持ちは…解る。


「嫌だ!シルを連れていくなど…シルは…私の妻だぞ!」


父上やつれたな…。こんなこと初めてだもんな。母上が病に倒れるなんて。あいつが言っていた…危惧していた通りになってしまったな…。なんとか…しなければ。


「その妻を一人で戦わせる選択をし続けたのはお父様でしょう!」


「ちょっとまてアリー。お前がー」


そんなにヒートアップしてどうする!?それに母上寝てるんだぞ?こんなにうるさくしてるのに起きない母上!すごいね!絶対に起きないぞ!というオーラが見えるのは俺だけか!?


「私はあの時に言ったはず、もう、一人で戦わせたりしないって!ニックお兄さまも言ってたじゃない!」


産後の肥立ちが悪く、ここしばらくずっと母上はベットから起き上がれなくなっていた。

もう、三週間になるか…

出血が多すぎたらしい…双子出産なのだ。通常の出産にはならないとは覚悟していたが。

産まれた時は双子の王女ベルフラワーとホワイトレースフラワーだと慶事だとあんなに皆で喜んだのに…。

兄上は今、妻のプリムラ王太子妃と第一王女のジャーマンアイリスの所に顔を出しに行っている。


「それは…そうだが、お前が勝手に決めて良いことではない!クレマチス公爵の許可あるのか?」


「そんなものとっくに用意してるに決まっているでしょ!馬車もお母様とベルとレースに負担が少ない様に特別なものをラベンダー女公爵が貸してくれたし、エーデルワイス公爵が優秀な医師団も随行させてくれるわ!」


用意周到すぎる!3公爵総出かよ!

これ…俺たちに拒否権あるのか!?アリーその成長嬉しいぜ。悔しいくらいに!


「絶対にダメだ!許さんぞ!そんなに行きたければ王女二人だけ連れてー」


ダメだ!父上!アリーの顔が鬼のようだぞ!


バタン!!


「そこまで!アリー止めなさい。父上もそれ以上仰るならば侍医に処方箋を書いて貰いますよ。」


アレク兄上ー!!


「でも!アレクお兄さま。このままでは母上も、そしてベルもレースも幸せになれないわ。父上なんてあれから一度も妹達の顔も見ないのよ!無責任でしょうが!」


「解っている。」


「アレク兄上。アリーは既に3公爵家全てを味方につけている。あの保育の家として孤児らの支援で有名なラベンダー女公爵家までもだ。今まで大人しかったのにな。」


「エーデルワイス公爵とラベンダー女公爵はベルとレースを狙っているからな。喉から手が出るほど欲しいのだろう主である王妃殿下の御子が。私の姫は無視か。」


「すねるなよ。」


「すねるわけがなかろう!私の姫は国外に嫁ぐのだなと思っただけだ。」


「あー。心配するな。俺が飛び?漕ぎ?回って会いに行ってやるから。」


いまだにアリーと父上はにらめっこしている…。


「はー。取りあえず今は目の前の事に集中せねばな。ニック。俺が今から周りに目をつぶるように命を出すからその間に父上を落としてくれ。」


「はぁ!?さすがに…それは…」


「目をつぶるのだから目撃者は居ない。そして、私が父上は気絶したとするのだ。誰も否は言えまい。」


「完全犯罪?」


「お前がしくじらなければな。」


「解ったよ!」


父上はめでたく自室へと抱えられながら連れていかれた。あんまり寝ていなかったからすぐに落ちたな。


「アリー。お前の言っていることは正しい。だが正しければ正しい程言われると相手はイラッとするんだよ。これ以上いうと父上意固地になるぞ。」


多々でさえ頑固なのに…。母上の事になると目隠しだけじゃなくて耳栓までしだすからな。


「だって!」


「アリー。今のうちに母上とベルとレースを連れ出しなさい。後はこちらで引き受けよう。頼んだよ。私の大切な家族をアリーに任せる。」


「アレクお兄さま…。お任せください!」


アリーは準備の為に一度部屋を出ていった。意識が無いような母上にアレク兄上は手を握り話しかけた。


「母上…このような別れとなり申し訳ありません。今の父上に母上が毒であるように、母上にもまた、父上は毒です。離れた方が良いでしょう。クレマチスでの療養が少しでも貴女の回復の一助となることを願います。」


「アレク兄上…。」


「ニック…私は…怖くなってな。今まで怖いものはあまり無かったのに…プリムラやジャーマンアイリスに何かあったらと…夜中に目が覚めて様子を見に行ってしまうんだ。小心者の兄だと笑うかい?」


自嘲気味に話す兄上。俺はその言葉で、そうか…兄上は王となったんだなと素直に納得できた。


「まさか!でも、そうだなぁ~母上の言葉を借りれば、貴方は王に向いているわ!だな!」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「ニック。貴方はやりたいことは無いの?」


「剣術が好きです!私が母上とアレク兄上とアリーを守って差し上げます!」


幼い頃母上は私にこう問うて来たので、何時も答える文言を母上にも告げた。こう言えば父上もアレク兄上も宰相も皆ほっとした顔をするからだ。


「まぁ。頼もしいこと。とても嬉しいわ。でも、それ…そう言えば皆が嬉しそうにするからって判っていて言ってるのでしょ?母上も判っていますよ?本当に好きなことは?」


バレてる!?こう言うときは母上に嘘やごまかしは効かないし、してはいけないと俺の中の俺が言うので正直に言った。


「…冒険記や異国の書物を読むのは楽しいです。」


「まぁ!良いわね!ステキ!行ったことのない地域の話は楽しいわぁー。この前、北の王領地に行ってきたのだけど、お湯が湧き出ていたわ。」


「え!?水ではなくてですか!?」


「そうなの!温泉と言われる物だそうよ。そのお湯は人が入ることが出きるみたいで、今度陛下が人を出して調査して下さるそうなの。いずれ皆で一緒に行きましょうね。」


「楽しみです!」


「ニック。あなたはここ王城しか世界を知らないわ。でも、一歩出ればものすごく広いの。この国だけでは無くて、他国だってたくさんあるわ。住む場所が違えばそこに生きている動物や植物も違うし、住む人の考えも違うわ。」


「…おれ…いえ、私はここを出られません。」


「誰がそんなこと言ったの?」


ひっ!母上の笑顔が美しい物になっている!ヤバい!


「誰ではありません!私は兄上のスペアですから!」


「兄上って誰の?」


本能が言っている…これには答えない方が正解だと!俺は口を噤んだ。


「そう。ニック言葉には気をつけなさい。現王太子はギルバートです。ここで使う言葉はスペアのスペアでしょう?」


「はい!申し訳ありませんでした。」


「ニック、ここからの話は私の独り言として聞きなさい。あなた…王に向いているわ。王として一番必要な物を既に持っているもの。アレクはまだまだだし、ギルバートは鈍っちゃったみたいなのよね。スイートアッサムは…いずれ判るわ。」


「え!?」


兄上たちよりも?そんなこと初めて言われた。


「ニック、王は全てに秀でていなくても良いの。周りに出きるものを配置すれば良いのだから。むしろ一人で何でも出来てしまうことの方が弊害がある時があるわ。アレクがそれね。ギルバートは人に頼む事が出来ていたの…でも、王として持っていなければならないものが無くなってしまったわ。」


「何ですか?」


「危機管理能力。」


「っつ!?」


「王であるならば臆病で無くてはならないわ。何においても自分の命を大切にしなければならないの。玉座に替えは効かないもの。ニック貴方にはその能力がある。貴方にその気があるのならば私は道を示してあげられるけど?」


「私には答えられません。」


確かに王子であるのだから、俺でも一度は王座を見上げたことがある。でも、ギルバート兄上とアレク兄上の存在は一度の仰ぎ見だけしか許さなかった…と思っていたのに…母上は俺の中の王の素質を認めてくれた。


「ニック?後宮とは世継ぎを産み、優秀な王を育てる場所です。産まれた順は関係ありません。アレクもニックもスイートアッサムもスタートラインは一緒です。ギルバートは既に王太子だから一歩前に出ているに過ぎません。」


え?え?そうだったの?ってきりアレク兄上が継ぎできまりだと…。


「王位争いを何故か嫌がるのよねぇ。皆。確かに死人が出るのは困るけどある程度やらないとアホが王太子になっちゃうじゃない。」


ギルバート兄上の事なの!?未来の事なの!?どっちですか?母上ー!


「僕も望みません。」


「でも、やりたいことを見つけておかないと王位が継げなかった時に自分は何をしたら良いかわからなくならないの?」


「うっ…。」


「確かに第二の人生とまでは言わなくて良い年齢で世継ぎが決まるけど、それでも困らない?剣術だけで良いの?このままではニックは良くて近衛騎士団長よ?名誉職よ?実務は騎士団長なのよ?」


ルドベキアの近衛騎士団は儀式部隊と呼ばれている。国賓を迎える時や国事行事の時に前に出てくる騎士団である。求められるのは優雅さだ。強さではない。それも大切な職業の一つだ。一度訓練を見学させてもらったが、いかに美しく見えるかが大切らしく。剣を振るときの角度などを鏡を観ながら研究していた…。あそこだけは何か違う空間なのか!?と思った。


「うっうーー。嫌です!ぼくも、俺も自分だけの仕事がしたい!俺、船に乗って新しい大陸を探しに行きたいんです!!」


「良くできました!!王太子を目指すのも、新大陸を目指すのもあまり変わりません!誰を味方につけるかが大事です。お母様はニックのその決意に褒美を与えましょう。学園に通う事を許可します!貴方の行きたい学園に行かせてあげましょうー。」


全然違います!母上!でも、その意見賛成です!任せて下さい!空気読みます!


「本当ですか!?」


めちゃくちゃ嬉しい!!海洋関係に強い学園があるから行きたかったんだぁ。でも、王都から離れているし、アレク兄上が学園通ってなかったし、警備の問題もあるから難しいかなぁ?と思っていたのだ!


「ええ。心配しないで。陛下には私が側室の件で折れてあげますから。」


父上…まだごねていたのですか!いい加減、諦めて娶れば良いのに…。


「母上大好きです!」


「まぁ。可愛いこと。ニックの将来が楽しみだわ。」


「母上の…ご提案は嬉しいのですが、やはり王位争いが過激になることは僕も望みません。だから兄上達を味方に着けます!船には計算も必要なのですよ?プリムラ嬢のお力も大切です!それにはアレク兄上の理解が無いと…だから、ちゃんと話して味方にしてみます!」


アレク兄上には敵だと思われると動きにくいからな。ちゃんとお願いしとこう!


「解ったわ。やってみなさい。」


「はい!」


俺は意気揚々と部屋を後にした。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


俺は無事に希望する学園に入学できた。ここは中等、高等、大学とあるが僕は王宮での授業もバッチリだった為、予定どおり高等部から入学できた。

アレク兄上は言わずもがな博士レベルである。


「ニック!終わったか?そろそろ昼食べに行こうぜぇー。」


彼はジルだ。フルネームはシルベスター=リアトリスだ。ルドベキア王国の隣国であり、リアトリス帝国の第七王子だ。初対面の紹介の時にめちゃくちゃケンカしたが、それからは大の仲良しだ!

何故ケンカしたかというと…


「王子多いな!?」


と驚いたら…


「お前んとこが少なすぎるんだろ!」


と言い返された。だからごたつくのだと。


「スペアはあるだけあったほうが良いし、優秀な王子や王女がいればそれだけ外交に出せる。国に良いことばかりだろ。お前の母ちゃん大変だな。一人で。」


と可哀想な者を見るような目で見られ、少しばかりムッとした俺は…


「それだけ陛下の愛情が深いんだ!!」


と噛みついた。


「だから?」


と返された。この目は見たことがある。母上の目だ。貴族の…王家の義務を果たす時にする目だった。


「やはり俺達が…おかしいのだな…?」


「へぇー。そうだ。お前んとこの王家は異常だ。シルクジャスミン王妃殿下、後宮に人を増やそうと王様にずっと人を薦めているって知ってたか?」


「知ってた。俺がここに入る見返りに側室の件を折れてあげるって母上は言っていた。」


「そうか、王妃殿下に感謝しろよ!それと同時に恐れろ。お前の母ちゃん倒れたらこの国どうなると思う?」


「えっ…。陛下が元気なら…そんなに…大変なことには…」


何故か背筋に冷たいものが走った。何だろう。俺は後ろを振り返る。


「及第点だな。王妃殿下は後継への教育もまぁまぁらしい。甘いとこはあるがな。一人でなされているのだ仕方ないな。当代はダメだが、この継ぎは大丈夫そうだと帝国には伝えよう。」


「ずっと両親の仲の良さを気持ち悪いと思っていた…それは間違いではなかったんだな。ダメなことだったんだな。」


「そうだ。王妃とは国母だ。国の母であればよい。愛だの何だのは愛妾の担当だ。というかそれだけにしていなければやっていられない程の激務だ。だが、お前のとこの後宮には他がいない。だから王妃殿下は世継ぎを産み育て、陛下への気遣いもし、陛下の妻であり臣下として仕え、民の母と、外交までもしなければならなかったはずだ。俺だったら逃げ出すし、帝国の王妃はルドベキアのシルクジャスミン王妃を尊敬されている。以前王妃は同じだったがぬけぬけだったからな特に世継ぎ教育。」


現王太子があんなことをしでかしたのにそのままの地位に居れるなんて帝国ではあり得ない。即座にすげ替えだと…。


「っつ…。君のことはアレク兄上とスイートアッサムにも伝えよう。君がこちらに出向いているのはこの国への下見だろう?」


アレク兄上か俺かアリーのお相手としてどうか探っているんだな。


「そんなに警戒するな。それだけではない。このルドベキアの造船技術や海図の正確性は発展している。お前の母ちゃんが予算と人材を投入し始めてからだ。商人たちも気づき始めていてな。コーヒー豆だったか?金になると…そうしていたらお前の入学が告知された。いよいよ本格的にルドベキアが海洋進出してくると帝国も重要視している。だから俺が来たんだ。お前の母ちゃん何者?」


「それ、よく言われてる。影武者何人いるの?とか、王妃殿下の着ぐるみあるの?とかな。」


俺たちの前でこんなことを言う奴は居ないが影でこれを言った奴らの末路は兄弟で違う。兄上は配置換えだ。おしゃべりなど出来ない位忙しい所かお話し相手が馬さんや牛さん相手になる。アリーはお口がたらこ唇になる健康茶を出すらしい。ちなみにお残し禁止だ。吐き出しも許されないらしい。


「ぶっははは。それウケルな。殴ってやったか?」


「靴にGさんをいれてやった。お前のにも入れてやろうか?」


俺は探検好きが功を奏していろんな物を見つけては、駆除されないように手配していた。少しずつだけだけどな。一度ビックリするほど増えて大変だった。アレク兄上に後始末を頼んだ時は凍えるほど恐ろしかったな。それからは加減している。


「謹んでお断り致します。お前って結構ねちっこいんだな。気に入った!仲良くしようぜ!」


「…。」


ここまでざっくばらんに話をした人物は初めてだった。身分も外聞も気にしなくて良い…対等な関係。だけどここまで言われて素直にうん!とも言えず…頷くだけにした。

ここから俺とジルとの友情は始まった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


高等課程も順調に進んだ。座学は大体すんだから来週末からは船に乗り実技を学ぶ。ここでは身分は関係なく仕事が振り分けられるからとても楽しい。寮生活も慣れたしな。俺はジルと昼食を取った後午後の授業の準備の為に移動をしていた時…


声をかけられた。


「お初に御目にかかります。ニコラウス王子殿下、帝国第七王子殿下。王宮より、使者として参りました。エーデルワイス公爵が二女スノーフレークと申します。お見知りおきを。」


何故この人何だろう…。ジャックが来るかと思っていたが…。


「そうか…解った。部屋を借りてそこで話そう。ジル…」


「第七王子殿下もご一緒で構いません。帝国への親書もお預かりしておりますので。」


「解った。ジル?かまわないか?」


「ああ。同席しよう。」


皆が席につき、お茶も用意してもらった。学園の使用人が出ていくのを確認してから話しかけた。


「先程は挨拶を返さずすまなかったな。第二王子ニコラウス=ルドベキアである。スノーフレーク嬢、ニックと読んでくれ。」


「第七王子シルベスター=リアトリスだ。よろしく。」


ジルは不服そうに名乗ってる。珍しいな。そんなに不機嫌にはならないのに…。

スノーフレーク嬢は頷き、ニッコリと笑って話し出した。


「警戒なさいますな。私が使者なのはジャックの最終試験のようなモノです。性格悪いですよね。それでは…国王陛下のお下知です。」


俺とジルは同時に立ち上がったが、俺だけが跪く。


「ギルバート王太子の退位が決まった。一代限りではあるが、ギルバート大公となる。アレクサンダー第一王子はプリムラ嬢との成婚後立太子し、王太子に。それにより、ニコラウス第二王子の継承権順位は上がり、第一王子となる。その身は王位継承権第二位となる謹んで受けよ。との仰せです。」


「謹んでお受け致します。」


「シルベスター第七王子殿下にはこちらの親書を。リアトリス帝国の方々にはアレクサンダー王太子の結婚式と立太子式に国賓としてお招きしたいとの仰せです。王妃殿下よりぜひともとご伝言も頂きました。」


「リアトリス帝国王両陛下に伝えましょう。親書も必ず。慶事に対し私からの私信ですが、おめでとうございます。益々のご繁栄をお祈り致します。とお伝えください。」


「必ず。」


ふーー。と息を吐く。久々の王子仕事…疲れたぁ。


「一連の儀式は済んだ。茶でも飲んで座って話そう。ジル立ち会ってくれてありがとうな。」


「いや…光栄だよ。しかし…俺で良かったのか?」


「ああ。ジルで良かった。」


ジル以外考えられなかった。

俺の節目を見届けてもらえるなんて。嬉しかったし、覚悟もできたから…。


「スノーフレーク嬢もお疲れ様。ここは王都から遠かっただろう?ジャックも意地悪なことをするな。」


「これぐらいのこと、なんてことはありません。むしろもっと難しい事でも良かったのですが、ジャックが仕事を独占したがって…。無事に王都に帰れば最終試験に通りますので!嬉しいですわ。」


「何の試験なのだ?ルドベキアには令嬢に試験があるのか??」


ジルが不思議そうに話かけた。うん。俺もそこ疑問。


「まさか!公爵家の騎士としての試験です。これで王妃殿下の騎士になれますわ!やっとお目通りをして騎士の誓いをたてられます!」


「っつ…。」


ジルが気の毒そうに俺に目を向ける。


「何でジャックが試験官なの?」


「ジャックが王妃殿下の第一の騎士だからですわ。」


ギルバート兄上ー!!


「お前の母ちゃんこえぇーー。」


そして、それな!


「それ、俺に言っても良かったのか?」


「ええ。構いません。私はギルバート大公に嫁ぎますので義姉となりますし、ジャックはスイートアッサム王女殿下の降嫁先で義弟の予定。つまり家族となりますから。隠し事はなしにせねば。不公平でしょう?」


もう、決定事項なの!?兄上の退位が決まったばかりだよね!?彼女が姉でジャックが弟ね…。わー楽しそう。


(なんだ…そっちのお相手だったのか…。)


ジルはなんかぶつぶつ言っているな。


「ああ!そうそう。シルベスター殿下?貴方が欲しい者は中々に渡せるものではありません。理由はお解りになったでしょう?欲しければそれなりの者をこちらに寄越して下さいね。」


ジルはギョッと目を見開く。俺とスノーフレーク嬢を相互に見て、口を開いた。


「反対なさらないのか?」


「はい。夢を応援してあげたいそうです。どちらのも。そして、貴方がお相手ならばどちらも大成するだろと。」


「そうか…解った。ならば張り切らせて貰おう。」


何を!?

その疑問が解るのはもっと後の事。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「アレク国王陛下万歳!万歳!!万歳!!!」


「プリムラ第一王妃殿下、ジャーマンアイリス第一王女殿下おめでとうございまーす。」


「ブバルディア第二王妃殿下おめでとうございまーす。」


アレク兄上の国王就任の祝福コールが全国から上がる。

今日はアレク兄上の戴冠式だ。


第二王妃との結婚式に父上からの譲位の儀式、そして、今日の戴冠式。まぁ。忙しかった。

詰め込んみすぎじゃねぇーの?と聞くと、頻繁に国賓を招けるか!と怒られたのだ。


この頃兄上は短気になった気がする…。


俺はそれを第一王子としての最後の仕事として見守る。

本来兄上が国王となった場合王弟となるはずだが、俺は辞退した。

兄上には第一王女のアリスがいるし、継承権問題はクリアにしておいた方が良いだろう。


まぁ実際に王位継承権を放棄できるのはもっと先だ。


ギルバート兄上は大公妃となったスノーフレーク嬢と凛々しげな表情で出席している。

アリーはジャックと無事に結婚し、公爵妃となった。

双子の王女ベルフラワーとホワイトレースフラワーも一緒に並んでいる。

うん?ジャック?めっちゃいい笑顔だけども…お前宰相なのに…兄上の近くに控えてなくていいのか?

あれからベルとレースはクレマチス公爵領で育ち、今回の戴冠式の為に王都にやった来た。王女として初の御披露目である。


無事にルドベキア新国王陛下が誕生した。


その慶事を祝うこの場に父上と母上はいない。

父上は完全に一線を退いてしまわれたからだ。

父上は最終的に母上か王座か選ばざるを得なかった。母上だけを傍らにし続けた代償として…

敬称を別に作るか?と話が出たが辞退されたと聞く。

母上も望まれなかったらしい。

母上が産後体調を崩されて以来王妃業務が難しくなったからだ。

これからはただの元王族として母上と共にクレマチス公爵領の隣にある元王妃領で過ごすことになる。

クレマチス公爵領は嫌だと父上がごねたらしいが…。

それにアリーとジャックが大反対!

折衷案が元王妃領の永久貸与だった。母上が代理領主となられるらしい。


何故らしい。ばかりなのかというと、俺は譲位の話が出てから両親に会っていない。王位継承権を持つ俺が会いに行けば差し障りがあるからだ。こういう時余計な波風立てる阿呆が必ず出るのだ。


そんな命の危険…逃げるが勝ちである。


新たに産まれた双子王女のベルとレースはいずれエーデルワイス公爵家かラベンダー女公爵家に降嫁することになるだろう。

というか決まってるの…だろうな?あれは…お相手らしき年齢の公孫か?公爵らの隣に控えてるもんな?


アレク兄上は譲位の為にリアトリス帝国からブバルディア王女を第二王妃とした。まだ、若い国王誕生の後押しとするための政略結婚だ。帝国はずっと婚姻外交を行っていなかったルドベキアと国交を深くするための一手となるからと喜んで王女を差し出してきた。

俺たち兄妹はこうなることを…避けなかった。

母上にはもう十分してもらったから…残りの人生は自分の為に生きて欲しかったんだ。


アレク兄上が国王陛下となるのを見届けてから、俺は新大陸を目指してジルと旅立った。ルドベキアとリアトリスが行う共同事業の一貫として…。

帝国からの第二王妃が嫡男を産んだと知らせを聞いたのはジルと見事新大陸を発見し、盛大に帰国した時だった。


その時のジルから告白は一生忘れられない宝物となっている。

未来とは予想外だ。

長子に長子の真ん中は真ん中なりの苦労があるんだよねぇー。と思いつつ書いた視点でした。


そして、マックスとシルの退場回でもあります。


シルの言うお花畑が誰だったのか…

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