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シルクジャスミンのとあるお茶会

主人公なのに、久々にシルちゃんの視点を書きました!


楽しんで下さると嬉しいです!



「お義母様、プリムラにございます。御召しより参内致しました。」


「入りなさい。」


「失礼いたします。」


アレクの婚約者であるプリムラ嬢が席に着くのを見計らい侍女達にお茶を出すように合図する。

皆に配られたな。よし!使用人に退出するように手を振る。

ここにいるのは私、ヘラニウム侯爵夫人のフェイジョアのフェイ、侯爵夫人のピラカンサのラン、私の腹心の侍女であり、現スイートアッサム王女宮の侍女長であり、男爵令嬢のコデマリ。アレクの婚約者である侯爵令嬢のプリムラのラム、そして…ビックボス!!ラベンダー女公爵のカモミールである。


「これで皆集まりましたね。よく来てくれました。感謝いたしますわ。これよりお花畑をどうするか!?会を開きたいと思います!」


「「「はい!」」」


「コデマリ説明を。」


「はい。シルクジャスミン様が確認したところヒロインであるマリーゴールド嬢はギルバートルートではなくジンフリードルートを希望していたそうです。」


「はぁ!?」


「マジかよ…」


「え?どうやって?ヒロインの気持ち無視できたの?どっち付かずをやってたらギルバート以外選びようがなかっただけじゃないの?」


「皆、落ち着け。王妃様ならば当時の事情も探られたのだろう?」


私も疑問だったのよー!なんで?そんなこと出きるの?って。私は前王妃に仕えていたけど犯罪には加担していない、傍観を決め込み閑職に追いやられた者達を集めて当時の話を聞いたわ。


「ええ。ここが乙女ゲームの中であれば選ぶ側はヒロインであるはず。ヒロインが嫌がることは強制できないって思っていたの。でも、私や貴女達の存在でどうも強制が外れてしまっているか…もしくは弱まっていると考えたわ。そうすれば自ずとわかるでしょう?」


「なる程な。ヒロイン…マリーゴールド嬢は子爵令嬢に過ぎない。選べる立場にないな。」


さすが!ビックボス!カモミール様!状況判断が早いわねぇー。


「そう。ロデリア前王妃やギルバート前王太子の意向が一番になるはず。あの人達にそもそも引くとか譲るっていう精神や概念が無いわ。ジンは諦めるしかなかったでしょうね。」


ギルバートに至っては一人っ子でマザコンで正当な王位継承者だ。スリーカードである。


「実は陛下の隠し子で王女でしたー。っていう設定の乙女ゲームならば選べたんじゃないのかな?」


あ!そっちの設定の乙女ゲームもあるか!ラムちゃんナイスね!

私達転生者に共通していることなのだが、皆が皆

この世界の事を知らない。乙女ゲームということだけはわかるが、内容、登場人物、攻略するべき男子まったくだ。ノーサイドである。絶対転生する者達の知識を選んでやがるなと思っている。


「いや、それでも選べまい。王女が見つかれば3公爵家が黙っていないはずだ。騎士団長であるベロニカ伯爵家が敵う相手ではない。どちらにしてもジンフリードは諦めるしかなかっただろう。」


「乙女ゲームやりたければ平民になってやりなさい。ってことよね。世知辛い世界に転生したわー。」


標語みたいに言わないでね。ランちゃん。吹き出しそうになるから。でも、確かに乙女ゲームなんて強制力なければあり得ないよねー。だって王子様をライバルになんて出きるわけ無いもの。忖度が効いてその時点で他は全て脱落よ。しないと貴族じゃないもの。


「ラン。その標語?みたいな言い方いい加減に辞めなさい。人払いをしていただいているとはいえ、礼節は大事ですよ。」


姉御肌のフェイから注意が、入るランちゃん。めげませんよー。ランちゃん筋肉という保護膜まとってるからね。


「いやだって、ここでしか出せないじゃんか…少しは見逃してよー。令嬢言葉、話す自分を見てると、吹き出しそうになる!のよ!?」


「おいくつのおつもり?」


そう!ランちゃんの愛称のピラカンサはベビーの頃から記憶がある苦労性な方なのだ。このメンバー内でしかもこの人格で一番令嬢歴が長いと思われる。転生前はボディビルダーをなさっていたそうな。それを駆使して辺境にボディーメイクの理論を根付かせた方である。


「もう!話が進まないよー!ラン様?」


「私!?」


ラムはこの中でいちばん若いことになるが実は仕切り屋さんである。数学者なだけあって無駄が嫌いだ。


「ラムの言う通りね。話を戻しましょう。ほぼ効かない強制力のお陰でジンルートを希望していたヒロインがギルルートに張り付けられたと言うことになるわ。マリーゴールド嬢に意志を聞こうと思って会ったのだけど…病んでなんかいなかったし、正気だったわ。でも…闇堕ちしてるとは思うの。」


「政略結婚でもなく好きでもないのにギルバート様に正気で付き合うのはキツイと思います…。私でも嫌になりますよ?」


コデマリ…私もよ!皆がうなずく。ラムとランに至っては高速である。


「気の毒になぁー。」


ビックボス!遠くを見ないであげて!

カモミール様はこのお茶会での最高齢だ。転生前はパーソナリティーは女性なのに、ボディが男性として生まれていたそうな。今回の転生でやっと一致したぁと喜んでおられていた。

しかも私達の転生とちょっと違う。自分が寝てる時に夢の中で自分の魂に似てるから交換して!と頼まれたらしい。公爵家もう嫌だとかなんとか。うーんと悩んでいたのに起きたらカモミール様だったそうだ。

なんともせっかちな魂である。

でも、自分が望んでいた性別になったしいいかぁーと、思ったそうな。

さすが!ビックボス!心が広い!

カミングアウトなんて社会に出れば簡単に出きるものではない。LGBTなんてイマイマの考えだし、それでもまだ、周知されているわけではない。悲しいが差別は残るものなのだ。


「コホン、まぁ…その、なんだ。そうなるとどうなるんだ?ヒロインの望まぬ世界になっているということであろう?このままだと、マリーゴールド嬢は確実に3公爵家から消されるぞ。おそらくギルバートへは3公爵家から令嬢があてがわれると思われる。その話し合いも近々あるだろう。」


「ヒロインが失望しながら亡くなった場合ー。乙女ゲームなら…タイムリープかな?」


「タイムリープってなんですか?」


「タイムリープ?」


キン肉大好き連合のコデマリとランは首を傾げている。


「時間の巻き戻しの事ですよ!でも、あれは…処刑された悪役令嬢や悪女の専売特許ではないのですか?」


「えーーだってどうみても今の悪役令嬢はマリーゴールド嬢じゃない!!」


確かに…でも…それって


「子爵令嬢の悪役令嬢ってことか?」


だよね!


「威張れないよねぇー??」


「当たり前だ。王宮には子爵令嬢以上の令嬢ばかりだからな。コデマリは王妃殿下が自身の腹心として侯爵家から連れてきた特別だ。手を出せば王妃が黙っていないってことを皆が知っているし…それに嫁げば身分はどうとでも上がる。だが、それも正妻のみの権利だ。愛妾なら身分はそのままだな。さぞ苦労しただろうなぁー。悪役になるの。」


だから!ビックボス!遠い目しないで!

そして、コデマリ!うふふー。と嬉しそうだな。

目に腹心との二文字が浮かんでいる。可愛いやつめ。


「なるほど。だから病んでしまった様にしか見えなかったのね。ものを投げつけたり、暴言をはいたり…。令嬢だと知らないような言葉も元が平民ならばご存じでしょうし…。王宮育ちのギルバートには気がふれたとしか見えなかった…。はぁ。しかし、タイムリープ…巻き戻しですか。もう一度妃教育を受けなくてはならないのね…。しかも子守り付きの。」


皆の顔色が真っ青になっていく。


「また地獄のブートキャンプを初めから!?」


「せっかくいとこに競りかって私の得意分野の本を独占しましたのに!?」


「お嬢様との歴史が消える!?」


「数学やらせて貰えなくなるじゃん!」


「せっかく保育の理念が根付き、孤児達の生活が安定しやすくなってきた所なのに!!最初からとは…」


会の皆の気持ちが一つになったときだった。


「先ほどランが珍しく良い標語を言っていました。」


「珍しく!?」


恋愛結婚(乙女ゲーム)は平民になればできるのです。マリーは令嬢ですが、お相手の生粋の貴族令息だったジンは既に平民です。」


「マリーゴールド嬢の決心は硬かったわよ?」


「ええ。そうでしょう。マリーゴールド嬢では無理です。ですからマリーゴールド嬢には亡くなって頂きます。新たに名を与え、生を与え、人生を平民として初めて貰うのです。道を示し、正規のルートにさえ戻れば物語はうまく廻るでしょう。ジンはその道を守る騎士とするのです。」


フェイちゃんは相変わらず頭の回転早いわねぇー。


「なるほど。」


ほうほうと満足げにカモミール様は話し出した。


「マリーゴールド嬢がすんなり消えるのならば公爵家は助かるな。協力しよう。マリーゴールドの新たな生はエーデルワイス公爵家にでも任せよう。ギルバート大公閣下の教育もな。娘への大公妃の地位をちらつかせれば喜んで引き受けるだろう。あそこはスパルタで有名だからな丁度良いであろうしな。これまでの事に私も少なからず責任を感じている。ラベンダー公爵家の次代での王家の血は諦めるしかないが…。孫に期待しよう。だが、筆頭公爵家であるクレマチスは違う。王家の血を求めて来るはずだ。というか既に動いているはずだ。覚悟はおありか?王妃殿。」


「ええ。大丈夫。陛下にもいい加減目を醒まして頂かないと…アレクやニック、スイートアッサムへの教育にも良くないわ。王族がパートナーを一人に決めてしまう恐ろしさを知らないということは…。」


「それでこそ。私の主(マイレディ)だ。あの若造に第一の騎士ぶられるのは口惜しいが我慢しよう。良く動く手足には気分良く働いてもらわなければな。」


私は笑顔で頷いた。


「お花畑は根絶やしにしましょうね。」

転生者の集まりでした。


このお話の裏側という意味で書かせて頂きました。


次はニコラウスのお話。


彼はこの騒動の中でどうしていたのでしょうか?




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― 新着の感想 ―
そうなりますよね〜! てか、転生者思ったより多い〜(๑´∀`๑) おまけにゲームの本筋を誰も知らないのか( ノД`) もっとギャフンと言わせて下さいw
[一言] お、『お花畑』の指し示す先って……ドキドキ
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