54話「最終話」:辰野ハウスと人生の終末期
翌日、重森社長が、来て、宮入が、車で、泉堂さんと吉沢さんを乗せて、一緒に、佐藤君の家に出かけた。すると、傾斜地でもないし、水道、電気も通っている。家は、古いが、土地は、使えると言った。
宮入が、いくら位と聞くと、宅地なら坪20万円とし、2千万円から2千5百万円と言ったところだろうと語った。古屋2軒を壊し整地するとしたら費用はと聞くと、木造だから200万円で請け負うと言った。
店の定休日、佐藤君に電話し、知り合いの工務店に一緒に行こうと言うと喜んでくれた。その後、重森工務店で、佐藤君と合流し、重森社長のハイエースで佐藤君の家へ行った。すると社長が、広いねと言うと120坪と聞いてますと佐藤君が言った。
詳しい家の図面を見せてと言うと家の中に入った。その図面をみて、そうねと言った。その後、敷地をくまなく見た。そして、庭の外側の雑草の生えてる場所を指先し、ここら一体も敷地に含まれるよと言った。
そして、じっくり調査すると155坪が敷地と判明した。重機を入れて整地すれば問題ないし盛り土するから大丈夫と言った。でも、古家は、全部壊すしかないと語った。それを聞いて築50年近いから仕方ないと、佐藤君も納得した。
すると社長が3千万円なら買うというと、佐藤が、売りますと言った。ただし、古家の解体と残骸の処分料金、整地代金で300万円かかるので、正味2700万円だと言った。それでも結構ですと言った。
それで良ければ売買契約書を作ってくるから、ハンコを押して欲しいと言われた。佐藤君が実印を持ってきて重森工務店の事務所に戻った。その後、売買契約書にハンコをついた。それが終わると社長が若い社員3人と佐藤家に戻り権利書などの書類を探した。
1時間後、書類が見つかり、役所で土地の権利の移行ができ、次第、佐藤さんの口座に2700万円を振り込むと言った。どの位かかりますと佐藤君が重森社長に聞くと1週間以内に振り込むと言った。これを聞いて、佐藤君は、すっかり笑顔になった。
宮入に、ありがとう、本当に助かった。これで、新しいコンロや料理道具を買いそろえられると、大喜びした。 そして宮入が来て1週間が経ち東京へ帰ると言い辰野を離れた。その後、佐藤君から実家が2700万円で売れたと喜びの電話が入った。
2018年6月8日金曜日、辰野ホタル祭りの前日に、再び、宮入と吉沢さんと泉堂さんが、辰野へやってきた。そして重森工務店の事務所に立ち寄り佐藤の家の購入のお礼を言った。ちなみに、あの土地は、売れましたかと聞くと売れたと嬉しそうに言った。
そりゃ良かったと言うと、3人に、お茶を入れてくれた。これで懸案事項が無くなったので地元の友人達、藤井友之、見城光子、佐島などが集合して自由に使って下さいと言った。無料という訳には、いかないと言う意見が多かた。
そこで、1部屋1泊素泊まり4人で1人3千円で2食付きなら5千円とした。予約は、全て、佐藤君に電話する事とした。こうして、佐藤君は、駅近くの居酒屋を他人に売って、ここで、管理人として働くことになった。
ただし、旅館ではないので、費用の事は、他人には、言わないという約束をした。そして、必ず、仲間達の1人が、一緒に宿泊することを条件とし基本的に仲間達の利用に限定する事とした。もちろん、この2軒の名義人は、宮入であり宿泊料は、宮入に入る。
但し、かかった費用は宮入が支払うことにした。しかし、利益の四半分は、泉堂と吉沢さんに渡した。こうして2018年も辰野ホタル祭りの2日間、宮入達3人は、辰野に泊まった。その後も8月の諏訪湖花火大会にも泊まりに来た。
佐藤君は、下村の家に住み続けた。料理屋を営んで地道に稼ぎ月15万円を宮入に支払い続けた。 そして、泉堂は、宮入のマンションで入籍きをせずに同棲を始め仲良くなった。吉沢さんも八王子のカルチャークラブで、パートナーを作り同棲を始めた。
そして、仲間同士で、毎年の様に、冬は、ハワイ、台湾、グアム、春は、九州、夏は、北海道を旅行をして、2夫婦、4人で、人生の終末期を健康的に、楽しんで過ごし続けた。【完結】