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10話:パリバショックからリーマンショックへ

 2007年5月にスイスの大銀行UBSが、ディロン・リード・キャピタルマネジメントを閉鎖。8月はドイツのNRWバンクによる支払い停止。フランスのBNPパリバによる3つのファンド凍結が相次いだ。


 パリバが、アメリカ証券市場の一部で流動性が消滅したため一部の資産評価が不可能になったという声明を出すと危機の認識が広まり年10月にはイギリスで住宅価格が急落。資産担保証券も価格を下げて国際流動性を失った。


 これを担保とする資産担保コマーシャルペーパーの借換発行も出来難くなった。預金債務が、膨張し、銀行とFRB「米連邦準備制度理事会」は、事後的な信用創造にはげみ、そこで生まれた預金通貨は、機関投資家によってマネー・マーケット・ファンドやレポ債権に転換された。


 ヨーロッパ系銀行は、危機発生に先立つ、数年間、100以上のSPV「特別目的会社」のために直接、または間接のスポンサーになっていた。これらの資産担保コマーシャルペーパーは、数千億ドル規模のABS「資産担保証券」をアメリカ市場で販売していた。


 その流動性が2007年8月に失われると、償還するためにヨーロッパ系銀行は、在米支店からドル資金を調達した。そのため、アメリカを中心として会計基準には、時価評価主義が採用されておりサブプライム危機が短期間で拡大する一因となった。


 時価評価では、金融資産の減価は自己資本減少と機関投資家が発行する株式の減価に直結するので、その株式を保有する企業が発行する株式も減価となる。こうして負の連鎖が拡大した。


 2008年3月、米国ベアー・スターンズの経営危機が明らかになると金融危機が世界的に報道され始めた。9月に入って、GSE「政府支援機関」のフレディマックとファニーメイが実質的破綻に陥り、9月15日にはリーマン・ブラザーズが破産を申請。


 負債総額6390億ドル「約64兆円」というアメリカ史上最高額の経営破綻を起こした。さらにバンク・オブ・アメリカによるメリルリンチの買収、保険会社AIG「アメリカン・インターナショナル・グループ」の国有化など、金融機関の再編が進んだ。


 リーマン・ショックの決済銀行であるJPモルガン、シティグループ、バンク・オブ・アメリカは、レポ債権の追加担保を要求。しかし、貸付が、打ち切られ倒産が決定。リーマンブラザースの倒産のショックは、リーマン債を保有していた米ドルMMFを元本割れさせた。


 9月19日、MMF保険創設のため連邦政府が為替安定基金から最大で500億ドルを取り崩す方針が公表された。リーマン以外の清算ケースでもCDS「クレジット・デフォルト・スワップ『企業の債務不履行にともなうリスクを対象にした金融派生商品』」は同様の状態であった。


 CDS「クレジット・デフォルト・スワップ、発行体の債務不履行に 対する「保険」」の売り手となっていた金融持株会社、投資銀行、保険会社、ヘッジファンドなどは、短期金融市場からの資金調達を金利の急騰に阻まれた。


 ヨーロッパ系銀行もドル建て流動性資金について同じ境遇であり、新興国経済から資金を引き揚げた。これにより、中欧・東欧・南欧にも金融危機が波及。2008年第2四半期から2009年、第1四半期には、世界の資本移動の90%が消滅。


 富裕国の資本移動は17兆ドルから1.5兆ドルへと減少。2009年第2四半期は、IMF「国際通貨基金」にGDP「国民総生産」統計を提出している60カ国のうち52カ国でGDPが縮小した。


 仕入れ、製造、出荷までの流れが、全て、同じように動くため世界の需要減少は各国に波及した。 世界貿易機関「WTO」が統計をとる104カ国の全てで、輸出入が減少。世界の原油価格は、76%下がり、産油国では、財政赤字が、続出。


 金融の勉強をして、セゾン投信に勤めていた宮入智和が、宮入晋平に電話をかけてきた。そして、世界経済の天変地異が、世界中で起こり米国MMFが、元本割するという前代未聞の出来事が起きてると叫んだ。

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