『愛』
『愛』
形のあるものはとても簡単。
100あげようとしたら、そのまま100あげられるから。
形のないものは難しい。
100あげようとしたら、10しかあげられなかったり、110あげちゃったりするから。
だから形のないものは美しいと思っていた。
受け手次第で、自分が持っているもの以上のものをあげられるから。
だからたくさんあげた。
形のないものをたくさんあげた。
あげた相手の反応を見ると、どうやら自分が持っている以上のものをあげられているらしい。
嬉しかった。
だからもっとあげた。
自分が持っている形のないもの、全部あげた。
でも、だからなんだって言うのだろう。
形のないものは目には見えない。
形のないものは人には触れない。
どれだけあげたかわからずに、どれだけ受け取ったかわからずに。
全部あげた。
たぶん1万はあげた。
たぶん1億はあげた。
あるだけあげた。
だから自分が一番だと思っていた。
あなたが受け取る形のないものは、自分が一番あげていると思っていた。
ある日、あなたは消えた。
形のないもの、一番多くくれた人と消えた。
その人はあなたに、100をあげようとして、いくつあげられたんだろう。
いなくなったからわからない。
自分の持っていた形のないものは、全部あげた。
自分に残ったのは形のあるものだけだった。
そして気が付いた。
形のあるものは、形のないものがないと価値が生まれないことを。
100ある形のあるものは、自分にとって、もう価値のないものだった。
これだから、形のないものは美しい。