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『“何もない”はなかった』
『“何もない”はなかった』
全てを失えば、あとは簡単だった。
“何もない”を享受する。
空っぽの器。
空っぽの心。
機械として動いていたころの自分はもういない。
機械にも実は心が在ったんだと知る。
空っぽの心にはもうどうでもいいことだけど。
全てを失って、全てが無くなって、気付くことがあった。
物理現象は止まらない。そんな当たり前の事実。
空っぽの器。それでも心臓は血を運び、脳は活動する。
空っぽの心。それでも感情は浮かび上がる。
結局、死ぬまで失い続けるしかないのだ。