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朧月夜で杯を  作者: 藤紫音
8/10

名前のない怪物8

 公園にやってきたのはスーツを着た男だった。


 満のそばをその男が通った時、嗅いだことのある匂いが香る。満は思わず茂みに身を隠したために隠れたままその男の顔は確認できないが、匂いは先日会ったばかりの神谷悠のものだ。


 満が茂みから出ようとするとがさがさと音が鳴り始めた。


「うおっ」


 神谷悠は突然自分の背後からの物音に驚き素っ頓狂な声をあげてしまう。


「あ、驚かせてしまいましたか。すいません」


 申し訳なさそうにそう言う満の頭には茂みから出る際に乗っかったであろう葉があり、その姿は年相応の少年のように見える。


「あ、あぁ。えーと、探偵事務所にいた」


「満です」


「すいません。名前がすぐに出ずに…」


「いえ、いいんですよ。今の僕は花蓮さんのおまけのようなものですし、何より彼女は非常に記憶に残るようですから。ところでこちらにはどのようなご用事で? ってわかりきったことですかね」


「ええ。満君がここにいる理由はあまり僕と同じだとは思いたくないけど、現場百遍って言いますから」


 悠は小学生にしか思えない悠が単独で事件の捜査をしているとは思わなかったが、事務所からある程度離れた所にある公園で遊ぶほど幼くも見えない。保護者であろう花蓮が何をしているのか気になったが、昨日の段階で既に二人は保護者と子供というような単純な関係ではない、そう感じた悠は深く追求をするのはやめた方がいいのかと迷った。


「それならちょうどよかったです。悠さんに一つお願いしたいことがあったんですよ。被害者女性現在身元の判明している人だけでいいので病院、医療機関への通院歴を調べて欲しいんです」


「構いませんが他の2人はどうしましょうか? もう少しで身元も特定できるかと思いますが」


「そうですね、明日までに調べられるのでしたら一緒にお願いしたいです。そうでなければ明日はわかる人だけお願いします」


「わかりました。満君はこれからどうしますか? 僕は遺体発見現場を一通り回ってみる予定ですが」


「そうですね。よろしければ僕もご一緒させていただきたいのですが」


「花蓮さんの方に連絡とかしなくても大丈夫であれば構いませんが」


「その点は大丈夫です。どうせまだ寝ていますので」


「…では始めましょうか」


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