第18話
6月に入ると、夏の甲子園の愛知県予選に向けてチームが本格的に動き始めた。俺自身はと言うと、5月以降、練習試合で投手を務める機会が何度かあった。そして6月初旬に行われた校内合宿の最終日で、夏の大会の登録メンバーが発表された。
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名古屋東高等学校
部長 松井邦雄
監督 小林綾羽
コーチ 脇田修一・笹川直樹
ベンチ入りメンバー
1 投 水野雄馬 左左 1年
2 捕 平野雅文 右右 1年
3 一 上田和道 右左 1年
4 二 松原隼太 右左 1年
5 三 日高進一 右左 1年
6 遊 松村和樹 右右 1年
7 左 池田武志 右左 1年
8 中 伊藤優太 右右 1年 主将
9 右 谷川南朋 右左 1年
10 投 鈴村勇吾 右右 1年
11 投 後藤航平 左左 1年
12 捕 西村大地 右右 1年
13 捕 吉川哲也 右左 1年
14 内 大谷泰人 右左 1年
15 内 加藤雄平 右右 1年
16 外 大井雄介 右左 1年
17 外 宮内高志 右右 1年
18 投 中井周平 右右 1年
19 投 山田俊介 右右 1年
20 投 坂口春道 左左 1年
記録員 石原紗奈(1年)
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結果的には、大竹・藤田・大脇・橋本・木村の5人がメンバーから外れることになったが、5人が5人、もう必要がないという訳ではない。小林監督は今大会中、マネージャーとともに登録メンバーのサポートや相手校の偵察に向かってもらい、秋以降のベンチ入りを目指すよう5人に促した。そして小林監督の推薦で、俺が引き続き主将を、そして紗奈がチーフマネージャーを任されることになった。
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抽選会の結果、名古屋東は1回戦から登場し、3回戦まで勝ち進めば、シード校であり、昨年の代表校である海工大栄電高校と対戦する構図となった。海工大栄電高校は甲子園優勝経験もあり、数多くのプロ野球選手も輩出した全国区の強豪私学である。昨年の夏の甲子園ではベスト8まで勝ち進み、新チームである昨秋の県大会では準優勝、そして今春の県大会でもベスト4という戦績だ。
ちなみに愛知代表の有力校には、栄電の他に、今年の春の甲子園に出場し、ベスト4まで勝ち上がった東望高校と、今春の県大会で準優勝、その後に行われた東海大会でもベスト4まで勝ち上がった大京大大京高校の名前があった。いずれもシード校であるが、秋春の県大会を制した東望が頭一つ抜けてるようだ。
そして後に続くのは、いずれも春ベスト8でシード校でもある、光栄・愛知第一・豊川学院の古豪3校と、刈川・西浦の県立2校であった。シード校は以上の8校。そしてノーシードの注目校に挙げられていたのは、いずれも実力校である、智学館と舞産大三河、そして5月に初めて練習試合で対戦した星徳であった。
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夏大のメンバー発表と抽選会が終わると、いよいよ夏の甲子園の愛知県大会まで、あとわずかとなる。1度でも負けたら終わりの一発勝負。1ヶ月後、180校以上の出場校の中から愛知県の頂点に立ち、甲子園のその姿を表すことができる高校はたった1校のみ。そして2ヶ月後、唯一敗戦の経験を知ることがなく、全国の頂点に立てる高校は全国約4000校のうち1校のみ。
夏への扉は、俺たちの眼の前で音を立てて開いたばかりであった。
実際の季節、そしてもう一つの高校野球ものと歩調を合わせるのが大変です・・・




