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オズルとフロウの魔法使い日記  作者: 秋本そら
その後のマディシナ村
73/74

出来ることを

『サフィーが占い屋さんを明日からやるよ!お店の名前は"アイルサフィア"、場所は"ヘーメルオースト"の前!みんな来てね!』

 フロウの耳に、その場にいないはずのサフィーの声が聞こえました。

「あら、あの子の声が」

「……オズルの魔法だ。あたしはこういう魔法は苦手でね」

 ナルとフロウは、まだ談笑を続けていました。

「オズルは元からの素質がよくてね。あっという間に魔法を覚えてしまったよ。オズルは想像力も豊かだ。魔法使いに一番必要なものは、もしかしたら想像力かもしれない」

「あら、知らなかったわ」

 ナルはそう言って笑った後、少し考えて聞きました。

「ねえ、フロウ……自分よりも上の魔法使いがいるって、どんな気分?」

 それに対して、フロウも少し考えて言いました。

「——そうだね。まず、素直に尊敬するよ。あたしには出来ないことが出来るんだから」

 ナルはそれを聞いてうんうんとうなづきました。

「でもね、自分を卑下することはないさ。あたしはあたしが出来ることをするだけだからね」

 そう言って、フロウは笑います。

「オズルはあたしやあの子が出来ない魔法を使う。あの子はあの子が得意とする魔法を使う。あたしは人を癒す魔法が得意だから、それを使う。それでいいのさ」

「素敵ね、フロウ」

「そう?」

「ええ。ところで……」

 ナルは首を傾げます。

「"あの子"って、ユリアのこと?」

 フロウはその問いには答えずに、「また来るよ」とだけ言ってヘーメルオーストを去りました。


 家に帰る途中、フロウは道端で転んでいる男の子を見つけました。

「大丈夫?もう泣かなくていいんだよ」

 フロウはそう言って男の子を立たせると、癒しの魔法で怪我を治してやりました。

「ありがとう!」

 男の子は笑顔になると、何処かへと駆けていきました。


(さっきナルにした話だけど)

 フロウは考えます。

(魔法使いだけの話じゃない。人間だってそうだ)

 辺りを見回すと多くの人がいて、その一人一人が別人なのです。全く同じ人などいないのです。

(何も出来ない人など、いるわけがないのさ。みんなが助け合って生きている)


 そんなことを考えているうちに、フロウは家に着いていました。

 ルイーザから留守の間の話を聞いたり魔道具を受け取ったりしたら、店番を交代します。


 フロウは辺りを見回しました。


 大切な人々が住む、大好きな村を。

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