使い魔たち
『あーあ、暇だねえ』
その頃ルイーザは、留守番をしていました。女の人の姿で。
その時、おじさんと呼ぶのが一番相応そうな男の人が現れて「薬をおくれ」と言いました。
『いらっしゃい。どんな薬が欲しいの?』
「えーっと、この薬の効能はなんだい?」
『これはね、くしゃみに効くのよ。こっちは風邪薬』
「じゃあ風邪薬を。七歳の娘に飲ませるんだが……」
『そしたら薬は一日二回。朝と夜のご飯の後に、一粒ずつ飲ませるんだよ。40ルーだよ』
「40ルーだね。はい」
『ありがとね。お大事に、と娘さんに伝えておくれ』
「ありがとう、ルイーザ。伝えておくよ。また来るね」
男の人を見送りながら、ルイーザは溜息をつきました。溜息をつきながらも、その表情は笑顔です。
ルイーザは薬の番を面倒がっていますが、本当は楽しんでいるのです。
(だって)
ルイーザは心の中で呟きます。
(こんな時じゃないと、村の人たちと話せないからね)
『ああ、ルイーザ。久し振りに会った気がするね』
そう言いながらそこに現れたのは、男の人に変身したフィリーでした。フィリーはたまに男の人の姿で、ある時は猫のまま、ある時はオズルと共に、また別の時には一人きりで、などと色々な過ごし方をしていました。今日は人間の姿で一人きりのようです。
『たしかにね、フィリー。久し振り。何か薬はいる?』
『いや、大丈夫だよ。これだけ渡しに来たんだ。これ、フロウに渡してよ』
フィリーがルイーザに渡したものは、オズルが作った魔道具でした。
『これを薬を作る時にそばに置いておくと、癒しの魔法の威力が増すらしいよ』
『ありがとう。フロウに渡しておくわ』
ルイーザはにっこりと笑って言いました。
『楽しそうね。私も混ぜてよ』
そこへやって来たのは、一匹の白狐でした。
そう、ユリアの使い魔のマラムです。
『実はね、ユリアが最近夜眠れないらしいの』
マラムはそう言いながら一回転して女の人の姿になりました。
『何かいい薬はある?ユリアは薬作りは苦手だから』
『それならこの薬を持って行って。寝る前に一粒飲むだけで大分違うわ』
『ありがとう、助かるわ』
マラムは薬を受け取った後にフィリーを見て、『そっちの薬屋は平気なの?』と聞きました。おそらく、オズルも留守なので、薬屋の店番をする人がいないことを言っているのでしょう。しかし、フィリーは『大丈夫』と言いました。
『今日はこっちの薬屋は休みだから』
『あら、そうだったの』
その後もたわいもない話を三人は続け、別れる時にはにこりと微笑みを交わすと、
『使い魔同士、これからも仲良くしようね』
『当たり前じゃない』
『またお話ししましょう』
そう言って笑いあいました。




