表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/74

美しい朝

 翌日。

 オズルは鶏の鳴き声ではなく、フィリーの鳴き声で目が覚めました。オズルが広い部屋に行くと、すでにそこにはフロウとルイーザがいて、フロウが朝食を作っていました。

「おはようございます、フロウさん」

 フロウは不機嫌そうに言います。

「……フロウでいいって言ったはずだ」

「言いましたけど……でも」

「フロウと呼びなさい。敬語もいらない。こっちが恥ずかしくなってしまうじゃないか」

 オズルが困ったように言っても、フロウはぴしゃりと言い放ちます。

「……なら……フロウ、おはよう」

「……おはよう、オズル。

 椅子に座ってな。すぐにご飯にするから」

「はい!」

「……だから……」

 またしてもフロウが不機嫌そうな声になったのでオズルは、

「あ……うん」

 慌てて言い直します。


 やがて、フロウはベーコン目玉焼きが乗ったパンと野菜サラダ、そしてスープを出してきました。フィリーとルイーザにはミルクです。

「美味しそう!」

「じゃあ食べようか」

 そして、朝食が始まりました。


 十分後。

 それぞれが朝ごはんを食べ終わり、そのおかげか、体が温まってきました。

 フロウが呟きます。

「さて、朝に摘まなきゃいけない薬草を摘むか」

「僕も……僕もついていく!」

 すたすたと歩き出したフロウにルイーザがついていきます。オズルも慌ててフロウを追いかけ、フィリーもまたそれを追いかけました。


 家の外は家の中よりも薄暗く、少し肌寒く感じられました。辺りを見回すと、まだ日が昇っていません。

「ねえ、フロウさん」

 オズルが話しかけるとフロウは機嫌が悪そうに、無言でオズルを睨みます。

「あっ……ごめんなさい。

 ……ねえ、フロウ」

「……なんだい」

「なんでまだ日が出ていないのに部屋の中はあんなに明るかったの?ストーブを焚いてもいないのに春みたいにあったかかったし」

「……そういう魔法。"春の魔法"だよ。この魔法を使えば家の中は常に春の日差しがあるみたいに明るく、あったかくなるのさ」

「素敵な魔法で……えっと、素敵な魔法だね!」

 オズルはまたしても敬語になりそうになり、慌てて言い直します。

 オズルがタメ語に慣れるまでには、まだ時間がかかりそうです。


 気がつくと、辺りが少し明るくなっていました。

 日が昇ったのです。

「うわぁ!すごい!」

 そして次の瞬間、オズルは叫んでいました。

 外の森には霧がかかっていたのですが、その霧が美しく輝いていたのです!

「毎朝のことさ。今に驚いたり感動しなくなったりするよ。それに霧が出てると歩きにくくってしょうがない。全く、いい迷惑だ」

 フロウは呆れたように言い、いくつかの薬草を摘んでいきました。その間オズルはフロウの手元をじっと見つめ、フィリーとルイーザはなにやらずっと猫語で話していました。


「——オズル」

「はい」

 不意にフロウに名を呼ばれ驚いたオズルは、またしても敬語を使ってしまいました。フロウは半ば呆れて、仕方ないかと溜息を一つ吐き、問いました。

「オズル、生年月日を知りたいかい」

「どうして突然そんなことを」

「よく考えてみな。生年月日が分かればオズル、お前の歳だって分かるんだ。自分の歳を知りたいとは思わないのか」

 そのフロウの言葉を聞いて、オズルははっとしたような顔をしました。

 そして、独り言のように呟きました。

「……出来るなら、知りたい」

「ならこっちに来な」

 またしてもフロウはすたすたと歩き出します。

「ああ、待ってくださいよ」

 オズルは慌てて追いかけます。そんなオズルにフロウはまた一つ溜息を吐いて、歩きながら一言、

「……だから敬語にするなと言っているはずだ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ